第5話 平和的解決


「今日からサイハテの領主になることになったリンドラである! 誰かいないか!」


 そう叫びながら山を登っていく。


 もうこのセリフもテンプレだな。


「――誰だ! 侵入者だ!」


 どこからか声が聞こえてきた。

 

 侵入者って……。

 人の領地で勝手にやってるのによく言うな。


「――まさか監獄の奴らか!」


 茂みからゾロゾロと盗賊と思われる男たちが現れた。


「俺はこのサイハテ領の領主になった。リンドラと言う者だ。代表者はいるか?」


 とりあえず交渉してみるか。


「今はいねぇよ! ボスは捕まっちまってるからな!」


 1人の男がそう言うと、周りもそうだそうだと騒いだ。


 やっぱり監獄を襲撃しているのはコイツらだよな。


「だからと言って、監獄を襲うのはダメだろ」


「ん?」


「いくらお前らがボスのことを思っているのは分かるが――」


「ちょ、ちょっと待て! 俺らは襲撃なんかしてないぞ?」


「……え?」


 バンダナを頭に巻いた男が前に出てそう言った。


「いや聞いた話だと、ボスを助けにお前ら盗賊が監獄を襲撃しているって」


「俺らはそんなことしてねぇよ! そもそも、もう略奪行為はしてねぇから、もう盗賊でもねぇしな」


「はぁ? でも監獄には行ってるんだろ?」


「ああ。ボスを釈放してもらえるよう交渉してるんだよ」


「交渉? 交渉して囚人を釈放できる訳ねぇだろ」


「なぜだろう。お前が言うなって叫びたい気分だ」


 コイツらこう言ってるけど、向こうは怪我人が出てるって言ってたよな。


「ちなみにどんな交渉をしているんだ?」


「そりゃ、色々あげてんだよ。身代金代わりになるモノをよ」


 へぇ、金で解放できるのか。

 でも多分ウチ金ないからどっちにしよ無理か。


「何をあげてるんだ?」


「魔物だ」


「まもの?」


「そうだ」


「ま、魔物って価値あるの?」


「そりゃあ食えるし」


「食えるし!?」


「角とか爪は武器や道具に使える」


「道具!?」


 魔物ってそんな使い道があったのか。

 城に住んでるときはそんなこと聞いたことないぞ。


「じゃあ魔物の肉とか角とかをあげてるのか。でもそれじゃあ襲ったことにはならないよな」


「そうなんだよ。俺らも魔物の肉のおいしさとか知ってもらおうとしてるのによ。生きたままあげてんのによ。ひでぇよなお前ら!」


「――そうだそうだ!」


「――鮮度が落ちたら味が落ちるからな!」


「確かに肉は鮮度が命だもんな。だったら生きたまま……ってそれだ! それが原因だ馬鹿野郎!」


「はぁ? 岩をも砕く突進力がある『グレート・モー』を何体もあげたんだぞ! これでもう墜ちること間違いないはずだ!」


「うん監獄が落ちるねそれ。何攻城しようとしてるの」


「え? ダメだったのか……」


「当たり前だろ……。盗賊の上に、監獄に魔物を送り込むなんて。普通に大罪だぞ」


 悪者じゃないな。

 コイツらただの馬鹿だ。

 ちょっと待てよ?


「実は俺はさ、お前らを討伐することを条件に、囚人を解放することができるんだ」


「ああ? じゃあ俺らとやる気か?」


 全員が武器を手に取った。


「まあ待て。ここで提案なんだが――」


 俺はある提案をした。


「――お前の手下になるだぁ?」


「ああ。お前らを俺が従えて、お前らのボスを解放する」


「ボスはどうするつもりだよ?」


「もちろん家臣にする。優秀なお前らを従えてるんだ。相当頭のキレる奴に違いない」


「……お前らどうするよ?」


 男たちは相談を始めた。


「――信用していいのか?」


「――そもそも手下になってどうするんだよ」


 正直この提案を飲んでくれれば、兵士。指揮官。魔物に関する知識を手に入れられるんだよなぁ。


「とりあえず、保留という形でいいか?」


 相談して出てきた答えは、保留だった。


「なぜだ?」


「とりあえず、アンタの指示に従うが、ボスを解放してもらうまでは手下にはならない。その後のことは、ボスに決めてもらう」


「……分かった。それでいい」


 とりあえずは、前向きに検討してもらえたということでいいよな?


「じゃあ早速監獄まで行くが、何か足はあるか?」


「全員分馬がある。すぐにでも出れるぞ」


「よしじゃあ麓で待ってる。準備ができたら降りてきてくれ」




◇ ◇ ◇




 あれから俺は、元盗賊の男たち48人を引き連れて、監獄に向かった。

 ある程度の食料や道具、武器を持ってきてもらってある。


「悪いが、俺の領地は最悪の状態で、不満が多いかもしれない。しかし、お前たちの身は保証するから安心してくれ」


 道中、コイツらの話を聞かせてもらった。

 どうやら前のボスが死んで、今のボスに代が変わった際、殺しや略奪はしないことにしたらしい。

 今は狩りや採集を行い、部族のような生活を送っているらしい。


「ありがとう。助かる」


 しかし、前の領主が別の盗賊とつるんでいたことがあり、壊滅まで追い詰められたらしい。

 その時に、ボスは自らを犠牲に、部下を逃がしたらしい。


 まあ、周りの盗賊が減れば、自分の取り分が増えるからな。

 せこいやり方をするもんだ。

 まあ俺もそう見られているかもしれない。

 発言には気を付けなければ。




◇ ◇ ◇




「と、盗賊たちを手下にした!?」


 門番は驚きの表情を浮かべていた。


「ああ。いやまだだ。コイツらのボスを解放したら正式に部下になってもらう」


「……んー」


「条件は達成したはずだが?」


「……分かりました。しかし、責任は領主様が持ってください。我々は指示を受けただけですからね」


 まあほぼ俺のわがままだからな。

 迷惑かけてるのは分かってる。


「もちろんだ。それで――」


「ん?」


「何人貰ってもいいんですか?」


 門番の耳元でこっそり聞いた。


「……2人だけだ。また解放したいなら、次は大金を持ってくるんだな」


「ありがとう。では早速見に行っても?」


「ああ。おいっ、案内してやれ」


 そう言うと、1人の看守の男が寄ってきた。


「あっ、先に聞いとくか。お前らのボスの名前って何だ?」


 バンダナの男に聞いた。


「ジャッカルだ。青色の髪を後ろで1つに束ねている」


「へぇ。青髪の男なんて今まで見たことないな」


「ん? 何言ってるんだ?」


「何か変なこと言ったか?」


「あのな、俺らのボスは男じゃなくて女だ。女っ気は全然ないけどな」


「お、女ぁ!?」


ーーーーーーーー


 勢いで書いているので、言葉足らずの所があります。

 主人公の容姿もちゃんと書いていないので、そのうち書いていこうと思います。

 よろしくお願いします。

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