◆第二章⑮ ハーディー一行の出発 

 推定時刻 14:00


 ハーディー一行の4人は村の関所を出て、再び魔狼が出た森に入るところだ。


「――というわけで、レイリアとブラダを探すわけだが……、2人1組で行動するぞ。ハイマー湖の西回りルートと東回りルートで分かれて三日月遺跡に向かう」


 ハーディーが仲間を見回す。


「まぁ、強さ的なバランスで言えば、どうしても俺とアインは別々だが……スプレンディッド、お前はアインと組め」


「え? あたしハーディーが良い~」


 アインハードは無言だが少しショックを受けた顔を見せた。


「だぁから! だろっ! お前はそっち!」


「んもー。ツレないなぁ……」


 スプレンディッドは可愛い子ぶって唇を尖らす。普通の男子ならイチコロだ。


「そもそも、足跡を追える俺と、魔力感知が得意なお前は、ルートを分散する必要があるんだ」


「……はぁ~い」


 スプレンディッドは不服そうに返事をした。


「何だか、鼻が利くワンコみたいですね! あははは……」


 ランバートがまた余計な事を言っている。


 スプレンディッドとアインハードの2人が並ぶ。どう見てもお似合いの大人の美男美女である。それを見てハーディーは思った事をそのまま口走る。


「あ……、アダルトな匂いが……。お前ら、変な事すんなよ?」


「……は? ハァッ⁉ す、するわけないでしょーが‼」


 スプレンディッドは顔を真っ赤にして否定し、アインハードは蒼褪めた。


「ハーディーさん……、私をそんな目で見てたんですか……」


 アインハードは軽くショックを受けている。見た目に反して本当に生真面目な男だ。


 ランバートは若干置いてけぼりである。


 心の中では(大人ってこれだから…)なんて思いつつ、(あ、でもボクもブラダちゃんとレイリアちゃんなら考えちゃうなー)なんて考えていた。


(そう言えばレイリアちゃんってハーディーさんより年上なんだっけ? ハーフエルフって話だよなぁ。エルフの場合、年上だけど年下みたいなもんだからややこしいなぁ……)


 ランバートは頭を両手で支え、上空にレイリアとブラダの顔を思い浮かべ、妄想にふけていた。


(レイリアちゃんってボーイッシュな所があってかわいいよなぁ。でもやっぱブラダちゃんかなぁ。スタイルも良いし美少女だよなぁ……ぐふふ……)


「――おいっ」


 先程からハーディーが声をかけていたが、妄想にふけるランバートの耳には入ってきていなかった。


「おいっ! 聞いてるのか?ランバート?」


「あっ、何か言ってました?」


 ゴッ。ハーディーがランバートの頭を拳骨する。


「まぁた、お前は妄想してんのか⁉」


「いっだぁ! それ虐待ですよ?」


「うるせ」


 アインハードは気まずさでいたたまれない顔をしている。「この2人だけで大丈夫だろうか?」と心配している。もちろん心配なのはランバートが怒られないかという事だ。


「じゃあ、行くぞ! お前ら油断すんなよ! 俺とランバートが西回り、お前らは東回りだ」


「このスプレンディッド様に任せなさい!」


 スプレンディッドは自信満々だ。ハーディーはそんな彼女が逆に心配になってアインハードに目配せした。アインハードは頷き、チラッとランバートを見る。


「そちらもお気をつけて。特にランバート……君」


 ランバートはアインハードに向けてウインクをする。


「ハーディーさんがいれば百人力ですよっ! ってね」


 4人は二手に分かれ、出立した。

 

 

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

良かったらフォローといいねをお願いします☆

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る