第37話 セレブの日常1竜

「おはよー」

「おはよう竜。今日も寝癖すごいね」


 今は…7時位か。

 この生活になってから早く起きれるようになったな。

 雫は台所に立ちご飯を作っている。

 雫はもうパジャマから普段着に着替えていた。


「星奏はまだ起きてないから起こしてきて

 くれない?」

「あいつ、寝起き悪いんだよな」


 そう言って星奏の部屋に足を運ぶ。


「起きろ!」

「うーん、うるさいなー。体さすって起こせばいい

 だけだろ?」

「早く起きればすむ話だろ」


 星奏がねむそうな目をこすりながら起き上がってくる。


「はぁ眠い」


 星奏が体を伸ばしながら眠気を覚ます。


「じゃあ歯磨きしてくるから」


 俺はそう言って洗面台のある脱衣所に向かう。


「雫ー、歯磨き粉きれてるけど変えのやつどこにあるー?」

「その上の棚だよー」


 雫に言われた通りの棚を開け歯磨き粉を取る。

 歯磨き粉を歯ブラシに付け歯を磨く。


「竜、ちょっと邪魔」

「あぁすまんすまん」


 俺は少し右に動く。

 歯磨きを終えうがいをし顔を洗い寝癖を整える。


「朝ごはんできたよー」

「はーい。星奏、まだ?」

「もうちょっとだから雫に言っといて」

「りょうかーい」


 星奏が歯を磨きながら言ってくる。

 俺は脱衣所を出てリビングに入る。


「雫、星奏がまだだって」

「はいはーい」


 食器を運びながら星奏を待つ。


「終わったぞ」


 星奏があくびをしながらリビングに入ってくる。


「じゃあ座って」

「ふぁーい」


 星奏はまだ少し寝ぼけているようだ。


「「「いただきまーす」」」


 雫が作ってくれた朝ごはんを食べ。今日も一日が始まる。



「今日は星奏が買い出しだっけ?」

「そうだな」


 俺は皿洗いをし洗った皿を乾燥機に入れている。

 乾燥機と言っても乾燥機能は使えない。

 雫と星奏はもう本を読んだりして怠ける準備を整えているようだ。


「一通り終わりっと。あっそうだ。トイレットペーパーがキレかけてるから買って来といて」

「あっあとポテチね」

「ポテチの発売開始日は明日だ」


 ポテチは揚げて塩をかければそれっぽい味になるという事で現状況下で初めて作られたお菓子になると数日前の新聞に書いてあった。


「それにしてもこのヨキホーってめちゃくちゃいいな座り心地が最高」

「家で余っていたからな使ってくれ」


 ヨキホーは星奏が家で余らせていた高級なビーズソファーだ。

「腰が楽で最高だよ」

「まだそういうのを気にする歳じゃないだろ」

「今のうちにそういうの気にしとけよ。老化はいつ

 来るか分からないぞ」

「そういうもんか?」


 そういうもんだ。

 視力とかも1度悪くなったら基本戻らないからな。

 健康第一の生活をしなければ。


「でもお前、絶対前の生活だったら深夜まで起きて

 カップラーメンとか食べてたろ」

「ちーがーいーまーすー。食べてたのは

 カップラーメンじゃなくて鍋で作る方でーす」

「あんまり変わらないじゃん」


 そっちの方が料理してる風に見えるから健康なんだ。


「じゃあ前は何時に寝て何時に起きてたの?」

「10時に寝て7時に起きてました」

「午前10時と午後7時か。完璧な昼夜逆転だな」


 ぼかして言ったのになんで気づいてしまうんだ。

 そう思いながら皿洗いが終わりリビングに向かいヨキホーに腰を下ろす。


「そういえば前電気屋に行ってゲームのカセット

 盗ってきたわ」

「普通に犯罪した事を言うなよ」

「星奏、暇さえあれば本屋に行ってるお前にだけは言われたくない」


 星奏は少し目を逸らす。

 バレてないと思ってんのか。

 前々からバレバレだ。


「まぁそれが格闘系のズマッシュシスターズっていうゲームなんだけどやらない?」

「やるやる」

「それは雫をボコボコして雫を泣かせたゲームか。

 竜も泣かせてやる」


 全員が自分のコントローラーを持つ。

 そしてテレビの前に集まり。


「私、バリオな」

「私、ギャービィー」

「じゃあ俺、このビカヂュウで」


