第41話 セレブの日常1雫
「おはようってまだ誰も起きてないんだけどね」
私はいつも朝6時くらいに起きる。
皆のご飯を作らないといけないから早く起きてるってのもあるけど早く寝ちゃうから早く起きちゃうだけなんだよね。
そんな事を考えつつ洗面台に向かい歯磨きをする。
あっそうだ。
前にブラウニーを肩に乗っけてる事を忘れて新聞を買った時に新聞の売り場のおばちゃんがこの子いいわねって言ってたから色々と話し込んでた時にマンションからいちいち降りて買いに来るのも面倒だからとブラウニーにお金を持たせて来ててくれれば新聞を持たせてくれるって言ってたな。
私はその事を思い出しながらベランダに行く。
「…」
歯ブラシをくわえたままじゃ何も喋れないじゃん。
すぐさま洗面台に行き歯ブラシを洗って口をゆすぎ顔を洗う。
そしてまたすぐにベランダに行き。
「ブラウニー召喚!」
やっぱり言った方がかっこいいよね。
いつもノリで言ってるからたまに言葉の順番を間違えちゃうけど。
「…寝てやがる」
ブラウニーは睡眠中だったようだ。
「起きろー。ご主人様が言ってるんだぞ。起きろー。朝ご飯抜くぞー」
つんつんしながら話しかける。
ちなみにブラウニーのご飯はいつもブラウニー自身が取ってくるので私は何もしてない。
サン達のもクロのも。
《うっうーん。あっ雫しゃま、すいません寝てました。昨日仲間と遊んでたら遅い時間になっちゃって》
ブラウニーにも友達がいるんだ。
私なんて誠華ちゃんと竜以外にできた事ないのに。
ブラウニーは眠い目をこすりながら起き上がる。
《まぁそれはごめんね》
《それでどうされたのですか?》
《実は新聞を買ってきて欲しいんだ》
ブラウニーはまだ少し眠い目を気合いで開けているからかずっとフラフラしている。
《この前、そんな話をしてましたね。では行って参ります》
私は近くにあったふろしきにお金を入れる。
《はい、このふろしきを足にくくっておくね。落とさないでよ》
《御意ぎょい》
ブラウニーは返事をするとすぐに新聞が売ってある所を目指し飛ぶ。
飛んでる途中で寝ないといいけど。
「おはよう、雫。星奏を起こしてこようか?」
竜があくびをしながら部屋から出てくる。
「お願いね、竜」
私がそう言うと竜は星奏の自室に向かう。
「勝手にレディーの部屋に入るなよ、竜。お前がお年頃なのは分かるけどさ」
「お前がいつもこの時間は寝てるからだろ?」
竜と星奏が言い合いの喧嘩を始めたようだ。
「いつも起こしてやってんだから感謝しろよ」
「誰も起こせなんて言ってないだろ」
「子供かよ。てか起こせって雫が言ったからやってんの」
いい歳して喧嘩とか恥ずかしくないのかな?
「なら仕方ないか」
「なんで雫はいいんだよ。やっぱりお前らできてるんじゃないか」
「な、何を言ってるんだお前は。前から言ってるだろできてなんかないって」
「式はどこであげた方がいいと思う、星奏?」
「雫まで竜のノリにのるなよ」
確か同性婚は日本じゃできなかったはずだから海外に行かないとね。
「ていうか言い争ってないで早く朝の支度をしてよ。もうすぐで朝ごはんできちゃうよ」
「今回は私のせいってことにしてやる」
「今回もなにも起きないお前が悪いだからな」
星奏達が部屋から出てくる。
これから1日が始まる。
「ごちそうさま。今日はどうするんだっけ?」
「今月の…あの…なんだっけ?」
「あれだろ。ゾンビを100体倒すかクエストで20万稼がないといけないやつ」
竜が納得したように手のひらを拳で叩く。
「でもゾンビ100体も倒すのは大変という事でクエストの方をしようという事になったんだよね」
「そうだな。といことで今日のクエストを今から見に行こう」
星奏がそう言った瞬間ベランダにブラウニーがやってくる。
「あっブラウニーだ。新聞を買いに行かせたんだった」
「賢すぎないか、そいつ」
私もそう思う。
最初会った時もブラウニーからだったしね。
《ちょっと遅いよ。何してたの?》
《すいません。売り場まで行ったのはいいんですがあそこで新聞紙を渡されるのを待ってる時に寝てしまって》
(なぁ星奏、どう見ても雫が動物に話しかける可哀想な子にしか見えないんだが?)
