第24話 決戦!己の生活をかけた戦い

「お前ら、こんな事をしてタダで帰れると思うなよ」

「それはこっちのセリフだぜ。ゾンビ教と組んで東京都の町に薬物をばらまいたエロゲおっさんが!」

「そうなのか?だったらお前が主格ということで捕まえてやる。報酬だって手に入るし一石二鳥だ」


星奏...こんな状況でもお金の事を言うやつってどうかと思うぜ。


「とりあえずこの町から出ないとまずいよね。町で戦ったら関係ない人が危ないし」

「衛兵共、魔法を放ってよし!」


そんなんありかよ。

魔法はゾンビに対しては足止め程度にしかならないが人間相手に使えばあら不思議、殺戮さつりく兵器の誕生だ。


「「「「ファイヤーボール!」」」」


町で魔法を放たれたら関係ない人が巻きこれるかもしれないというのにこいつは。


「でも能力なら使っても捕まることはない。新技のお披露目だ。レザー!」


小学校の時に習った虫眼鏡で太陽の光を黒い紙に当てると燃えるというのを思い出した時に閃いた技。

太陽光を収束させ狙った位置に当てる技だ。


「足が燃えてるぞ」

「ウォーター!ウォーター!」


衛兵共が足に水をかけている中全速力で町から出る。



「なんとか町から出れたな」

「これでなんとかなりそうだ」

「花嫁を横からとって国と戦う。なんかかっこいいね」


雫はこの状況でもそこまで緊張していないようだ。

おっさんが門から出てくる。


「お前ら、分かってやったんだろうな?」

「お前だって、あの町に薬物をばらまくのをわかってやってたんだよな」


エロゲおっさんの眉間にシワができる。

怒っているのだろう。


「助けを求めるために結婚したのに犯人がまさかあなただったとは」

「ギルドには証言付きで言ってあるから指名手配されてると思うし観念しな」


こうやって人を追い詰めるのはなんか気持ちいい。


「せっかく親を殺してまで得たこの生活が終わる?バカを言うな。俺はこの町がどうなろうとも生き残ってやるさ」

「外道が」


星奏さん相当キレてますね。

貴族としての地位を自分のために使ったからだろうか。


「俺だってこんな楽しい生活を手放してたまるかよ。お前が星奏をとったら...」

「竜...」

「お前が星奏を取ったら誰がウィキペディアの変わりをするってんだ。物知りな星奏を誰にも取らせたりしないぜ」

「竜、お前ってやつは」


分からないことを教えてくれるのは星奏しかいないんだ。


「お嬢様、いきますよ」

「お嬢様言うな!」

「お嬢様、集中してくださいね」

「雫までお嬢様呼びはやめてくれ」


こんな面白い事実を知ったら言わない方がどうかしてる。


「どこまでも舐めやがって!衛兵はまだか!?」

「それなら私が止めましたよ」

「お父さん」


星奏の親父が門の上に出てくる。


「あなたを信頼して娘を預けようと思ったが検討違いだったようだ」


星奏の親父さん、すげぇ強キャラ感がする。

ていうか星奏の親父さん、星奏に似てかなり身長高いな。

2メートルぐらいか?


