第40話 セレブの日常2星奏
「とりあえず分断させるか。エアーウォール!」
私はゾンビ達の真ん中辺りに大きな壁を作り相手どるゾンビの数を30体にまで減らす。
「これぐらいなら星奏の凍結が効きそうだな」
「実はもう10体位をの足元を凍らせる位しか魔力が
残ってないんだ。でもサイコキネシスならまだ使えはするぞ」
凍結は意外と魔力を使うんだ。
「魔力水は1本しか持ってかなかったしまずいね」
私が言えた事ではないと思うがもうちょっと持ってきて欲しかった。
「まぁしょうがないね。ここはそこまで出番がなかった私がやるよ」
雫が私達の方を見ながら言ってくる。
雫って前々から頼って欲しいって言う雰囲気を出てたな。
なんでだろう?
「召喚!サン、ゾナ、ソレイ」
雫がそう言うと雫の周りが光だしサン達が召喚される。
「実はね眷属になった動物は死なないんだ」
…強いな。多分死んでしまった事があったから分かったんだろうけど
…まぁいいか。
「じゃあ行くよ、サン、ゾナ、ソレイ」
雫とサン達はゾンビ達の所に雫は剣を抜いて突っ走る。
そして一気に30体のゾンビ達を相手どる。
雫達が目の前のゾンビ達と戦っていると雫の後ろに回りこんだゾンビがいた。
「雫、後!」
私がそう言うとブラウニーが高所から急落下しゾンビの頭を少し持ち上げる。
「よし、俺も行く」
「あぁ私もだ」
私は魔力がガス欠気味だがまぁなんとかなるだろ。
「おりゃ!」
「ふん!」
私達は雫達に気を取られているゾンビ達の首を切る。
「ちょっと多いよ。こうなったら…」
雫が少し立ち止まる。
「グランドランス!」
雫がそう言うと地面から大きなトゲが出てきて10体程のゾンビ達を串刺しにする。
それを見て雫は少し驚くがすぐさま串刺しになっているゾンビ達の首を切る。
「ファイヤースピア!」
竜がそう言うと竜の腰あたりの左右に火をまとった槍
みたいなのがあった。
そしてそれらは2人のゾンビの右目目掛けて飛んでいきゾンビの右目に刺さる。
それを見るやいなや竜がすぐに目を刺した2体のゾンビの下に行き首を切る。
「私も…ふん!もう少し…ふん!魔力が…ふん!残って…ふん!たらな」
私は近くに来たゾンビの首を切りながらあいつらを羨ましく思う。
「あと10体だね」
「一旦はな」
「しかもさっきの俺のエクスプロージョンでまだ回復しきれてないみたいだ」
10体程度なら魔法を使わなくとも倒せる。
「ふぅ一段落だな」
「少し休憩させて」
「実は私から悪い知らせがあります」
「良い知らせはどこに行ったの?」
今は悪い事しかないんだ。
「もう実は魔力がきれる。あの大きさのエアーウォールの維持に意外と魔力を使うんだ」
「仕方ないね」
「まぁ星奏は少し下がってゾンビ達が少数になった時にでもこっち来な」
もしかしてサイコキネシスを使えない事を分かってないのか?
もうちょっと慌てると思ってたんだが。
「行くよ、竜」
「そう言えばなんで行くって言うんだろ?」
「それは勝てたらまるで天国に行ったみたいに幸せになれそうだからだよ」
今更そういう疑問を持たないで欲しい。
そう思っているとエアーウォールがなくなり次々とゾンビ達が来る。
でもなぜか竜達はコソコソ話を始める。
「じゃあそれで」
「分かった。サン達、星奏の所に行って星奏の背中を守っておいて」
サン達が私の近くに来る。
一体何をするつもりなんだろう?
「そこまで大きくはできないけど大丈夫?」
「半分位を倒せるならいけるいける」
「しょうがないなぁ。グランドランス!」
雫はさっきよりも少し広い範囲でトゲを出す。
大体15体程のゾンビ達が串刺しにされる。
まだゾンビは残ってるけど竜は何をするつもりなんだろう?
