第17話 友達との放課後
☆☆☆打ち上げに誘われて
球技大会の全種目が終了して、HRも終わり放課後が訪れた。
「バイトマスター。この後はクラスの打ち上げがあるのだが、君が参加する確率は100%……」
と、打ち上げに誘われたが……
「悪い先約があるんだ」
「僕のデータが負けた……だと?」
打ち上げに参加したい気持ちもあるが、柴橋が優先だ。
「どうせ彼女とデートだろ……武野一生恨むぞ……俺も年下の彼女欲しいのにぃ! 川上今が言うチャンスだ!」
鈴木に絡まれる。
「僕のデートがないぞ!? バイトマスターよ!」
一文字違うだけだろ。川上なんか満足そうな顔してるし……
「彼女じゃないって言ってるだろ、予定があってだな……」
するとLEMONからメッセージが入った。
『申し訳ございません。先輩……ほんとに謝ることしかできないのですけど。その、クラスの人と眼鏡を見に行くことになってしまって……』
その言い方だと、俺とは一緒に見に行かないか。いや、クラスで友人ができたことを素直に喜ぶべきなのだ。べきなのだけど……
『その……』
一緒に行けなくなったことは少し残念だけど……って……でも、俺がそんな女々しいことを言ったら、柴橋を困らせることになる。
だから平静を装う。笑顔で送り出さないとな。
『おめでとう。行っておいで』
『本当にごめんなさい! 私の都合で先輩にご迷惑をかけてしまって、ごめんなさい……!』
『謝らなくていいよ。一緒に出掛けられる友人が出来たんだから。俺のことは気にせずに楽しんできておいで』
……また誘ってほしいと書こうとした。でも、今は友人に集中してほしい。だからメッセージを送ろうとしたが消す。こっちにしよう。
『もし困ったことがあったらいつでも相談に乗るからさ、応援してるよ!』
『はい。ありがとうございます。先輩。本当にごめんなさい……』
LEMONを閉じる……断って凄く気まずいが……予定も無くなったことだし。
「打ち上げ俺も行けそうだな。場所はどこだ?」
鈴木が嬉しそうにしていた。
「お、武野フラれたのか! そうだよな。やっぱ彼女なわけなかったよな。ガハハハ! ざまぁないな。か~ら~の~川上!」
「君のデートがないぞ!?」
昭和だったら殴ってるぞ。
「やっぱ行くのやめるわ。腹立ってきた」
「ははは、冗談だよジョーダン。バスケをしてただけにね。僕のデータによると、まだ決まっていないがファミレスになる確率が高い。なにせドリンクバー飲み放題だからね! 89%だ! 君の分のドリンクバーは僕が奢らせてもらうよバイトマスター」
そのまま俺達は放課後のファミレスに向かう。正直言うと、寂しい……
だから、俺も久々に羽を伸ばそう。
〇〇〇ショッピングモールへ
私は佐奈川さんと一緒に近場のショッピングモールへ向かった。先輩以外の人と初めて放課後を共にした。こ、これが友達なのだろうか……
でも、先輩の誘いを断ったのは未だに胸が痛い。行動してほしいと願ったのは私なのに、私の都合で先輩に迷惑をかけてしまったし……
でも先輩はそんな素振りせずに、優しく送り出してくれた。ほんと先輩は優しい……でも少しは残念そうにしてほしかったのもあるけど……
それは私の欲張りだ。だけど、先輩成分が足りないかもしれない。頭撫でてもらったのは十分だけど……
最近先輩成分ないと体調悪くなってくるし……本当は先輩に会いたいって今からでもLEMON送ろうかな……でもそうしたらめんどくさい女だって思われてしまうかもしれない……
「そんな落ち込まないで柴橋さん……顔に出てるよ」
「そ、そんなに私の顔が死んでるって?」
「今にも世界が終わりそうな顔しているって……そんなに先輩さんの誘い断るのが辛かったの……? ごめんね」
「い、いや。私が決めたことだから……そ、それに佐奈川さんが協力してくれるの凄く嬉しくて……私クラスの人と触れ合う機会あまりなかったから……」
佐奈川さんは制服も私と同じはずなのにオシャレだ。スカートだって私より短くて、細くて綺麗な足が同性ながら素晴らしいものだった。肌の張りが違う……
「うん。うん。これも先輩さんを堕とすためだから! じゃ、まずは眼鏡から一緒に見ようか、柴橋さん!」
「普通に黒縁のいつも使ってるやつでいいと思うけど……」
「それじゃダメだよ! 思い切ってコンタクトにしてみたら? 先輩さんも驚くかもしれないし」
「え、目に物入れるなんて絶対できない。怖い眼鏡がいい……眼鏡がいいです」
「そこまで言うならおしゃれなフレームに変えてみるとかどう?」
「そ、そうだね……私にはどれがおしゃれなのかとか、分からなくて……」
佐奈川さんに連れられるまま私は眼鏡ショップへ行く。
「ま、見てみなって、結構フレームでも人相変わるもんだよ? 例えばこれとか」
佐奈川さんが選んだのはどれもおしゃれであるけど。鏡で見ても私の姿がどうなっているのか視力的によく分からない。
でも私に似合うかは佐奈川さんのセンスに委ねられている。
「う~ん。柴橋さんって、化粧一切しないタイプだよね」
「う、うん。やり方とか分からないし。したところで何も変わらないから……誰も見ないし」
正直。そういうことには無頓着だった。一度先輩に振り向いてもらいたくて化粧をしてみようかと考えたけど、いろいろ多すぎて諦めた。
「見た目が凄い変わるよ! 先輩さんが見てくれるって考えればいいと思うけどな。メイクの本とかあるし、私の使い古しで良ければあげるよ? それにショッピングモールだから化粧用品も揃えられるし」
「で、でも……!」
「あ、予算とか気にしなくて大丈夫だから! お小遣いでも手に入るくらいの店も知ってるから!」
予算に関しては問題ない。多分。高級な化粧品だろうが買えるのだけど……先輩的にはあまりお金があることを知られない方がいいみたいだし、佐奈川さんを信頼していないわけではないけど、ここはしっかりしておこう。
「あ、ありがとう。佐奈川さん。私やってみようかな……」
「うん! その調子だよ柴橋さん! 頑張って先輩さんを堕とそうね!」
「う、うん!」
こうして買い物が始まった……
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