第3話 外

姉と付き合うことになってから一週間がたった。

「おい、爽。彼女見つけたか?」

「....」

「ま、お前のことだからできてないよ―――」

「できたよ」

驚いたように僕を見る。

「え~うそ~」

女どもも衝撃を受けているようだった。

ざまあみろ。と言いたくなる。

「ま、お前の彼女なんてかわいくないだろうけどな。今週の土曜に顔見せろや」

とかなり焦った様子で捨て台詞を吐かれる。

姉ってかわいいの?



「ってことなんだよ」

「ほほーん。やっぱり、イメチェンしよっか?」

とまじめな顔で言ってくる。

「イメチェン?」

爽みたいな陰キャはあまり身だしなみなどを気にしたことがなかった。

だから、このような反応になってしまった。

「いつ空いてる? 私は配信のある夜以外は空いてるんだけど...」

「今日行く?」

というと嬉しそうにしてくる。

「私、弟君のこと結構かっこよくできると思うんだよね」

「ずいぶん自信あるんだね」

「そりゃそうだよー、一応兄弟だし。顔は大体わかるし」

わかんなかったらいろいろとまずいよっと心の中で突っ込みを入れながら話を進める。

「で、どこ行くの?」

と問うと...

「待って。さすがにこの格好じゃ外出られないでしょ」

確かにと、そういうことに疎い俺でもわかるぐらいで、髪はぼさぼさして服はパジャマ...うん、だめだ。やっぱ信用できないこの人。

「見てわかる通りひどいから、ちょっと待ってて」

「う、うん」


あれからかなり時間が経つ。

ゲーム動画を眺めていると姉が階段を上がる音がする。

「まった~?」

「かなり...ッッ!?」

「ん?」

さっきまではあんなに汚くて全くかわいくなかった姉が...まさか僕が意識してしまうまで可愛くなるとは...メイク...お・そ・ろ・し・い。

「あれ~? もしかして、私に惚れちゃった~?」

「い、いやっ。ぜ、全然そんなことないけどっ」

「ふふふ、可愛い」

赤面の僕を見てくすくすと笑ってくる。

(だって、僕のタイプ...だったんだもん)

とまだ赤面のままの僕は、姉と駅へ向かった。


「あ、そういえばこれから私の名前は佳穂かほって下の名前で呼んでね」

「わかったよ、佳穂」

「うんうん!」

なんでこの人こんなに喜んでいるんだと疑問を浮かべる。

「あ、もうそろそろだよ!」

そこには、ザ・オシャレという床屋がある。

「ここ?」

「そそ、お金は私が払うからね!」

自信満々で言われる。

姉はかなり配信で人気を集めていたからお金もそれなりにはあるらしい。

「では、遠慮なく...」

そこから、姉(佳穂)と店員が話を始める。


「では、お願いします」

「はい」

そして、爽はこの美容院でされるがままに髪を切った。



「ね――佳穂。これなんか変じゃない?」

「いやいや、全然いいよ!! 見違えったねぇ」

と髪をまじまじと眺める。

「これで、私の彼氏の合格ラインだね!」

「はぁ」

その後は、テンションの上がった姉と家に帰った。


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