(正直私もそう思う)
2人とも、聞こえているよ。
《はい、こちら新聞紙でございます》
ブラウニーはそう言って足につけたふろしきを差し出す。
《それではまた》
ブラウニーはそう言ってどこかに飛んでいく。
「さてと、今日の新聞には何がかいてあるかな」
新聞紙をさっと開ける。
「これまでの薬物流通事件の裏側にいつもゾンビ教がいたためゾンビ教を排除しようと貴族が動くが沢山の信者達によって反対運動が行われている。しかしその反対運動をしている信者達の顔には例外なく目がおかしくなっておりますますゾンビ教の謎が深まっていくばかり…って書いてあるね」
絵を見る限り目がおかしいというよりキマってる方が正しいかな。
それに多分目がおかしいのって大体の人達が薬物中毒者だからだろうね。
この事も一応ギルドのに伝えていたはずなんだけどな。
「ん?なんで天気予報のコーナーがあるんだ?しかもこの写真は人工衛星みたいのがないとできないはずだが?」
「あぁそれ、俺がやってんだよ。最近俺、よくどこかに行ってるだろ?」
そういえば最近竜はよく朝早くにどこかに行くことが多かったな。
最初は驚いたな。
「前に元天気予報士に上空の写真を見せたって言ったろ?あの後にギルドの方から連絡があって1日に1枚上空の写真を撮るだけで1万円。これはいいお小遣い稼ぎだなと思って」
竜の能力ならそれぐらいできるだろうし雲より上の事が知れるなんて今じゃ考えられないからね。
「よし、今日は竜に奢らせるか」
「そうだね」
「嫌だよ」
竜が本気で嫌そうな顔をする。
なーに冗談だよ、冗談。はっはっは。
「あっ!星奏、ご愁傷様です」
「ん何が…ってええ?」
星奏が凄く驚いてる。
一体何が書いてあったのだろうと気になり見てみると
「この町から出て取ってきた物は全部リサイクルショップを通して買ってください…か。確かに星奏、よく本屋から本を盗ってたからね」
「リサイクルショップに売ってる本は地味に高くなってるんだ。本当に辛いな」
でも…今でもこんなに量があるのにまだ増えるのは流石にきついから丁度良かったのかもね。
「今日はクエストをささっと終わらしてこんな事忘れようぜ」
「…そうする」
星奏半泣きになるなんてどれだけ心に傷を負っているんだよ。
ただ本を買う時にかかるお金が高くなっただけでしょ?
私達は今ギルドのクエストが掲示されてる所にいる。
「うーん、なかなかいいのが見つからないな」
「プリン作るクエストなくなってるじゃん」
「そら、砂糖が作られるようになったからな。砂糖さえあればプリンはもう作れた物だし」
これはかなりの時間悩みそうだね。
「コーヒー豆の種…もなくなってるな」
「仕方ないか。…門番クエストだってない」
かなりのクエストがなくなっているんだね。
「ん、なんだ?このゾンビ動物の討伐って?」
「竜、また新聞読まなかったの?新しく発見されたんだよ、ゾンビ動物ってやつが」
「ゾンビ動物は凄く簡潔に言ったら力が凄く強くなって首を切らない限り死なない動物だ」
私の能力と相性良さそうだね。
止まれって言ったらすぐにでも止まりそうだし。
「雫がいるなら簡単に倒せそうだしこれにしよう」
竜も同じ事を考えていたんだね。
「意外に早く決まったな。時間も時間だしお昼ご飯でも食べるか」
「冷蔵庫には何も無かったしここで食べようよ」
「久しぶりだなここで食べるの」
料理しなくていいから楽だ。
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