「透明化!」
竜は姿を消した。
最近の透明化は足音がなくなっているからかなり強くなったと思う。
そんな事を考えていると串刺しにされたゾンビ達の首が続々と切り落とされていく。
串刺しにならなかった残りのゾンビ達は雫の方に向かっているので竜に全く気づいてないようだ。
「まだまだ残ってるね。竜がどこにいるか分からないからグランドランスが全く使えないじゃないか」
雫が少し残念そうにするがすぐにニヤッと笑い。
「まぁいっか。アーストルネード!」
雫がそう言うと土が螺旋状に飛んでいく。
ゾンビ達の姿が全く見えない位土の量が多い。
「よし、一通り終わったぞ」
「竜、おつかれ。じゃあこいつらもやって」
雫はそう言って魔法を出すのを止める。
ソンビ達の目が閉じているところを見るにかなり目に傷が入ったのだろう。
「了解っと」
竜らしき声が聞こえるとどんどんゾンビ達の首が落とされていく。
そしてゾンビ全員が1分もしないうちに地に倒れていた。
しばらくすると竜が目の前に出てくる。
「いっちょあがり」
「すごいな」
「雫がいたおかげさ」
そんな事を話していると雫も近づいて来て。
「私のおかげなんだからもっと感謝してよね」
「図々しいなお前」
「竜には言われたくない」
でも…この数を運ぶのしんどいだろうな。
「はぁこれで終わり」
最後のゾンビを荷車にのせ終わる。
「流石に多いな。これでも足らないって頭おかしいな」
「一気にやろうとする方が頭おかしいと思うぞ」
「なんでクエストの方にしなかったの?」
そんなの決まってる。
マシなのがなかったからだ。
「早く帰ろうぜ」
「まだ昼になったばかりだけどな」
「じゃあお昼ご飯でも食べようよ。お弁当作ってきたし」
雫はそう言って獅車からお弁当箱を取り出す。
「じゃあこれ食べたら帰ろうか」
「そうだな」
「もう疲れたよ」
全員、獅車の後ろ側に座りお弁当箱を開ける。
「「「いただきまーす」」」
こうして今日のゾンビ退治は終わったのである。
「ただいま」
「疲れた」
「うーん、ちょっと疲れたね」
ゾンビ退治が終わり家に帰っくる。
「そういえば今日は俺が買い出しだったな。行ってくるわ」
「いってら」
「いってらっしゃい」
竜が走って買い出しに行く。
時間は午後3時か。
「誠華ちゃん、トランプでもやろうよ。ずっと負けっぱなしだし」
「そういえばなんで雫は私と2人きりの時はちゃん付けで呼ぶんだ?前は呼んでなかったよな」
雫は少し黙り込むと。
「…それはね…癖…みたいなものだよ。誠華ちゃんは本当の名前を周りにばらされなくなかったでしょ?だから私は呼び捨てで呼んでなんとか差別化をしてたの。周りからあの貴族の誠華さん?って聞かれても違うってすぐにでも答えるためにね」
そういうところで苦労をかけてたんだな。
「でもねせめて2人きりの時は誠華ちゃんって言いたいんだ。理由は誠華ちゃんの本当の名前を忘れないためってだけだけ…」
私は雫が言い終わる前にそっと雫を抱きしめる。
「えっ何?誠華ちゃん?」
「雫にも迷惑をかけるかもしれないけどゾンビ達が絶滅したその時は…私を本当の名前の方で呼んでくれ。そして――」
すると突然家の玄関が開き。
「やっべやっべ。財布忘れちった。こりゃ遅くなりすわ。すんません…ね…ふっ、お取り込み中すまなかった。百合の花咲く花園に部外者は必要ないな。すぐに出る。邪魔したな」
竜はすぐに玄関を閉める。
お互い顔を見合わせると少し…いやかなり顔が赤くなった。
「おふたりはいつから交際を?」
「だから違うって」
私達は今、いつものように晩御飯を食べていた。
「いやいや、あんな熱いハグは絶対付き合ってるだろ。正直に言えよ。そうしたら俺は20億の半分をもらって違うマンションに家を移すからさ」
「なんで半分も取るんだよ」
「そりゃあの20億は俺の思いつきで手に入れた物だからな」
雫、竜が違うところに住むのは別にいいんだ。
「ていうか竜がいなくなったらちょっと味気なくなっちゃうじゃん」
ダメだったらしい。
「まぁそんなに言うならいいけどさ。本当に取り込んでる最中に邪魔するかもだし」
「だから違うって言ってるだろ。全く」
雫はそら可愛いし家事ができるし優しいし守りたくなる時もあるけど、そんな付き合うってほどじゃ。
「…」
雫が私の方を見つめ少しすると耳元に口を近づける。
(ゾンビがもし絶滅した時もこの3人でもっと楽しく過ごそうね)
雫が言い終わるとにっこり笑う。
そんなの当たり前だ。
竜はお金を勝手にとったり無茶ぶりを急にしてきたり変な誤解もたくさんするやつだが悪いやつじゃない。
一緒にいて楽しいと思える雫と一緒のやつだ。
「やっぱりお前ら付き合ってるだろ」
「「ちがうわい」」
「じゃあおやすみ」
「俺も今日は疲れたしもう寝るわ。おやすみ」
「おやすみ」
2人が自室に入る。
いつか竜にも言っておかないとなゾンビが絶滅された時は本当の名前で呼んでくれって。
正直周りから怖がられると思ってこう呼んでくれと雫に言った。
「私も今日は疲れたしもう寝るとするか」
本当に今はゾンビ達に感謝している。
あいつに、竜に会わせてくれてありがとう。
そう思いながら自室に入る。明日は何をしよう。
凄く楽しみだ。
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