第2話 incident
一週間後、SNSで一般の女性のつぶやきが一つの話題になった。
<爆弾をコンビニのレジ横に売っていたので買って投げると魔法使いになりました。>
女性はコメントの後に写真を添えた。
その写真は顔にはモザイクはかかっていたが紫色の足元までのびた紺色ローブにローブの隙間から見える白シャツに赤いネクタイ、茶色く先が尖った靴に円錐の先の折れたツバの広い帽子をかぶり右手に木が捻れた背丈より長く、先端に白い水晶がついた杖を持っていた。
この投稿は数時間でバズりネットニュースにも取り上げられた。
嘘だ。ただの人気取りだと騒がれるようになったため、彼女はその時の状態と1枚の写真を投稿した。
<フェイク騒がれているため、追記します。見た目は皆さんお馴染みの爆弾と変わりませんでしたが、今となっては気のせいかもしれませんが重みを感じました。説明書通りにピンを抜いて床に投げるといつもより多くの煙で包まれて煙が止むとこの衣装を着て、床には杖と本が落ちていて後は、爆弾の半分に割れたプラスチックしか残ってませんでした。>
長文の後には、分厚く真ん中には金で書かれた花の絵とその上には文字なのだろうか、英語の筆記体のような一文があった。
次の日になると忍者その次は山賊などと日を重ねるごとに人は増えていった。
<いつも当社の商品をご利用いただき誠にありがとうございます。感謝を込めまして当選するラインナップの更新はご満足いただけたでしょうか。これからも当社の爆弾箱をよろしくお願いします。>
日付が変わった直後爆弾箱を出している企業のアカウントがコメントした。
SNSでは、バージョンアップの件で騒がれていた最近現れた魔法使いや忍者のことだろうと予想され自分もなりたいと購入者は増え増産が繰り返されおもちゃ屋だけではなくどこでも見るようになった。
2週間程度が経ち、爆弾箱がいつどこでも買えるようになり、魔法使い等の返信も特別ではなくなってきた頃爆弾の中身が空だというコメントが徐々に増え、公式の方にも不満が殺到した。
<いつも当社の商品をご利用いただき誠にありがとうございます。数多くのお客様からコメントをいただきました為、返答をさせていただきます。当社の爆弾箱は皆様に夢を届けるものです。必ずしも物が入っているとはございませんご了承ください。その代わりに周りに不思議なことが起きていると思いますので探してみてください。>
公式はこの不気味なコメントを残して今後コメントをすることはなかった。
このコメントの後、爆弾の中身が空だったとコメントした人は奇妙なコメントを次々とした。
預金残高が増えていた。別れた妻が帰ってきた。1等の当選した宝くじがポケットに入っていた。
皆それぞれ内容は違うが良い出来事がずらりと並んでいてそれを見た者達は自分もと買って願うのだった。
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