「こうなったらこれを使うか」


そう言っておっさんはズボンのポケットからゾンビ能力因子を取り出す。


「オークションで買ったこれを食ってや―」

「レザー!」

「あっつ!」


おっさんは手を火傷してゾンビ能力因子を落とした。


「竜、敵の覚醒は待ってやるものだろ」

「いや、これ漫画じゃないんだぞ。そんなご都合展開期待すんなよ。そんな事やったら俺達死ぬんだぞ」

「チッ、グランドウォール!」


おっさんは地面から壁を出す。


「うぇまず」


やはりまずかったようだ。


「星奏達、私は魔法も使えないし剣もないから退散して衛兵達を連れてくるからちょっと待ってくれ」


最初っから連れてこいよ。

星奏の親父は星奏と似て少しぬけてるな。


「そうはさせるか。ボム!」


おっさんがそう言うと黒い玉が出てきて星奏の親父を吹っ飛ばした。


「お父さん!」

「爆弾を操る能力か。悪くない悪くないぞ!」


おっさんは勝ち誇った顔で高笑いしている


「こいつ、敵に能力教えるとか。負けるヤツみたいな事してるぞ」

「おいおいあいつ死んだわ」


おっさんはさらに眉間にシワを寄せる。

相当ウザかったんだな。

精神攻撃耐性バツっと。


「騎士もいねぇお前が俺達に勝つなんて100年早いんだよ」

「あの町の仇取らせてもらうぞ」


町は滅んで無いけどね。


「星奏を取ろうとした事絶対許さないからね」


俺達はそう言い終わると剣を構える。

おっさんは剣を持っていないそんな奴が俺達に勝てるかよ。

剣は星奏以外しっかり振れないが。


「大人を舐めるなよガキが!ボム!」


おっさんがそう言うと黒い玉の爆弾を2、4、6...100個以上出てきた。


「2人共、私の後ろに」

「ドレスで動きにくいのに無理すんなよバツイチお嬢様」

「こんな状況でそんな事を言うな」


星奏のドレスが破けて星奏が 少しエロくなっている。


「バツイチお嬢様、ちょっと待ってよ」

「2人共、これが終わったら覚えておけよ。エアーウォール!」


爆弾が全て星奏の手前で横に弾かれる。


「流石、バツイチお嬢様」

「凄いですねバツイチお嬢様」

「今回の件は謝るからそれをやめてくれないか?」


これはずっと使えるな。


「どこまでもふざけおって。ビックボム!」


おっさんは大きさ10メートルはある黒い玉の爆弾を出した。


「星奏さんやってくだせぇ」

「無理だ」

「「はっ?」」

「重量オーバーだあんなの。お前ら、忘れてるようだから言っておくが私の能力は空中に見えない足場を作る能力だからな?100kgで重量オーバーだ」


それ以上ある人間乗れないじゃん。


「じゃああれどうするの?」

「くたばれ!」


おっさんがでかい爆弾を投げてきた。

怖い、すごく怖い。


「でもまぁ、爆風を防ぐ事はできるんだけどな。もろもろのお返しだ」

「なんだよ。焦らすなよ」


星奏のおかげでなんとか助かった。

星奏さまさま。


「調子に乗りやがって」

「おっさん、諦めろ。お前もう負け確。こっちが負ける要素がないもん。さっさと白旗あげな」

「なんで俺の邪魔をしようとするんだ。こんなクソみたいな世界で自分勝手にやって何が悪いんだ!」

「別にお前が好き勝手にやろうが俺はどうでもいい。だけどなお前が俺の楽しい生活を邪魔するってんなら...どんな手を使っても生まれてきた事を後悔させてやる」


2人が少し引いてる気がするが俺にとってゾンビの世界になってからの生活の方が充実してるんだよ。


「さっ、ギルドに行こっか。この町の政治は星奏の親父さんに任せればいいだけだしな」

「こんなんでは諦めんぞ。アトミックボム!」

「「「...はっ?」」」


核爆弾が降ってくるってこと?


「拡大!」


上を見上げると遥はるか上空に核爆弾らしき物が見える。


「ちょっとまずいって、流石にこれは聞いてないぞ」

「私の能力でも防ぎきれるかどうか」

「私は何をしても無理な気しかしない」


どうすれば?


「聞いた事がある」

「流石、ウィキペディア。痛い」


星奏からゲンコツをくらった。


「発動された能力は発動した能力者を殺せば消えると」

「人を殺すって事か」


時間はもうない。

核爆弾を出したおっさんは全速力で逃げている。

意味あるのか?

