第12話 宗教問題


「そんな奴らに勝てるわけないな。今回のクエストはなかったことに…」

「犯罪を放っておけって言うつもりか?この町は今無くなってしまったら困るんだ」


星華ってそんな熱いキャラだったけな?


「どうしてだ?この町にそんな思入れがあるのか?」

「他の町はここよりも治安が悪いんだ。そんな所に行きたくない!」


それなら仕方ないか。

俺も行きたくない。

ていうか、星華って他の場所の事情にも詳しいよな。


「でもまぁここは少し私とも関係している場所だからな」


出身地だからかな?

星華の顔が少し真剣な顔になっていた。


「でも多分まだそいつらと戦っても負けるだろうし今は放っておこうぜ」


負けると言うのはこの世界では死を表す。

そのためすぐには行かない。


「あぁそのつもりではある。やつらの動き次第だがな」

「有輝は?有輝ならなんとかなるんじゃないの?」

「「それだ!」」


有輝の事をすっかり忘れていた。あいつならなんとかなりそうだ。


「雫、有輝を探してくれ」



「こんな離れたとこに有輝が本当にいるのか?」

「ブラウニーの視界ではここにいるはず」


ここは町から大体1時間以上歩いたところだ。


「あっいたいた。おーい有輝ー」

「どうしたんすか?竜さん達?」

「頼みがやって来た。私達と少しばかり協力してくれないか?」


有輝は少し悩むと


「いいっすけど。何するんすか?」

「ゾンビ教を滅ぼすとまではいかずとも弱体化させる」


こっちとしては薬物の流通さえ防げればいいからな。


「あぁ、そうゆう事すか。それなら任せてくださいっす」


有輝が来るなら勝ったな。



ゾンビ教を倒すために作戦会議をするためにいったん食堂に戻ることに。


「とりあえず知っていると思うがゾンビ教は今、最大の宗教団体だ。真正面から戦っても数で押されたら有輝でも危ういかもしれん。だからこの町のゾンビ教だけを退治しよう」

「他の町はどうするんすか?」

「それは後々にだ。今はこの町での活動が盛んだ。ゾンビ教共の企みを阻止したい」


星華が真剣な表情で言う。

なんで星華はこんなにこの町の事に真剣なんだろう?


「じゃあとりあえずこの町のだけでも行こうか」


作戦会議は星華のおかげですぐに作戦をたてれた。



この町にあるゾンビ教の教会は1個だけ。

そこを潰せばなんとかなるはずらしい。


「ここか、お前ら準備は出来たか?」

教会とは言ってもビルの中にあるから教会と言えるかよく分からない。ビルの前に教会の予定表が書かれてある。


8時~開放

9時~祈祷時間

10時~懺悔室開放

20時閉鎖


今は11時だからそこまで人はいないはず。


「おう準備は出来てるぜ」

「僕もっす」

「私もだよ」


星華が頷き突入する。


「ゾンビ教の者共!責任者を出せ!訴訟状は持っているんだぞ!」


そう言って星華は訴訟状を出す。

ちゃんとした証拠なんて作ることは不可能に近いのになんで訴訟状を持っているのだろう?


「なんだお前ら!ゾンビ様に失礼だぞ!」

「はーいちょっと黙ってくださいっす」


そう言って有輝は教徒のお腹を殴り気絶させる。


「分かったか?こいつの様になりたくなきゃ、早くお縄に着きやがれ!」

「そうだよ、早く捕まって反省してよ!」


俺と雫は野次だけを飛ばすだけであった。


「おやおや、ゾンビ様の偉大さをお分かりにならない人達よ。あなた達には今からゾンビ様の良さを理解してもらいましょう」


牧師と思わしき姿をしていたその男は俺達を見るなりそんな事を言い出してきた。


「何がゾンビ様だよバカバカしい。お前らが薬物を流通させなければこっちだって何もしなかったんだよ」

「そうですか。ゾンビ様の恩恵をご所望ではないと、では教会で暴れた罪、贖あがなって貰います」

「はーいちょっとうるさいっす」


有輝が一瞬で牧師の腹を殴り気絶させる。

有輝…もうちょっと場面を考えられる様になろうな。

ここは熱いバトルを繰り広げハラハラドキドキしてお互いの正義をぶつけ合うそんな展開にしないと。


「こいつらをどうするんだ?」

「無論、隷属刑だ。あの町の犯罪者は大量殺人をしてない限り隷属刑しかないぞ」


隷属刑って奴隷ってこと?

