お金稼ぎ
第26話 部屋取り戦争
今は昨晩入居した我が家のリビングにいる。
「昨晩は晩御飯を食べた後家に帰ったら全員疲れで寝ていたから決めていなかったが部屋割りを決めようと思うんだ」
「そうか、じゃあ私はこの家で1番大きい部屋を取る事にするよ」
「おい待て星奏、取らせると思うか?この俺が」
「それを言うなら私だって1番大きい部屋がいいよ」
全員、意見が分かれる。
だが絶対に俺が1番大きい部屋をとるんだ。
「先にとったもん勝ちだ!」
「ずるいぞ竜!」
俺は全速力で1番大きい部屋に入る。
「はっはっはっ。俺に勝てると思うなよ?音と光を操りし者であるこの俺に」
2人が少し引いてるが俺は絶対に譲らない。
「残念だな竜。お前が私にゲームで勝ったことがあったか?ないだろ」
何をするつもりなんだ。
「雫、私と同盟を組まないか?」
「竜を倒せるなら」
2人が手を握り合う。
だが本気になった俺に勝てると思ってる事が滑稽こっけいだな。
「じゃあ私はトイレと風呂をとるから雫は玄関を取っておいてくれ」
「分かった」
「はっ?」
まずいぞトイレを取られたら俺がトイレに行きたくなった時に最悪死ぬ。
そして雫が玄関を取ってるせいで最悪餓死する。
詰んでね?
「おい、分かった同盟を組まないか?」
「じゃあ条件はその部屋を渡せ」
クソ!足元見やがって。
「雫、いい事を教えてやる。星奏はな昨日、荷物をここに持って来た時にこの部屋に今まで貯めた大金があるんだぜ」
「雫!絶対に惑わされるな!汚いぞ、竜」
「汚い?トイレと風呂場を取ってるお前が言うのか?俺は絶対にこの部屋を取ってやる」
雫が顎に手を当てる。
相当考えているんだな。
「雫、悩まなくてもいいんだぞ。どっちつけばいいかなんて一目瞭然だろ?」
「雫、いい提案がある」
星奏は何をする気なんだ?
星奏は雫の耳元で何かを呟く。
「ここを通りたけば関税として1000円をちょうだいします」
はっ?つまりトイレとかお風呂に行きたかったら1000円払わないといけないってことか。
「どうした、竜?さっきまでの威勢はどうしたんだ?」
「早く竜、白旗を上げなよ」
こいつら後で同じ家である事を利用してセクハラしてやる。
「そうだな、そこを通らなければいいだけなんだ。簡単だ。ベランダからロープを伝って行けばいいだけじゃないか」
そして俺はベランダに出てベランダの柵にロープをくくる。
「それじゃあな」
「はい、エアーウォール!」
これより下に降りれなくなりました。
「どうした、竜?降りるんだろ?」
「いやー怖くなっちゃって」
1番大きい部屋に戻る。
俺、本当に死ぬくね?
「こうなったら実力行使だ」
「そうか、エアーウォール!」
エアーウォールは見えない壁を出す技。
だがそこに光がある限り俺の勝ちだ。
「レザー!」
「こいつ、結構本気でやってきやがるぞ」
とりあえず星奏の足を焼く。
星奏は座り込んでしまったようだ。
「後は雫だけか」
「バカめ、サイコキネシス!」
近くにあったガラスのコップが浮かび上がり。
とんでもないスピードで俺の体に直撃する。
「いって。お前、やりやがったな。うわガラスがささって血が出てきた」
「2人共ガチになりすぎじゃない?」
ここまで来て引ける訳がない。
怪我人が出てるんだ。
「俺の国が負けると思うなよ!」
「私の国は人数がお前より多いんだぞ」
「これってただの部屋を決めるだけだよね」
負けられない戦いが今、始まる。
俺の竜帝国は他の国より財力がある。
だが他の国より人員が少なくトイレもないし風呂もないしご飯もない。
星奏と雫のセイシズ共和国はトイレと風呂はあるが財力がないためご飯が買えないか。
そこにつけ込めば勝てる。
「2人共、今は昼だこれでご飯でも買ってくるといい。ただしちょっとトイレを貸してもらおうか」
「じゃあ1万円ちょうだいします」
高ぇ。だがこれでトイレに行く事ができる。
今はトイレに行かなければうんこマン扱いされる。
「雫、買ってきてくれ。確かお持ち帰りもできたはずだ」
お持ち帰りもできる様になったんだな。
「分かったよ」
「じゃあお手洗いを借ります」
ふーすっきり。さーて紙紙...あれ?ない。
昨日見た時はあったはず。
「お客さーん、あなたが探してるのはトイレットペーパーですかー?」
星奏が笑いながら言ってくる。
「そうだ、早くそれを―」
「1個1万円です」
足元見やがって。
「分かったから早くくれ」
「でしたら今、お金を渡して貰わないと」
お金は今、部屋に置いてある。
「ツケということで」
「1分10割で」
闇金もビックリな金利を出してくる。
「分かったから!」
「それではこちらを」
早く拭かないと早く、早く、早く!
「いってぇ!」
おしりが切れた。血が止まらない。
早くしすぎたせいでこうなるなんて。
「お客さーん、絆創膏ばんそうこうがあるんですけど―」
「分かった買うから」
おしりに絆創膏を張るなんて嫌だが仕方がない。
「2万に―」
「ツケで!」
絆創膏をつけ終わりトイレを流しトイレから出た。
「じゃあお客さん、10万円になります」
これは痛い出費だが俺の手元にあるのは約400万円。
こんな金額ならその程度屁でもない。
「ただいまー。買って来たよ星奏、食べよっか」
「食べるか、竜の分は残念ながらありません」
「ウワーメチャクチャカナシイナー」
2人が疑いの眼差しを向けてくるが理由がさっぱり分からない。
(雫、気をつけておけよ)
(もちろんだよ。竜は何しでかすか分かったもんじゃない)
2人がヒソヒソ話をしているが俺は空腹を紛らわすため部屋を出たり入ったりを繰り返している。
「100万くれたらあげなくもないんだがな」
「星奏さんも悪ですのう」
「「ひゃっひゃっひゃっ」」
2人が魔女みたいな笑いをしているが俺が出たり入ったりを繰りかえしているのには空腹を紛らわす以外の理由がある。
それは
「おい、なんか急に私が食べていたお弁当の食べ物が浮いたぞ」
「あっ!忘れてた、竜の能力の事。竜は透明化できるんだった。でも足音がしなかったよ?」
そう俺は分身を作ってから透明になるのをバレずに行うため出たり入ったりを繰り返していたのだ。
それに新しい能力で音を操って足音を消した。
「空腹の時に食べる飯は美味いなー」
「早く出てこい!怪人透明野郎」
急に怪人扱いされる様になった。
「「変身!」」
2人が自分のカバンから着替えの服をだし雫はトイレ星奏はお風呂場の脱衣所に行く。
しばらく経つとさっきとは服が違うだけの2人が出てきて。
「ギュラブラウン」
「ギュライエロー」
「私達、正義の魔法ヒーローアニマルブニギュラ」
「私達があなたみたいなこの世の理から離れた存在を許しません!」
星奏は少し顔を赤らめながら言う。
「はっはっはっ、怪人透明マンとはいかにも我の事。我が透明化の真髄しんずい見せてくれるわ!」
せっかくなので乗ってやることにした。
多分2人は部屋割りの事を忘れてると思う。
「ちょっやめて!くすぐらいないで」
「イエロー!」
「見たか!これが透明化の真髄。この力にひれ伏すがいい!」
俺は一体何をやっているのだろう。
「私達は決して悪には屈しない。イエロー、いつまでそんな所で横になっているの?私達が今までやってきた事忘れたの?」
回想シーンが入りそうな場面だ。
てか、雫のアドリブが凄すぎて星奏が全くついていけてないぞ。
証拠にえっ?ていう顔をしている。
「私達はブニギュラになってからとんでもない悪と戦い続けて喧嘩した事もあったよね。強くなるために滝にうたれた事もあったよね。あの日々を忘れたって言うの?」
「ブラウン…」
「さぁ早くたって。あんな変態とっちめてやるわよ」
雫がそう言うと星奏が立ち上がり
「あぁ、そうだな。私達は決して悪には屈しない!」
「フッハッハッハ、この我に挑もうというのかよかろうかかってくるがいい!」
俺は本当に何をやっているのだろう。
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