第42話 セレブの日常2雫
私達は今獅車に乗ってゾンビ動物が発見された場所にまで向かっている。
「ゾンビ動物の報酬20万か。これなら3回やるだけで大丈夫そうだな」
「そういえば最近の冒険者はBランクになって奴隷達の監視役になって稼ぐのがいいらしいぞ」
なんかゲームみたいだね。
それだけこの生活に適応したっていうことなんだけどね。
「てか、ゾンビ動物とか絶対必勝法で倒すのは無理なやつでしょ。一体で20万だよ?」
「キメラはもっとしてたけどな」
キメラの事を思い出すとまだ少し胸が痛くなる。
もしゾンビ動物達にも自我があったらまたキメラの時みたいな事になると思うと少し怖くなる。
「知ってるか?最近の有輝はゾンビ動物の退治で引っ張りだこらしいぞ」
「私達の町以外の町の外壁は厚さを重視してるから入ろうと思えば簡単に動物に入られてしまうからな。入られたら魔法を使えるのは騎士ぐらいだから大変って聞くからな」
有輝か。最近町に来ないなと思ってたらそういう理由だったんだね。
「前、有輝に月にどれくらい稼いでるか聞いたらちょっと頭おかしいなと思った」
「どれだけ稼いでいるの?」
「月に1億」
本当に頭おかしいな。
「しかもあいつそのほとんどは使わないし大体は町に寄付して子供達のために使ってるってさ」
有輝は多分この世界の主人公なんだろうな。
「表面上のやつとは違うね」
「あいつと俺を比べないでくれ」
主人公か、いいなぁ。私もなりたいなぁ。
「もし私達に2つ名がついたらどんなのだと思う?」
「急だな。でもまぁ…うーんなんだろうな?」
星奏が腕を組み下を見たり上を見たりして考えている。
「俺は簡単だな光を操るし光の戦士とかだろ」
「竜はいつもダラダラしてるし愚者でいいでしょ」
「酷くね?」
竜が少し残念そうにするが結構愚者ってかっこいい方だと思うけどね。
「私は…」
2つ名は短い方がいいしどうしようかな?
そう考えていると。
「ロリコンキラー」
…竜の晩御飯だけキノコざんまいにしておこう。
楽しみだなぁ。
特別に作ってあげるなんて私、優しすぎるよ。
「あっ!私は…」
「盗人でいいだろ」
「私が犯罪者みたいだから嫌だ」
「本屋から本を取ってる人がよく言うよ」
星奏は下を見てなんとか目を合わせないようにしている。
「あっこの辺じゃないか?あそこにマッグがあって向かい側にズダバがあるし」
「大阪の人ってなんでマグトの事をマッグって言うの?」
「なんとなくに決まってるだろ。こっちからしたら
なんでお前らはマグトって言うんだ」
なるほどね。これが言語の壁か。
「そんな事はどうでもいいとしてこの辺にいるんだろ?ゾンビ…動物…だっけ?」
「そのはず…なんて言う動物だっけ?」
「ドブネズミだったはず」
ライオンとかじゃないんだ。
こういうのって肉食系の動物が敵であることが多いんだけどな。
…考えてみれば私の眷属、肉食系の動物の方が多かった。
「見つけにくくない?」
「そこはほらサン達にも協力してもらってさ」
「なるほどね」
そういう事なら簡単だね。
「一応気をつけろよ。ゾンビ動物はまだ謎が多いんだ」
「有輝は結構倒してるんだろ?なら情報とかもあるはずじゃないのか?」
「有輝は一瞬で倒すから分からないままなんだ」
強すぎるのもダメなんだね。
そんな事を話さながら獅車から降り星奏と一緒にサン達についてるひもをはずす。
「なぁ道路の真ん中に肉が腐って皮膚が垂れてるネズミがいるんだけど」
竜がそう言うと私と星奏は竜の向いてる方を見る。
「...本当にいたな。よし雫、やってくれ」
全く星奏は私のことをなんだと思っているだか。
あれならまだ可愛い方だから今から殺すとなると罪悪感も湧くんだよね。
「ゴホンっえぇそのままずっと何もせずにたっていなさい。...あれ?おかしいな。無理やり言う事をきかせるようにしたのに何も言ってこない」
普通は沢山暴言を吐かれるんだけど。
「まぁ大丈夫だろ。俺、ちょっと近づくわ」
そう言って竜がネズミに近づこうとした瞬間、ネズミが巨大化した。
「竜、何遊んでるんだ?姿を大きく見せて私達を驚かせようにもそうはいかないぞ」
竜は何も言わずずっとネズミの方を見る。
「竜、足まで震わせないでよ。どうせ私達を騙そうってことでしょ?早くやってよね」
「...星奏、雫、剣を抜いて構えるか逃げるか、どっちがいい?」
「...サン達につけていた獅車を引っ張るひもはもう外したし...はぁやるしかないか」
星奏が何かを諦めたようにため息をつく。
「能力だよね?」
「雫、ゾンビ動物は普通のゾンビよりもまだ謎が多いんだ。これが能力じゃなかったら?」