まぁ、自分で出したやつだし自分だけ爆発耐性をつけたりできるのだろうけど。


「分かったやる。やればいいんだろ」

「でも竜...」

「俺はお前を助け出すためにここまで来たんだ。人1人位殺してやるさ」

「竜...」


2人が俺をじっと見つめるが俺は行くって決めた。

やらないとどうせ皆死ぬんだ。

ならやってやる。


「お前だけに罪を背負わせない。私も背負ってやる」

「私もだよ」


流石、俺の友達だ。

真剣に行くか。


「行くぞ!レザー!」

「うわっ!」


おっさんの足にレザーを当てたためおっさんが地面に転ぶ。

その隙をみて星奏が空中を飛んでおっさんに猛スピードで追いつく。


「町の仇!」

「ガハッ」


星奏がおっさんの腹に剣をさし地面に叩きつける。


「星奏を連れていこうとしたの絶対に...許さないから」


雫がいつもよりも声のトーンを下げて言う。

ちょっと怖い。


「やめ...て...くれ」


雫がおっさんの背中を思っいきり切りまくる。

雫は怒らせてはダメだな。

そして俺は雫に続いておっさんに近づき。


「俺の楽しい生活を邪魔した事。それがお前の最大の罪だ!死んで悔い改めろ!」


「お前みたいなやつに殺されてたま...」


おっさんが何か言う前に首を切り落とす。

前にもこんな事をしたなゾンビになりかけてたやつに。


「やはり...なれない物だな」

「あぁ、そうだな」

「ちょっとごめん」

「「「ウォロロロ」」」


遥か上空にあった核爆弾はしっかり消えていた。



生首のグロさで吐き、吐き気が収まるのに30分ぐらいかかった。


「ありがとう竜殿、雫殿。誠華を助けてくれて」

「俺達は友達を助けただけですよ。お嬢様、せめてありがとうって言ってくれませんか?」

「そうだよお嬢様」

「...ありがとう」


顔を赤らめながら感謝されるのはとても面白い。


「娘を助けてくれたお礼をさせてくれないか?」

「いや私たちは友達を―」

「はい!できればマンションの一室をくれませんか?」

(ちょっと竜!そういうのって断るのが妥当じゃないの?)

(何かしてくれるって言うんだ。何もさせないのはそれはそれで相手が可哀想だろ)


それもそうかと雫が納得する。

星奏の親父さんは少し悩み。


「いいだろう。貴族の権限でマンションの一室を与えよう」

「「「やったー!」」」


夢にまで見たマイホーム。

やっとこれであんな忌々しい場所から解放される。


「君達も馬車に乗って帰るかい?それなら近くに止めてあるのを使ってくれ。私はこれからここでやる事がたくさんあるんだ」


ここの政治も受け持つんだもんな。

やる事がたくさんあったって全く不思議じゃない。


「いえ、俺達は自分達の馬車みたいな物があるので大丈夫です」

「そうか、じゃあこれマンションの管理人に渡しといてすぐに鍵が貰えると思うから」


そう言って俺達にハンコが押された紙を渡す。


「はい!ありがとうございました」

「じゃあ帰ろうか。お父さん、こんなわがまま言ってごめんなさい」

「大丈夫だよ誠華、お父さんらしい事を出来なかったせめてもの償いだ。お前はこれからも大変だと思うが頑張れよ。せっかくの友達、大事にしろよ」

「うん!お父さん」


星奏は笑顔でお父さんに手を振る。

いい話やな。



サン達を呼び獅車にのり帰路にたつ。

日は少しオレンジ色に輝き始めている時。


「ていうか馬車あったのかよ。そんな事ならこれを作る必要なかったじゃん」

「これは逃げる用でしょ」

「こんな物を作ったのか。凄いなお前達は」

「だてにお嬢様のお友達はやっておりませんよ」

「だからお嬢様言うな」

「雫、そういえばなんだが。なんで誰も手網を引かないんだ?」

「それは私の能力で動いて貰ってるからよ」


誰も引かないのは少し怖いがまぁ運転出来てるならいいよね。


「それと結婚式を邪魔するところまでは良かったんだがつれだすときになんでお姫様抱っこをしなかったんだ?普通する場面だろあそこは」

「それはお前が重いからって痛い」


星奏に何故かゲンコツをくらった。


「てかお嬢様はまだ少し破れたドレスのまんまなのかよ」

「そういうお前らだって」

「「...あっ!」」

「1回戻るぞ!」

「えっなんでだ?」

「これは借りてる物なんだよ、ゾンビ教会から」


早く戻らないと夕方までに返せって言ってたからすぐに戻ればなんとかなるか。


「ゾンビ教会って大丈夫だったのか?」

「何も言われなかったし大丈夫だよ」

「ゾンビ教会内で指名手配はされてないようだし大丈夫だ」


何も考えずに入ったがな。

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