第9話 ゲーム大会

星華が持ってきたトランプと人生ゲームをギルドの食堂でやる事になった。

ふと後ろを向いたら鷲が居た。

鷲わしなんていたっけ?まぁいいか。

トランプでやるゲームと言ったらあれしかない。


「ポーカーやるか」

「掛け金だってあるしね」


おもちゃのメダルだかな。


「ポーカーってなんだ?」


掛け金用のおもちゃのメダルまで買っといてなんで知らないんだ。

ブラックジャック派か?


~色々説明中~


「なるほどよく分かった。今からそれをするんだな。ていうかラノベ読んだ事があった」


星華ってまぁまぁアホだな。

多分頭は悪くないのだろうが。


「じゃあ俺が混ぜるよ」


俺が混ぜる理由?そんなもの簡単だよ。

ズルするためさ。

俺はどんな相手でも容赦はしない。

でも誰かとゲームなんてした事そんなにないけどね。

カードを混ぜる時バレない様に自分の方にカードを投げる。

それが今回のズルだ。

簡単なズルをバレないようにするのがたのしいのさ。


「まって竜。あなたズルしましたね?」


雫がそう言ってきた。

こいつなんで分かったんだ?


〘 なんで私が分かったのって顔してるね。分かった理由?そんなの勿論。貴方のすぐ後ろに私のペットもとい眷属である鷲がいるもの。私の能力でワシの視覚と私の視覚を交換してるの〙


雫が1番の敵になりそうだ。

星華はさっきから何も分かっていない様子だ。


「分かった、普通に混ぜる」


今回は普通に混ぜた。

ポーカーは普通に混ぜさえすれば基本は運ゲーなのだ。


「じゃあ、お先に交換してもいいぜ」

「ではお言葉に甘えて」


今回の星華は相手にもならない、なら警戒すべきは雫だ。


「どうだい?いい手札が出たかい?」


俺の手札はハートのAとスペードの2、ダイヤの3、ハートの4、ダイヤの5だ。

これでストレートが出来る。


「そうだねぇ、結構いい方かな」

〘 まずいまずい、竜の手札がストーレートだよ私なんてスリーカードだし。…ここは強気に出た方が〙


雫の手札はスリーカードか。

ん?どうして分かるんだ?だって?

そんなの能力使ったからに決まってるじゃん。

雫の手札が見えるように光を曲げたんだよ。


「私はこれでいいぞ?」

「じゃあ俺も」

「本当にいいの?負けるよ?今だったら見逃してあげてもいいけど?」


今更そんなの通じる訳ないよなぁ。


「いやー別に大丈夫かな。なんだったら掛け金上乗せしよっかなー?」

「…降りる」


ふっ、勝った。

これで俺の勝ちだ。

「じゃあな星華!ストレートだ」

「はい、フルハウス」

はっ?星華、お前強すぎ。

いやいやまぐれだ。

今度こそ。


「じゃあもう1回だな。俺が混ぜるよ」


今回は自分に好きな数が来るように調整するズルだ。

俺の勘だが雫はズルをしている。

雫の能力を考えて後ろの鷲が眷属なんだろう。

眷属と視覚を交換してやがる。

だから俺は鷲の目に入る光を完全に無くしてやった。

雫が困惑している。


〘 バレたの?交換した視覚が真っ黒になっている。こうなったら視覚を元に戻して竜がするであろうズルを見破るしかない〙


俺はダイヤの6とダイヤの7、ダイヤの8、ダイヤの9、ダイヤの10だ。

ストレートフラッシュが放てる様にした。

雫はハートの4とクローバーの4とハートの5とダイヤの5、クローバーの8か。

ツーペアかこれは買ったな。


「どうだ?交換してもいいぜ?」

「私は手札が良すぎるからなぁ。竜こそ交換してもいいんだよ?」


ふっ、悪あがきか嫌いじゃないぜ。だかな、俺の勝ちだ。


「私はいいぞ」

「じゃあなお前ら、ストレートフラッシュだ」


勝ったこれで…


「ロイヤルスレートフラッシュだ」


…は?