「...魔力切れを狙おうとした私が馬鹿だったよ」
なんでこうもこの世界はいつも理不尽なんだよ。
「サン達がいて助かった。こいつ、足がクソ早い」
「まさか、竜がいきなりネズミの目ににレザーを当てるとは思わなかったよ。そのせいで完全に怒っちゃったじゃん」
「隙ができると思ったんだ。仕方ないだろ」
全く、竜は少し自分勝手な所を治して欲しい所だよ。
「なぁ私から作戦なんだが。私があのネズミの動きをエアーウォールで止めるからその隙に首を切ってくれないか?」
「わかった。雫、俺の刀じゃ長さ的にあれの首を完全に切り落とすのは無理だから左側から切ってくれ。俺は右側からやるから」
「しょうがないなぁ」
そう頼まれたら断れないよ。
「じゃあいくぞ。エアーウォール!」
ネズミの動きがピタリと止まる。
「お前達が切りやすいように置いてやったんだから
必ず切り落とせよ」
「分かってるよそんな事」
私と竜はそれぞれ道路に足を下ろし剣を抜く。
「じゃあごめんね」
私はそう言って竜と一緒にネズミに近づき首を切る。
かなりの分厚さだったがなんとかなった。
ネズミの首が完全に落ちるとネズミは元の大きさに戻る。
「倒すと元の大きさに戻るんだね」
「やはりゾンビ能力因子も出なかったな」
「あの状態のままだったら運ぶのが大変だったな」
「そうだな」
「早く帰ろうよ。ゾンビ達が出てくるかもしれないよ」
私がそう言うと竜と星奏は頷く。
今日はちょっと疲れちゃった。
「ただいま、今日は誰が買い出しだっけ?」
「私だ。じゃあちょっと行ってくる」
星奏はすぐに支度をすませ買い出しに行く。
「竜、星奏が帰ってきたら起こして。ちょっと疲れたから寝る」
「わかった。おやすみ」
竜が返事をすると私はすぐに眠りに落ちる。
ここは...私の...家?今の時刻は...夕方の4時だね。
「ただいまー...今日も...か」
あれは...小学校に入ったばかりの私だ。
「本当になんなんだろうね。はぁ」
昔の私はため息をつく。
「早く掃除しないとね。それから洗濯、お風呂にも入らないと。晩御飯は...今日は野菜だけ炒めるだけでいいか」
昔の私は凄く寂しそうだ。
まぁ実際、寂しかったんだけどね。
「せっかく今日のテストは90点も取れたのに。誰にも自慢できないよ。それに今日も勝手に手伝われてめんどくさかったな」
そうだ、この頃は私が周りより小さいからか何をやろうにも勝手に手伝われて凄くうんざりしてたんだよね。
色々と思い出してると時が少し進む。
お風呂にも入り終わって晩御飯を食べている。
「...今日は何を見ようかな」
昔の私はテレビのリモコンを持ちながら見るアニメを探している。
「今日は...これにしようっと」
私はいつも1人でアニメを見ながら晩御飯を食べていたなぁ。
「...なんで私の両親はずっと帰ってこないんだろう。仕事仕事って」
昔の私は少し泣きそうになる。
[...い.....きろ!]
頭に声が入ってくるように誰かの声が聞こえる。
[おい...く.....きろ!]
何を言ってるのかさっぱり分からないけどそれは段々と鮮明に聞こえてきて。
[おい雫、起きろ!]
「わぁああ!、はぁはぁ」
私はすぐさま起き上がる。
あれは夢だったんだね。
「大丈夫か雫?星奏が帰って来たぞ」
「うん、大丈夫だよ。早くご飯の支度をするね」
私は立ち上がり少し伸びをする。
「今日使うやつは出しておいたぞ」
「ありがとうね、星奏」
私は鼻歌を口ずさみながらご飯を作り始める。
「今日の晩御飯は?」
「今日は竜の大好きなナメコ汁だよ」
「ちょっと俺、友達と食べに行く約束が...」
竜は立ち上がりそっと出ようとするが。
「竜に友達なんて私達以外にいないでしょ?」
私は笑いながら手を伸ばして竜の肩を持つ。
「ははは、ははは」
「食べよっか?」
「...ひゃい」
この4月は毎日ナメコ汁にでもしてあげよう。
健康にいいはずだしね。
「雫には私の牛乳以外の嫌いな物教えないでおこう」
星奏は少し引いてるけどまぁ仕方ないよね。
「じゃあもうおやすみ」
「いつもより遅いな。おやすみ」
私は少し寝たからかいつもより寝る時間が遅くなった。
寝た時の事を考えると前に思っていた事を思い出す。
本当にゾンビが現れて凄く感謝していた事を。
竜に会えて、誠華ちゃんと住めて私をあの寂しい所からこんな楽しさに満ちてる場所に住まわしてくれて本当にありがとう。
そう思いながら自室に入る。
明日はどんな日になるのかな?
期待に胸をふくらせながらベットで横になる。
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