第18話 感謝の気持ちと芽生える友情

〇〇〇オシャレへの道


……疲れた。というのも未知の体験が連続して訪れたためだ。


「柴橋さん。これとかどう?」


「え、あ、あ……う、うん。いいね……」


「柴橋さん? これ凄い可愛いと思うんだけど」


「え、あぁぁ。か、可愛いと思うよ……」


「柴橋さん~~~私のコレ似合ってるかな~~!」


「あぁ、えぇえぇ可愛いと思う……」


「柴橋さ~ん~~~?」


「えぇぇぇあぁぁっ!」


「し~ば~は~し~さ~ん~~」


「ぴゃああああああああ」


服とか化粧とか……いろいろと私の知らない世界だった。これを普段女子が体験している光景だというのかな……?


眼鏡も完成したので受け取ると、一度ショッピングモールのフードコートで休憩を取った。ステーボックスコーヒーに初めて行ったが、案の定注文に行き詰ったところを佐奈川さんにフォローしてもらう。


「ごめんね、私の買い物にも付き合わせて……柴橋さんはこんなにいっぱい買って予算大丈夫だったの?」 


佐奈川さんにおすすめされたものを買ってたら紙袋が増えていた。


「全然気にしてない。佐奈川さんのセンス凄いなって思ったから。とても勉強になったし……予算も今までお小遣い使う機会なかったから大丈夫だよ」


試着してみたけど正直言って、似合ってるか分からなかった。


「そういえば、私服ないとか言ってたけど、柴橋さん休日は普段何着ていたの?」


「えっと、中学生のジャージ……」


一度として本来の用途で使ったことはなかった。そもそも中学行ってないし。


それに家から出ることがほとんどないので、ジャージで事足りてしまうのだ。一生ゲームやってるし……


「……あの、柴橋さん。もしかして、先輩さんと出かける時もジャージでいいと思っていたの……?」


「……あ」


確かに佐奈川さんの言う通りだった。休日に先輩を呼び出して家であんなジャージの格好していたら、先輩どんな顔するのだろうか……


「先輩なら……一緒にジャージ着てくれそう……」


「っぷ……柴橋さん……面白い……ほんと先輩さんのことしか考えていないんだね……あはは……」


突然。佐奈川さんが笑いだした。


「そ、そんな笑わないでよ。佐奈川さん!」


「いや~私柴橋さんのこと好きかも~凄く面白い……あはは~」


佐奈川さんは凄く話しやすかった。それに私に協力もしてくれるし……


「むぅ~~~~酷いよ佐奈川さん……ふふふ……」


私も自然と笑っていた。


〇〇〇ゲームセンター


ドリンクを飲み終わり、私達はショッピングモールを歩いていた。時計は7時を回っている。


「この後柴橋さんはどうする? もう解散?」


あぁ、この時間はもう終わりなのか……佐奈川さんと一緒に巡るの楽しかったな。これが普通の友達関係なんだなって。


それに、おしゃれのこともいっぱい知れたし、LEMONも交換した。


だから少し心の残りというモノが生まれてしまう。


「佐奈川さんありがとう……」


「え?」


「その色々と教えてもらって……先輩とのことも応援してもらって……凄く助かった……だから……」


「――もちろん無料でとは言ってないよ。柴橋さん」


「え?」


まさか……お金を請求される……いくらだろう。5万くらい……? そうだよね、そんな都合のいい事ってないよね……そりゃ私はこんな陰キャだし、陽キャの佐奈川さんが声をかけてくれること自体が貴重なのだ。


「お代は先輩さんとのあまあまトークで返してもらうからね!」


とびきりの笑顔を貰った。


「さ、佐奈川さん~~~~」


するとゲームセンターが見えた。家でしかゲームはやらないため行ったことがなかった。本当にチンパンジーがいるのかな……怖い……


「あ、UFOキャッチャーがある~あのぬいぐるみ可愛い~~~」


UFOキャッチャーのぬいぐるみを柴橋さんが欲しがっている……


「……っは! さ、佐奈川さんちょっと待ってて……」


すると私は迷わずにUFOキャッチャーへ向かう。2コイン入れた。


「柴橋さん? UFOキャッチャーやったことあるの?」


「いや、ゲーセンに来たこと自体初めてだよ……でも」


まずはアームのパワーを知る必要がある。あとは簡単だ……これがゲームだというのなら、私が失敗することは絶対ないのだから……


ボタンを迷いなく押してぬいぐるみを押し寄せる。


「あ、ダメか~~~え、あれ……二回目で落ちた! 凄い!」


景品を私は取り出し、佐奈川さんに渡した。


「佐奈川さん。お代はコイバナと言ってたけど、その、私からのお礼……今日付き合ってくれて本当にありがとう……」


「いいの? ありがとう……柴橋さん。まさか二回で落とすなんて思わなかったよ……ほんとにくれるの? いいの?」


「次からは一回で落とせると思う……その、ほんとこんな私に話しかけてくれて、その、先輩との関係を応援してくれてるって言ってくれて凄く嬉しくて……だから、佐奈川さんが欲しいぬいぐるみならぜ、全部取るから!」


「凄い~! ありがとう! 大切にするね柴橋さん!」


すると、佐奈川さんに抱き着かれる。


「その、私……前から柴橋さんに声かけ見たいと思っていて、その、球技大会できっかけ作れたから凄く嬉しかったんだ……ありがとうね、柴橋さん……」


これが友達っていうのかな。凄く嬉しかった。


「うんうん。女子の友情は素晴らしいものだ~どうだい二人共。俺達とこの後どこか行かない?」


そこには知らない男二人がいた。


「……え」

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