第3話お見合いしませんか
謎の結婚相談所に契約して、一週間が過ぎた。
一ノ瀬弧二郎から電話があった。
「里中様、あなたに会いたいというかたから連絡がありました。よろしければ先方のお写真と簡単なプロフィールをお預かりしていますので見にきませんか?」
留守電機能にそうメッセージがあったので、僕は仕事終わりに再び一ノ瀬結婚相談所を訪れた。
またあのぽっちゃり事務員の刑部狸菜子さんがお茶とお菓子を用意してくれた。
「先方のお名前は
一ノ瀬はそう言うと僕にいわゆるお見合い写真を見せた。
尺菜毛館とは和歌山県と奈良県の県境にある老舗温泉旅館だということだ。
僕はそのお見合い写真を見て、絶句した。
そこには藤色の着物をきた女性が写っている。その女性は絶世のと形容しても足らないぐらいの美人だった。眉の辺りで切りそれえられた前髪が印象的ないかにもお嬢様という雰囲気だ。それに着物の上からでもわかるほど胸が大きかった。椅子に座っているようだが、かなり背が高いと思われる。
「この人が僕と会いたいと……」
僕は一ノ瀬にきく。
「ええ、ええそうです。先方のたっての希望でお会いしたいと」
にこやかに一ノ瀬は答える。
この写真の美人が僕に会いたいという。
僕も会ってみたいと思った。だって普通に生きていたら、絶対に出会えない美人だ。騙されていたっていい、その尺菜毛八千代という女性と会ってみたい
「僕もこの人と会ってみたいです」
僕がそう言うと一ノ瀬はまた微笑んだ。
「かしこまりました。ではお日にちはおって連絡いたします」
一ノ瀬はそう言った。
さらに一週間後に僕は一ノ瀬の車で和歌山県と奈良県の県境にあるという尺菜毛館に向かうことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます