第31話 魔力の正体

今は本来の仕事をまっとうしている。


「星奏、そっちにゾンビ行ったやってくれ」

「任せろ、凍結!」


星奏はゾンビ達の足元を凍らせて動きを止めたところでゾンビ達の首を切る。


「そこを右に曲がったところにゾンビの大群が押し寄せてくるよ」


雫が交差点の方を指さしながら言ってくる。


「分かった。星奏、また凍結をしてくれ」

「了解した、凍結!」


星奏がゾンビ達の動きを止め俺がゾンビ達の首を切る。

完璧な連携だ。

そしてゾンビ達を獅車に乗せる。

帰る時に俺らも乗るから後ろの方に固めておいておく。


「あっ雨が降ってきた。やったね魔力回復だよ」

「…なぁいつも思っていんたんだけどさ。なんで雨で魔力が回復するんだ?」

「そんなの知るわけないだろ」


もし晴れの日でも魔力が回復すればすごく便利だよな。


「よしこの雨を持ち帰ろう。今日もかなりゾンビ倒したしもう帰ろう。星奏、何か水を入れれる物はある?」

「あぁあるがただのガラスのコップだぞ?」


そう言って星奏はガラスのコップを獅車から持ってきた。


「なんで持ってきてんだよ」

「使えると思って」


そういえば前にガラスのコップを浮かして俺にぶつけてきたな。



家に獅車に乗って町に帰っている最中。


「そういえばゾンビってテレビで見た事あるよね。なんだっけ?」

「ゾンビウイルスだろ?長年研究されていたけど研究所近くの人も研究しているなんて知らなかったしゾンビウイルスがあるなんてのも知らなくて話題になったやつだろ?」


何それ?すごく気になる。


「俺、そんなの知らないんだけど」

「テレビ見ないからだろ」


そういえばそうだった。

たまに昔の自分を忘れてしまうんだよな。


「医療に期待できるからって理由で研究されていたけど全然治療方が解明されていないやつだよね」

「ゾンビウイルスって盗まれたらしいぞ」


ゾンビが出てきたのってそれのせいだろ。


「でも盗まれてから3年経ってゾンビが出てきたから犯人はゾンビウイルスを売ったって言われているらしいぞ」


金のためにそんな事までするなんて頭おかしいんじゃねぇのか?

もしかしたらこの雨にウイルスがあるのかも。


「拡大!」


ウイルスの大きさは0.0001ミリだからとりあえず10万倍にしてっと。


「それでテレビで見たんだけどゾンビウイルスって見た目がすごく分かりやすいらしいぞ。紫色で真ん中にゾンビって書いてあるらしい」


…それらしき物がありました。結構大量に。


「おいみんな見てくれ。あったぞゾンビウイルスが」


俺はそう言って自分が見ている光景を獅車の中でスクリーンみたいに映し出す。


「これがゾンビウイルスなんだね。本当に分かりやすいね」

「これが含まれている雨を浴びて平気なのはなんでなんだ?」


んな事知る訳ないじゃん。


「分からないけどゾンビだし死なないと意味ないんじゃね?」


それにゾンビになるにはゾンビに殺されないといけないしね。


「「なるほど」」


2人が納得してくれて何よりだ。


「でも、魔力とゾンビウイルスってなんの共通点があるんだ?」

「それは…今から見つける」



ゾンビを換金し終わりずぶ濡れのまま家に帰る。


「ただいまー」

「おかえり。てことで私が先にお風呂に入るとするよ」

「ちょっと待って星奏、私が先だよ。私は体が小さいんだからきっと体が弱いんだよ」


雫ってこういう時だけ自分の体の事をあげるよな。


「じゃあ俺、先入るから」

「竜、ここはレディーファーストだよ」


俺は今からフェミニストになる事をここに誓います。


「じゃあお前ら2人仲良く入れよ。そうすれば早く上がれるだろ?俺は今から雨水を色々と調べないといけないからさ」

「じゃあ背中流してあげるよ、星奏」

「洗いっこでもするか」


女の子2人、密室、何も起きないはずもなく。

こういう展開になってくれないかな。

まぁいっか。早く調べるか。


まずはゾンビウイルスが熱に強いかの実験だ。

鍋を用意しガスコンロの火をつける。

火をつけた所に鍋を置き雨水をいれる。

それで沸騰するまで温めたら一旦冷やしてガラスのコップにいれる。

本当はガスバーナーを使いたいところだがそんなものは無い!


