第43話 転落人生
ここはゾンビ教に8人しかいない枢機卿すうききょうの地位を持つ者だけが知る秘密の隠れ家。
「とりあえずは現状維持ということでよろしいですね?」
「もちろんです」
「神がそうすべきと申しておられるのです」
「意義はありません」
「もちろんでございます」
「では過半数が賛成という事で」
今日は1ヶ月に1回のゾンビ教の方針会議の日。
「すいません私の方からよろしいですか?」
「どうしたのですかな、島草殿」
私は手を挙げ立ち上がる。
「最近のゾンビ教の全体の地位の低下の原因が私の担当場所である東京都にいる事が分かったのです。つきましてはその者に我々から天罰を下したく」
「なるほど。許可します。ではこれにて会議は終わりです。教祖様のために」
「「「「「「「「教祖様のために」」」」」」」」
こうして今回の会議は幕を下りる。
高野竜...あなたにはどのような罰を下しましょうか。
「おーい、いたぞ。星奏、早く動きを止めてくれ」
「分かった。エアーウォール」
俺達は今、ゾンビ動物を狩りに来ている。
今回は犬が相手だった。星奏は犬の動きを止め、技の維持に全力を注ぐため立ち止まる。
「いくぞ、雫」
「分かってるよ」
結構罪悪感が凄いが俺と雫は協力して犬の首を切る。
「ふー、今日で4月分は終わりか」
「そうだね。とりあえず獅車に乗ろう?ゾンビ達はいつどこから来るか分からないし」
「それもそうだな」
俺達は倒した犬の体と首を荷車に乗せ獅車に乗る。
ゾンビ達が来てしまったら怖いからな。
そして雫は俺達が乗ったことを確認するとすぐさまサン達を動かせる。
「Bランクになったら別にこんな事しなくていいんだがな」
「Bランクは能力を持っていても使い方が下手じゃ絶対なれないからな。俺達ののランクじゃ能力を持っていれば少しの実績さえあればすぐにでもなれる程度だしな」
「いいよねBランク冒険者。確かFって人はもしかしたらもうすぐで有輝と同じAランクになるかもってさ」
Fって人は一体何者なんだ。
有輝と肩を並べるって相当だぞ。
「そういえば今朝の新聞で読んだけど町のゾンビ教の建物が爆発されて2、3人亡くなったらしいよ」
爆発なのに少ないんだな。
「怖いな。でもまぁ恨み買ってそうじゃない?騒音問題とかで」
「ありそうだな。物騒な世の中になったもんだ」
ゾンビがおる時点で物騒である事は確実だがな。
「ていうか俺達ってゾンビ教に色々したけど大丈夫かな?」
「おいおい、私がいるじゃないか」
「...あぁお前一応貴族だったな。カッコ笑いだけど」
「...雫、今日の晩御飯は私に作らせてくれ。これでも一応、簡単なやつはできるんだ」
...
「私は...そうだ。今日友達と食べに行く約束してたんだった。忘れてたよ」
「雫、お前も友達は俺達以外にいないだろ」
「大丈夫だ、雫。私レベルでも人を殺すような物を作る訳がないじゃないか」
「...星奏、私はちょっと今晩サン達のせいで色々しないといけない事があって」
雫が少し目を逸らしながら言う。
サン達は何かを訴えるようにこちらを向く。
「雫、確かに私は料理が下手だがそんなに言われる程じゃ無いはずだぞ?」
「だって星奏はいつも念ためとか言ってお肉とか焦がしてるじゃん」
「それはだって...仕方ないだろ?」
「という事で今日の晩御飯は雫が作る事になりました。異論は認めません以上!」
なんか喧嘩になりそうな雰囲気だったので止めた。
家に帰りいつも通りにくつろぐ。
「なんか今日は嫌な事がありそうだな」
「なんでそんな事を口に出して言うんだ。本当にありそうじゃないか」
「仕方ないだろ。普段そこまで喧嘩しない2人が喧嘩しそうになったんだから」
今日は槍が空から降ってくるみたいな事がありそうだな。
「もしかしたらもうすぐに来るかもね、嫌な事」
「そんなのがきたら竜に一級フラグ建築士の資格をくれてやる」
そんな事を話していると突然インターホンがなる。
「...まさか...な」
「流石に...ね」
「お前らビビりすぎ。俺は余裕で行けるぜ」
「竜が言ったからなんだけどね」
俺の一言にビビりすぎなんだよ。
「はいはーい。どちら様ですかー?」
そう言って俺は玄関を開ける。
「高野竜さんですね。現行犯逮捕です」
騎士の人が俺に手錠をかける。
「すぅー、これはなんのご冗談ですか?」
「何を言っている。一昨日の午前9時にゾンビ教教会を爆発させたとして...えーと」
多分罪状を思い出してるのだろうか?