 俺はこのゲームをやった事がないが今まで生きてきた人生経験の差で勝ってやる。

 そう考えているとゲームが始まる。


「ちょっと待って開始早々星奏にコンボ決められてるんだが?」

「しょうがないなぁ助けてあげるよ」


 雫のキャラが星奏のキャラを攻撃しなんとかコンボ地獄からは解放される。


「お前ら2人が相手か。でもまぁボコしてやる」

「初心が大事ってよく言うだろ?つまり初心者の俺は最強さ」

「何その謎理論」


 雫が俺の最強理論に疑問をもつが最強なので問題は無い。

「あっやべ」

「それ即死コンボじゃん。竜…お疲れ様」


 始まって数分後に星奏にボコされる。


「雫…仇とってくれ」

「任せて」


 雫が俺を方を見てグッドポーズをとる。



「…負けちゃった」

「お前らが私に勝とうなんざ100年早い。出直しな」


 星奏はほとんどダメージをくらわずに俺達に完全勝利をする。


「もう1回だ。絶対に勝ってやる」

「竜、今度は最初から私達は仲間だよ」

「もちろんだ」

「かかって来い雑魚共」


 星奏が調子にのってるな。

 最初は調子にのっておけばいい。

 どうせ勝つのは俺だ。



「結局勝てなかったね」

「悔しい」

「だから言ったろ100年早いと」


 星奏がドヤ顔で俺たちの事を煽ってくる。

 最後あたりはなんとか攻撃出来るようになって終わりか。


「もうすぐお昼だね。何か余ってる食材あるかな?」


 そう言って雫は上の方に氷を置いてるだけの簡素な冷蔵庫の中身を見る。


「今日はオムライスかな」


 やったぜ。



「さてと今日は何して過ごす?」


 雫が昼食を作ってる時に俺と星奏は普段着に着替え終わった。


「星奏を泣かせたい所だけど今の私たちじゃ無理そうだし」

「お前らは忘れてるかもしれないけど私達のランクの冒険者って月に20万程のクエストを受けるかかゾンビを100体倒さないと除名させられるんだぞ」

「今って何日?」

「4月の7日だね」

「ならまだまだ時間あるしまだ遊んでられるだろ」


 ちなみにこの町で冒険者を辞めるという事は農家などになったという事で土地の利用代などをかなり取られる事を意味する。

 持ってるお金の額などでも取られる量が決まる。

 今の俺達なら1回で数十万はとられるらしい。


「ていうか丁度入学式の日だったな」

「じゃあ、今日は入学式の日という事で高校生ごっこ的な事でもやりましょう」

「でも竜、高校行ってないじゃん」


 痛いところつかないでください。


「じゃあ入試からだな。確か、赤本はまだ取ってあったはずだから赤本でも解かせてみるか」


 入試か。入試当日って俺、何してたかな?

 難しい推理小説を読んでた気がする。

 学校からの電話もあった気がする。


「では試験プリントを配布します。始めと言うまで

 手に取ってはいけません」


 星奏がそう言って赤本からちぎられたであろうプリントをテーブルの上に出す。


「こちら貸し出しの文房具です」


 雫が俺にシャーペンや消しゴムを渡す。


「結果は後日郵送でお渡しします」


 直接渡した方が早くね?


「では始め!」



「国語の丸つけめんどくさいよ、星奏」

「次々やってかないと終わらないぞ」


 1個目の教科が終わり少しの休憩時間。

 星奏と雫は星奏の部屋で丸つけを行っている。


「じゃあもうそろそろ10分経つから次の教科のやつを出してくる」


 星奏が部屋から次のテストプリントを持ってくる。


「始めと言うまで手をつけてはいけません」

「それ毎回やるの?」

「当たり前だ」


 毎回言わなくとも分かるような気がするんだがな。


「ではスタート…チッ引っかからなかったか」

「分かりやすい引っかけだな。それぐらいなら見抜けるわ」

「はい、始め」


 星奏が少し残念そうな顔をするが星奏が俺を騙すなんて100年早い。

 前のゲーム大会の時に星奏の言動を一つ一つしっかり見るようにしてるからな。

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