「拡大!」


熱には強いのか、好都合だ。

普通の水道水をコップに注ぎ実験開始だ。

一応水道水にもゾンビウイルスはあったが雨水に比べるとそこまでいなかった。


「ふーいいお湯だった」


お風呂に入って40分ぐらいして2人がくる。

女子って異様にお風呂長いな。

パジャマにはもう着替えているようだ。


「2人とも魔力を消費してくれないか?」

「ん?別にいいが。エアーウォール!」

「ブラウニー召喚!…何がしたいの?」


雫はブラウニーを召喚しすぐに外に出す。


「魔力測定機つけといて」


俺がそう言うと2人が俺を怪しい目で見てきながらも魔力測定器をつける。


「はい、風呂上がりの1杯。どうぞどうぞ」


星奏には害は多分ない雨水を、雫にはただの水道水を渡し飲んでもらう。


「別になんて事ない水だが…おお魔力が回復したぞ。いつもは寝ないとあまり回復しないのに」

「えぇ?私は回復しなかったよ」


なるほど、ゾンビウイルスが多いと魔力回復に繋がるっと。

これは…売れるな。魔力が回復する水なんて皆、欲しがる。

俺だって欲しいと思っていたもん。

ゾンビを倒すのも効率よくできるようになるし欲しかった。


「これがどうしたんだ?」

「それはな…はっはっハクション!寒」

「早くお風呂に入ってきて風邪ひくよ」

「入ってくる」



「ふーいいお湯だった」

「それであれはなんだったんだ?」

「星奏が飲んだのは雨水で雫は水道水な」


星奏が俺を人として見てない目で見てくる。

雨水は汚いだろうからか。


「ちゃんと殺菌はしてるよ。でもゾンビウイルスは死ななかったけど」

「それ、大丈夫なの?」

「今、なんともないし…多分大丈夫だろ」


雫が人として見てない目で俺を見てくる。

これは人類のため俺達のため俺達の懐を潤わすため星奏には犠牲になって貰っただけさ。


「もしかしたらゾンビウイルスが体内に入る事で魔力に変わるのかもな。多分だけど空気中にもうようよいるぜ」

「それなら寝たら回復する理由になるな。寝ている時に呼吸して体内にいれてるから。でもそれなら自動で回復するからずっと魔法を放てるんじゃないのか?」

「その自動回復より魔法を使って消費する魔力が多いだけだろ。それに人間は寝る時に腹式呼吸になって体内に日中の胸式呼吸より多い量の空気を取り込むからそれで回復量が上がってるだけだと思うぞ」

「竜、お前…高校行ってないのに賢いんだな」

「高校行ってないのに賢かったんだね」


高校行ってないだけでそんなに言われるか?普通。

俺だって勉強はしてたんだぜ学校に行ってないだけで。


「じゃあ腹式呼吸にすれば寝ている時と同じ回復量になるって事か。それなら腹式呼吸を練習でもしてみようかな」

「敵の首を切って呼吸まで練習するとか鬼殺しの剣みたいだな」

「それ面白かったよね」


社会現象にまでなったもんな。


「光の呼吸壱の型―」

「子供か」



「今日はあいにくの大雨ですが俺達にとったら稼ぎ時です。たくさんの雨水を取ってくださいね」

「「はーい」」


2人がとてもやる気のある声を出してくれる。


(これって楽しいかな?)

(さぁな。これで本当に稼げるかも分からん)

とてもやる気があって俺、感激。


「ベランダに出るのはいいけど濡れるのは嫌だな」

「バケツあるよ。物置部屋にいけば何かいいのあるかも」


物置部屋かほとんどが2人のいらないものをいれてるだけの部屋なんだよな。

期待はせずに物置部屋に足を運ぶ。

何かいいのは…あっ。


「こんなのあった」


そう言って俺は大型のアクリル水槽を2人に見せる。


「これがあと4個も」

「あぁそれ間違って買ってしまって間違った事を家政婦の人にバレて怒られたくなかったから私の部屋で隠していたものじゃないか」


これだから金持ちは。

このアクリル水槽って結構高いよな。


「まぁいいやこれ使おう」

「別にいらないものだからいいぞ」


水槽をベランダに置き外を眺める。


「こんな事してたら自分の事をおばぁちゃんだと勘違いしそうだ」

「ここで一句。雨の音

聞いていると

ハマりだす」

「言葉が若々しいよ、竜」


この後見るのに飽きて3人全員が漫画を読み始めたのは言うまでもない。

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