第7話妖怪たちとの生活

僕はそのまま尺菜毛村に住むことになった。

昼間は尺菜毛館を手伝い、夜は尺菜毛八千代さんとのむふふな生活を楽しむ。

あの和服を着たおかっぱ頭の中居さんは見た目通りの猫娘だった。

その他にもこの村には妖怪たちがたくさんすんでいる。

工芸品の職人はからかさお化けや目玉のちょうちんだったり、村の食堂ではあずき洗いや豆腐小僧が働いていたりする。

妖怪たちの楽園といって良いところだ。

尺菜毛館でも一つ目やのっぺらぼうが働いている。

皆、普段は人間の姿をしているが何かの拍子にもとの妖怪に戻ったりする。

最初は驚かされたが、一月もするとそれにもなれた。


僕は約一週間に一度の割合で妖怪たちに頼まれて、大阪市内や奈良市内に買い出しに行くことを仕事の一つにしていた。

その日も僕は八千代さんと大阪市内にある百貨店に来ていた。

八千代さんが化粧品を選んでいるのをぼんやりと待っていると誰かが僕の名前を呼ぶ。

「あら、里中君じゃないの」

それはかつての僕の憧れの女性であった高柳美彩季であった。

どうやら彼女も化粧品を買いに来たようだ。


美彩季は僕の姿を頭のてっぺんから爪先まで見る。

「ふーん、ちょっとは感じ良くなってるじゃないの」

すっと手をのばし、僕の髪をさわる。

「ねえ、私サイゼリアって嫌いじゃないのよ。マルゲリータとワインは好きなぐらいよ。でもね、最初のデートではもっと静かなところに行きたかったのよ。静かなところで君と話をしたかったのよ。君のことを知りたかったのよね。でも君はもう誰かのものになってしまったみたいね」

僕の髪から手を離して、ふふっと美彩季は笑う。

「里中君、じゃあね。もし、私と話たくなっらいつでも連絡しなさい。待ってるわね」

そう言い、美彩季はバックから小さななにかを取り出した。

それはお守りだった。

高柳神社と書かれていた。


僕はそれをズボンのポケットに突っ込む。

まあ、あの美彩季と連絡なんてとらないだろう。僕には妖怪だけど絶世の美女の八千代がいるんだから。

買い物を終えた八千代が僕のところに駆け寄ってくる。

僕の腕に彼女は腕を絡ませる。

大きな胸の感触がたまらない。


僕たちは買い物を終え、尺菜毛村に帰った。


終わり

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デートでサイゼリアに行こうとしたら、ありえないとふられた僕は結婚相談所で八尺様を名乗る和風美人を紹介され、溺愛されました。田舎で妖怪たちとのんびりスローライフを送ることにしました。 白鷺雨月 @sirasagiugethu

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