大正ロマンなレストランで

大正ロマンなレストランで【壱】

俺の名は愛結島琉之輔。

元いた世界では、高等遊民として自宅を警備していた。

そう、ここは元いた世界ではないのだ。


この元いた世界と言うのが、どこなのか解らなくなってきているが。

まあ大した問題ではない。


俺の前で飛翔しているこの松の妖精のいろはは、パラレルワールドを自由に行き来できる能力があるらしい。


その妖精が言うには、俺はパラレルワールドの基点らしい。

その基点ってのが、なんなのかは俺には解らない


さて、意識を現実に向けると、そこは新たなパラレルワールドだった。


文明のレベルは20世紀の初めごろ、大正ロマンといった所かな。

ただ侍が歩き回っているって事は、歴史背景が若干違うのだろう。


明治維新が失敗したか、もしくは江戸が中途半端な状態のまま、時代が流れたか・・・俺にとっては、まあ大した問題ではない。


この世界で生きている愛結島琉之輔の身体に、違う世界から来た俺が、乗り移っている状態だろう。


もしくは、この世界の愛結島琉之輔が、眠っているか。

まあ大した問題ではない。


この世界の愛結島琉之輔は、まだ若い学生だろうか、学生服に下駄に黒い服にマントを着ていた。まさに大正ロマンだ。


そんな恰好で、俺は駅のベンチに座っていた。



大正ロマンなレストランで【弐】へ つづく



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