【竜と雫は本当に馬鹿だな。最初っからお前らを騙していたんだよ。わざとアホらしくしたのも全てな。竜のズルだって最初から気付いていたさ。竜がズルをした時から私はズルをし返す事しか頭になかったんだよ】


負けた…完全敗北だ。

星華はやれやれみたいな顔をしている。

多分、星華は最初っから俺達を騙していたんだ。

してやられた。

雫は…まだ悔しがっている。

星華が1番の相手だったのか。


「今度やる時はズルをバレないようにする事だな。竜」


やっぱり人って簡単に判断できないんだな。



「今から人生ゲームを始めるが、言っておくがズルはするなよ。人生ゲームでズルはしにくいと思うが」

「分かってるよそんな事」

「そうだよ星華、そんな分かりきった事なんで今更言うの?」

「お前らがさっきズルしてたからだよ」


はいその通りです。

何も言えない。

この人生ゲームはルーレット式だな。

でも人生ゲームでズルは流石に…


「じゃあ俺から…おお初手10か幸先がいいな」


出来たわ。ルーレットが反射している光を入れ替えってやった。


「私は…2だね。幸先悪ーい」

「私は…1だ」


これも俺の仕業だ。

ふっ、これだからズルは辞めらんねぇぜ。


「おっ?今度は9だ。ええっと?ヅイッダーに投稿したバイトテロをした動画が大炎上?バイト先に賠償金を1000万払え?」


そうだ忘れていた。

人生ゲームはマスにあるイベントも気を使わなければ行けないんだった。

まぁそんな事なら気をつければ。


「このルーレットじゃなくて、このサイコロを使わないか?」


おい星華、サイコロは面を入れ替えにくいんだよ。


「別にサイコロじゃなくてもいいだろ?」

「サイコロの方が数を大きいし、お前ズルしてるよな?」


おっと、もうバレてしまったのか。


「じゃあいくぞ。おっ11か、えっーとアイチューブにあげた動画がヒットして100万円を獲得…か。やったぜ」


こいつ運良すぎないか?

いやこれは運じゃない?

まさか…な。


【サイコロってのは力加減を考えれば好きな面を出す事が出来る。竜がズルをしてくれて助かったな】


~数十分後~


「私の勝ちだな」

「俺が負けた…だと?」

「竜には勝ってて良かったよ」


あの後、星華は良いマスばかりに止まり、雫は結構運が良かった。

俺はズルをしたせいかその罰が巡って来て悪いマスにしか止まらなかった。


「クソっ雫にまで負けるなんて」

「私の事馬鹿にしすぎじゃない?」


だって雫、ポーカーの時クソ雑魚だったもん。


「はぁー負けた負けた。今の時間は…丁度夕方か」

「そういえば罰ゲームを決めてなかったね」


罰ゲーム?


「そんなのあるなんて聞いてないぞ?」

「あるものでしょ?何のためにゲームをしたと思っているの?」


まじか。

罰ゲームなんてされたら俺がどうなる事やら。


「じゃあ罰ゲームの内容は…1位の人が最下位の人に何でも言うことをきかせられるってのは?」

「いいなそれ。じゃあ竜、お前私達に晩御飯を奢れ」


終わった…いや大丈夫、昨日のおかげで財布が潤っているんだ。ちょっとやそっとじゃ崩れはしない。


「それじゃあ、本マグロの握りを」

「シャトーブリアンのステーキを」

「やめろー!」


「大丈夫だってそんなのある訳ないだろ」

「そうだよ、だからそんな泣かないでよ」

「そんなの頼まれたらもっとあんな所に泊まらないと…あー俺のいい人生、悪い事もあったけど楽しかった」

「「いや本当にごめん」」


…はっ!俺は一体?どんでもない額を払わないといけなくなりそうで気を失っていた。


「まぁ、いつものでいっか」

「そうだね」


それならなんとかなりそうだ。


「はぁ、ゲームには自信あったんだかな」

「お前達がズルをしなければ私だって普通にやっていたさ」

「星華は本当に強いよね?何したらそんなに強くなるの?」

「…ずっとラノベのキャラみたいな事をやってみたくて練習してたらこうなった」


星華って地味に可愛い所あるよな。

全く、厨二病も程々にしておけよ。


「明日からゾンビ狩り再開か」

「いや、明日から大体はクエストを受ける事になるぞ?」


そっか、クエストがあったのか。

クエストでそんな稼ぎ易さって変わるのか?


(私は早く親から離れたいんだ。その為にも早くお金を稼がないと)


星華…。しょうがない、もっと頑張ってやるか。

友達の夢みたいな物だもんな。

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