「...とりあえず。逮捕状がでてるから逮捕だ!」
...こんな適当な逮捕ってありかよ。
「...なんでお前らは逮捕されてないんだ」
「それは私でも分からない」
「しかも星奏の貴族権限が使えないんだよね。理由は証言が大量に集まった逮捕だからって理由で」
俺は今刑務所兼留置所の面会所にいる。
刑務所と言っても元はビルだった場所を改良して作られているので地味に綺麗だ。
「裁判は確か明日だよな」
「そうだったはずだ。大丈夫だいつも私達と一緒にいるじゃないか。その時だって私達と一緒に部屋でくつろいでいただろ?」
「それもそうだよ。絶対に勝訴を掴んでくるよ、星奏が」
だろうな。星奏位しか今の法律そんなに知らないし。
「頼んだぞ星奏」
「もちろんだ」
「判決、被告人高野竜は30億の賠償金と10年の隷属刑に処す」
オーマイガー!
「異議あり!被告人はずっと私達と一緒にいたんでそんな事する暇がありません」
「もう判決は下しました。大量の証言、これが何よりの被告人が犯人と結びつける証拠です。では、閉廷」
こうなったら控訴こうそだ。
※控訴とは簡単に言えば裁判の結果が不服な時2回目の裁判を受けることである。
「判決、被告人高野竜は30億の賠償金と10年の隷属刑に処す」
アメイジーング!
「待ってください、何度も言ってる通り彼は私達とずっと一緒にいました。彼が犯人と言うなら私達に関しての犯行の証言も出てるはずです」
「もう判決は下しました。では閉廷」
...こうなりゃ最後、上告だ。
※上告とは簡単に言えば2回目の裁判の結果にも不服な時3回目の裁判を受ける事である。上告が最後の裁判になる。
「判決、被告人高野竜に30億の賠償金と10年の隷属刑に処す」
クレイジー!
「だから何度も...」
「閉廷!」
...まじかよ。
「おい新入り、ここでは先輩の言うことは絶対だ。お前は床で寝ておけ」
俺は今、ガチムチの男3人がいる牢屋に入れられている。
ちなみに俺の囚人は9154番だ。
「へっへっへっ、お前みたいなヒョリガリが入ってくるとはな」
「お前は何をして捕まったんだ?俺らはな強盗だ。どうせお前は万引きとかそのへ...」
「2、3人の殺害と無許可での建築物爆発です」
冤罪だけど。
「そうなのか。特別にベットの上で寝かせてやる」
「お前らは床で寝ろ。逆らったらどうなるか分かるよな?」
「「「はい、分かりました。調子乗ってすいませんでした」」」
こいつらはこんな見た目をして人を殺した事がないんだな。
ふっ。
「おら!何してやがる。作業の時間ださっさと来い」
警官が牢屋の前に来て怒鳴る。
「はいはい、行けばいいんだろ?行けば」
「勝手に喋るな!さっさと来い」
俺は本当に何もしてないんだけどな。
星奏達は大丈夫だろうか?
借金約10億円。こりゃやばいですぜ。
そんな事を思いながら手錠つけられながらも町の外に連れ出される。
「さっさと外壁を建てろ、ゴミ共が!」
俺は本当に冤罪なんだけどな。
「おい!9154番、さっさとやれ!」
「分かってるつうの」
「私語は慎め!」
俺は本当にこれからどうなってしまうのだろう。
少し悲しみにくれながらブロック石を運ぶ。
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