怖すぎだろ。

奴隷って何するんだろう?


「じゃ、クエスト完了でいいか」



あれから1週間が経った。

今はクエスト選びをしている。


「ゾンビ教、あいつら本当に無くなったのか?何もしてこないぞ?」


有輝は別の町でクエストがあるらしく何処かに行ってしまった。


「さぁな。ゾンビ教はあれでも最大の宗教なんだ。別の町でやってるんじゃないのか?」


それなら俺達に関係ないからいいのだが。


「おっこの横浜の貴族に手紙を届けるクエストとかいいんじゃないか?楽そうだし」

「私は大丈夫だよ。星華は?」

「私は…ちょっと」


星華は嫌そうな顔をしている。

地味なクエストよりゾンビを倒すクエストの方が好きなのだろうか?

それか、前にここ以外は治安が悪いって言ってたし治安が悪いからなのだろう。


「今日は良さそうなクエストは無いな。ゾンビでも狩るか」

「そうだな」



久しぶりに来たな。歩いて2時間の場所。


「ここ、懐かしいな。ここでお前らが能力者になったんだもんな」

「2週間位しか経ってないと思うけど?」


…確かに。最近は色々な事がありすぎて忘れていた。


「そういえば。こうゆうとこにある廃ビルとかの建物の中の物ってどうしてんだ?」

「部屋に入って使えそうな物はとってる」

「…それ、空き巣じゃね?」

「そういうのは気にしたら負けだよ」


こいつらって地味に犯罪犯してるよな。


「まぁ今日はしないがな。多分近々出ると思うぞ、クエストが」


空き巣クエストなるものがあるのか。

…犯罪者になれって言うのかよ。


「最初はちょっと罪悪感湧いたよねー」

「そうだったな。懐かしい思い出だ」


それは懐かしめるんかい。


「後ろからゾンビ来るよ」

「ふっ、俺の成長を見せてやる。ゾンビ教の時、完全に空気と化してしたからな」

「私もだけど?」


そんな事はどうでもいい。俺さえ良ければ全てよし。


「ファイアーストーム!」


ファイアーストームは風魔法で螺旋状の風を作り出し、そこに火魔法を出す二重属性魔法だ。


「お前、こんな事もできるようになったんだな」

「二重属性魔法ってあんまり見た事ないよ」


やっと、やっと、主人公らしい事が出来た。

女の子にキャーキャー言われる俺の夢が1つの叶った。


「それでもゾンビは倒せないけどな」

「…そうでした」


ゾンビは首を切らない限りまぁまぁのスピードで再生するんだよね。

魔法を使えばある程度再生スピードは遅くなるけど。


「けど、助かったよ」


誰かの役にたてたのなら良かった。


「星華の能力って空を飛べるに近いんだよな?ちょっと俺も乗せてくれよ」

「いいが落ちるなよ?」


星華の能力を使ってちょっと遊ぼう。


「…どこにあるの?」

「…落ちるなよ」


落ちちゃうよ、俺?どうしようか。


「竜、星華、もう日が暮れるよ。帰ろう」

「そうだな」


日がオレンジ色に輝き沈み始めているので帰り支度をする事に。

ゾンビ教は何がしたいのかよくまだ分からない。

なんのために教徒を増やそうとしたのかもさっぱり分からない。

でもこんな楽しい生活を邪魔しようってんならどんな手を使っても…いやそんな事はまだ考えなくていいか。

だって今はこの生活を楽しみたいからな。

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