第19話 ナンパを追い払え!
〇〇〇ゲームで解決。
これが、ゲームセンターにいるナンパというものだろうか、佐奈川さんを狙ってきたのだろう。
佐奈川さんは滅茶苦茶美少女だ。男二人は髪染めていて、明らかに遊んでいるイメージだ。
視線も佐奈川さんを見ている。
「あの、今は友達と二人で遊んでいるのでやめてもらえますか」
あ、佐奈川さん私のこと友達って言ってくれた……じゃなくて!
「何言ってんのさ、二人より四人で遊んだほうが楽しいこれ常識だよ? 2+2は100だよ。20倍だって」
……間違っていないだろうか?
「どこか行くのが嫌なら、ゲーセンデートしようよ。俺ゲーム滅茶苦茶上手いから? あそこの格ゲーでもまじ30連勝中で、ほんとマジ最強だから、一緒にやったらマzゲームの腕上がるかもしれないよ? 教えてやれるし」
「別に貴方達とゲームする気はないです、いい加減しつこいですよ!」
「いいから~いいから~いいじゃん~そっちの地味な子もどう?」
「私なんか佐奈川さんのハッ〇ーセットのおまけみたいな存在は興味ないですもんね……そうですよね……ははは……」
佐奈川さんが嫌な思いをしている。せっかく楽しい雰囲気だったのに……顔には出していないが怖がっている。
「え、柴橋さん何言ってんの……? きゃっ! ちょっと手を放してください!」
「いいじゃん。一緒にゲームするだけだからさ。格ゲー得意だから。社交ダンスの様に美しく教えてあげよう……!」
ゲームが上手い……どう見てもそうは思えない。実力がないのにそういうことを抜かしている奴にイライラしてきた。
騒がしいゲームセンターはとても空気が良い。だからかとても落ち着いている。
「……あの。ここはゲーセンなんですしゲームで決着をつければいいじゃないですか」
「柴橋さん?」
「もし、勝つことが出来たらデートします。佐奈川さんもそれでいいよね。だからその手を放してください」
「え、でも……柴橋さん初めてゲーセン来たって……」
男は佐奈川さんから手を放した。
「ははは、この地味女彼の実力知らないで言ってんの? いいよ、どうせこのハッ〇ーセット女なんかノーダメで行けるよな。っで、何のゲームやるんだ?」
よし、乗ってくれた……
「言い訳されないために貴方の一番得意なゲームでいいです。私が勝ったら二度と私達に付き纏わないでください」
「いるよな~こういうコンシュマーゲームやって少し上手いからってゲーセンで実力以上の力出せると思ってるやつ! コンシュマーゲームとゲーセンが違うってとこを見せてやるぜ。地味女でもこのゲームは知ってるよなぁ!」
ナンパ男が選んだのは定番の格ゲーであった。一応家庭版でやったことはあるけどゲーセンでやるのは初めてか……ボタンの配置はうん。覚えた。
「柴橋さんダメだよ! 相手三十連勝してるって言ってたし勝てないって……その……」
「大丈夫。絶対に勝つから。佐奈川さんは後ろから見てて……」
「柴橋さん……? なんか雰囲気が変わって……」
1コインを入れる。うん。レバーの調子とボタンの感度。全部把握した。
「俺の隠し最強キャラで行くぜ、ごめんね~~~地味女! 美少女は俺のものだぜ~い!」
言い訳されないために一番弱くて相性悪いキャラでいいか……さてと。
「え」
勝った。
「まぐれだし~~~」
勝った。
「は? もう一回だぜ!」
勝利勝利勝利。
「……嘘。でも、地味女が使ったのは相性悪いキャラだから俺が余裕で勝てるはず……え、あれ? なんで?」
駄目だ。弱すぎる……途中から片手でも勝てた。ため息が出ていた。
「はぁ……あの……弱い者いじめさせるのやめてほしいんですけど。これじゃ、一方的に私が勝ってるだけじゃないですか、何の面白みもないですって、それでも三十連勝できるってここ、そんなに弱いんですか……」
「い、いや、俺はほんとに――」
「――そもそも、戦法間違ってますね、大体、私のキャラだと、攻撃判定も発生も全部負けるのに何一つダメージ与えられなかったですよね。もしかして目が見えてないんですか? それとも、油断してるとか? 何回も繰り返されてもお金をドブにすれてるようなものなのですけど、正直この程度で強いと言える、貴方達の神経にがっかりしています。よくも生産性のない時間を過ごさせてくれましたね。それでは私達はこれにて失礼しますね。もう行こう佐奈川さん」
「あ……ちょっと待って……地味女……君の名は……」
ナンパ男達が引き留めようとするが無視する。
「柴橋さん……あ……」
佐奈川さんの手を取っていく、ナンパ男達も追ってはこないだろう。
離れて考えれば今私とんでもない事をしていると気付いた。
「あ、あ、あ、あ……ご、ごめんなさい。私なんか変なテンションになっていて……い、今思えば、男二人になんて舐めた態度取ってるんだろう。普通に殴られたりしてたら死んでましたし……柴橋さんも危険に巻き込んでごめん……」
すると、佐奈川さんはぼーっとしていた。あ……もしかしてあの人たちをコテンパンにしたから引かれたのかな……正直、イライラしてたとはいえ、開幕即死コンボを叩きこんだのは良くなかったのだろうか……
「あ……柴橋さん。あ、ありがとう……その、かっこよかった……」
手を放そうとしたが、佐奈川さんはずっと握っていた。
「……え?」
佐奈川さんの顔が赤くなって、私の両手を掴む。
「ゲーム凄い上手なんだね……びっくりした……」
「ま、まぁ、ゲ、ゲームは一応得意だけど……それより柴橋さん怪我はなかった? さっき腕掴まれてたよね……」
「うん。大丈夫。柴橋さんが守ってくれたから。私ほんとはナンパから柴橋さんを守ろうと思っていて、でも、男の人に手を取られた時震えちゃって……その、凄く怖かったんだ……あの時助けてくれなかったら、私泣いてたかもしれないし、でも、柴橋さんがナンパをゲームでやっつけてくれたからその、凄くかっこよくて、王子様みたいだった」
「あ、あの、佐奈川さん? どうしたの?」
なんか嫌な予感がするんだけど。佐奈川さんどうなっての?
「ありがとう……柴橋さん。柴橋さ~ん……好き♡」
えええええええええええええ!
え、なんかキスしようとしてくるんですけど……い、いや!
「ごめんなさい。私先輩がいますから~~~友達としてなら、私も好きだから!」
「じゃ、ハグして! 友達として」
「うん! 佐奈川さんとハグするの好き!」
友達としてなら大丈夫か……その後私達は夕食を外で食べて別れた。
これが初めての友達か……佐奈川さん。なんか最後ちょっと変だったけど……スキンシップってやつかな……?
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