大正ロマンなレストランで【参】

違う世界線の違う時代。

多分、昭和に似た時代。


夏服のセーラー服から冬服のセーラー服に変わった日。


半年ぶりの冬服のセーラー服に心を躍らせながら、家に帰っていると、道で立ち尽くしている同じクラスの少年【愛結島琉之輔】と、目が逢ってしまった。

学ランの学生服がひどく汚れていた。


理由は見当が着いた。

この少年【愛結島琉之輔】は、可愛げはあるが、かなり駄目な方の少年だった。


苛められたのだろう。

声を掛かるべきだろうか?


迷ったけど、何故か無視できなかった。


「大丈夫?」

「うん」

「家に帰らないの?」

「こんな恰好じゃ帰れない」


家庭の事情が色々あるのだろう。


「うちに来る?洗濯機とシャワーぐらいなら貸してあげるよ」


わたしは自分の言葉に驚いた。

大して親しくもない男子の愛結島琉之輔を、どうして家にあげるの?

心の奥で葛藤があったが、どこかそうすべきと確信があった。


洗濯機とシャワーで綺麗になった愛結島琉之輔に、励ます意味で、オムライスを作ってあげた。

オムライスに濃い目のケチャップをかけてあげたら、愛結島琉之輔は、何故か懐かしそうな顔をした。


わたしは心の奥で、何か懐かしい何かに触れた気がした。




大正ロマンなレストランで、オムライスを編 完

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