第26話 水着披露

〇〇〇柴橋の着替え


どうしよう。どうしよう。先輩と上手く話せてない……結局。電車の中で会話も上手くできてないし……


でも、猫の鳴き声真似したら、先輩に可愛いって言われた……凄く嬉しかった。それに飼いたいって……先輩に飼ってもらいたい……


もし、また猫の真似したら、可愛いって言ってくれるのかな……


プールへ辿り着いて、更衣室で別れた。そういえば先輩の視線時たま胸に向いてたよね、自意識過剰かなこんな小さい胸普通見ないよね、それとも先輩に下着の写真を送ったからかな……


いや、勘違いかもしれないけど、とにかく先輩の水着が見れる。先輩の上半身どんな感じなんだろう。でも絶対にかっこいいことは確定しているので……


この日のために佐奈川さんからいろいろなことを教わった。


~~~先輩さんを落とすプールデートテクニック~~~


『一つ。可能な限り密着する。ボディータッチってとても大事だよ!』


『二つ。できれば腕に胸を当てる。おっぱいが嫌いな男子はいないのだ!』


『三つ。先輩さんを興奮させる。リミッターを外させよう!』


『四つ。先輩さんに押し倒される~きゃ~~~~』


……佐奈川さん私のこと楽しんでないだろうか?


三つ目と四つ目はともかく。密着まではしたい。偶然を装って密着したい……でも、はしたない女って思われてないかな。間違えて下着の画像送っちゃったし。


とりあえず着替えないと。髪も長いから纏めて……うぅ……緊張する……


☆☆☆煩悩を消すため


「……!」


「あ、あいつ……レジャー施設なのに準備体操でガチスクワットしているぞ……相当汗かいてるし、ガチで泳ぐなら市民プールの方が良いのではないだろうか」


煩悩よ、消えよ……煩悩よ……消えよ……


男の着替えなんて大したことはない。柴橋が来るまでスクワットをしていた。


「992……993……」


かなりの発汗。足の感覚がなくなるような状態に陥っている。だけど、この状態になってこそ、俺は無欲になれるのだ。


スクワットとは良いものだ。全てを忘れられる。


「1000……はぁ……はぁ……」


何故か見ていた人から、拍手された。見世物じゃないこっちはほんとに真剣なんだよ。


「せ、先輩凄い汗かいてますけど大丈夫ですか……?」


大丈夫だ。柴橋は滅茶苦茶可愛い水着を着ているに違いないが、問題ない。可愛いと褒めることは決まっているので……


「はぁ……はあ……平気だ。軽い準備運動しただけだから」


千回したんだ。これで大丈夫だろう。今の俺は無敵なのだ。


「それじゃ遊ぼうか……柴橋……なっ!」


スクワット千回は無駄だった。


長い髪を頭の上でお団子にしてまとめている。紺色のビキニで、小さな胸元にはフリルがあり、腰からはひらひらしたスカートもついている。水色のラッシュガードを羽織っており露出は控えめであるが、その中で見えるお腹がとても良い。


「ご、ごめんなさい。日焼け止め塗ったりしていたので遅くなっていました……せ、先輩?」


柴橋のおへそ凄くいいな、肌も白くてウェストも細い。普段は露出をしない女の子が少し開放的な格好になると、こうも破壊力があるものなのか……


お腹をまじまじと見つめてしまう。確かに柴橋の控えめな胸とか細い足も魅力的だけど……やっぱお腹だ。すると俺の視線に気づいたのかお腹を隠した。


「先輩……その、そ、そんなに見られると、は、恥ずかしいです……」


照れた顔反則……可愛すぎるんだよ柴橋。


「わ、悪い! 水着す、すごく似合ってて。す、すごくかわいいよ……」


「せ、先輩!? こ、これ友達が選んでくれた水着ですから……そ、その。褒めてくれてあ、ありがとうございます……」


友達さん。柴橋の良さ凄い理解してるな。プロのスタイリストになってくれ……


☆☆☆筋トレの成果


「せ、先輩も腹筋割れてて……凄くかっこいいです……」


「い、一応バイトで現場とかやってたからかな、筋肉は付いてると思う」


池谷にしごかれた成果が出たということになる。


「先輩の筋肉凄いです……あまり詳しくないですけど、腹筋の割れ方って生まれた時から決まってるらしくて、先輩の腹筋ちゃんと6パックあるんですよ……うわぁ……かっこいい~~~」


柴橋は俺の腹筋をじっくりとみていた。


「そ、そんなにいいのか?」


「は、はい。腹筋凄くいいですよ……割れ方も綺麗ですし、均整の取れた体で……かっこいい……うわぁ……さ、触ってみてもいいですか……腹筋……」


まさか、俺の腹筋に見惚れているのか……?


「え?」


「あ、ごめんなさい。つい……だ、ダメですか?」


「いいけど……腹筋ぐらいなら」


正直。腹筋は重点的に鍛えていたので褒められるのは嬉しい。


「え、いいんですか……あ、ありがとうございます……で、では失礼して……」


柴橋は俺の腹筋を指でなぞる。くすぐったい感触があった。


「うわぁ……凄い。先輩の身体大きいです……男の人って女の人と身体の作りがホント違うんですね……綺麗な筋しています。先輩……腹筋に力入れてもらえますか? うわぁ……凄く硬い……相当トレーニングしてますよね……腹筋凄いです……汗が掬えますし……腹斜筋も腹直筋も……はぁ……はぁ……」


抉るように柴橋の指が溝をなぞり続ける。先ほどの運動で流した汗を汲み取るように掬っていく。なんだこの感覚は……


柴橋の呼吸が荒くなっている。


「し、柴橋もういいか……? くすぐったい……」


「っは! ご、ごめんなさい。私つい理性が……」


理性が飛ぶのか俺の腹筋。そんなガチガチに鍛えてないつもりだけど……本当にトレーニングしている人の腹筋と比べたら失礼だろ。


「う、うん。平気。それよりもプールに入ろうか――」


気まずくなりプールに入れようとした時だった。


「――せ、先輩! 泳ぎ方……教えてください……」


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