第5話 この世界の疑問
今は少しお金に余裕が出来たのでお昼ご飯に3人でステーキを食べている。
「「「いっただっきまーす!」」」
「やっぱりステーキは美味いな。これが初めてだけど」
「美味しいー、やっぱりステーキは最高だよ。初めて食べたけど」
「お前らステーキを食べたことないのか?私は何回かあるぞ?」
いいとこのボンボンがよ。
なんで冒険者やってんだよ。
「ステーキと焼肉の違いって何?」
「薄さじゃないのか?」
ステーキと焼肉の違いなんて考えたことなかったな。
てか、焼肉なんて食べに行ったこと1回しかないんだよな。
「なぁ、気になったんだけどさ。この肉って何の肉使ってんの?」
「さぁ?星華は知ってる?」
「私も正直分からないな。この肉はどこの肉なんだろう?」
星華も知らないのか。
この町は道路のアスファルトを剥がしたところに畑や水田が建てられかろうじて、野菜と米が作られている。
水は東京湾から持ってきた水をろ過し、それを使って野菜や稲を育てているが牧場は無いため何処からこの肉を仕入れているのかが分からなかった。
「よし!調べに行こう」
「すいませーん。ここって何の肉を使っているんですか?」
食堂のおばちゃんみたいな人が皿洗いをしていたので聞いてみた。
「そうねぇ、ちょっとそういう事は聞いた事ないからねぇ。そういうのはギルドから貰っている物を使っているからねぇ。ごめんね、ちょっと分からないかな」
なるほどギルドから貰っているものを使っているのか。
「なるほど、分かりました。御協力感謝します」
食堂のおばちゃんですら知らないのか。
「じゃあ、ギルドの受付の人に聞いてみるか」
すぐ近くにあった受付所に言って聞くことにした。
ギルドって動物を狩るクエストとかって出てたっけ?
まだクエストを受けられるランクじゃないからちょっと見ているぐらいしかしたことがない。
「すいません。食堂で使われている肉って何を使っているんですか?」
「そうですね…私達には分かりかねます。上の者しか分からないと思うのですが…」
受付のお姉さんは全く俺の目を見て話そうとしない。
まだ俺の事を子供にお金を出させるクズと思っているのだろうか?
「次はそうだなギルドの上の人に話を聞こう」
「気になったことに関してはお前行動的になるんだな?」
俺は引きこもりは引きこもりでもできる引きこもりなんだ。
「何処に行けばいいのかわかっているの?」
「…星華、知ってるか?」
「はぁ、全く。このビルの最上階だよ」
「ふぅー、やっと着いた。外観で見るより低いんだな」
「いや、それは違うぞ後ろを見ろよ。壁で塞がれているだろ?」
本当だ。壁からどんどん聞こえる。
「ここにはな、上の階でソンビなったやつらがいるんだ。壊されることはないと思うし増える事も無いから大丈夫だがな」
フラグかな?まぁ、星華がそこまで言うなら大丈夫か。
そして、星華がギルドの上の人がいる場所の前まで案内してくれた。
「なんでお前、こうゆう事に詳しいんだ?」
「…父が少しギルドと関係があるからな」
「そうなんだ」
星華が目を逸らして言って来た。
何かあるんだろうなとは思うが深追いはしない。
秘密は誰もが持っているものだからな。
「すいません、気になる事があり来ました。出来れば話に応じてくれるとありがたいです」
と言ったらドアが開いて中から多分30歳ぐらいの男性が出てきた。
「何か用か?」
「食堂で使われているお肉は何ですか?」
「そんな事で来る…あぁまぁ、企業秘密ってやつです」
星華を見るなりへりくだって来た。
男性はそれを言うとドアを閉めた。
本当に星華って何者なんだ?
「しょうがない、次だ次。次はここの食堂の裏に行ってみようだ」
「そんなとこに行けると思っているのか?」
「バレなきゃ大丈夫だ」
「それって大丈夫じゃないやつだよね?」
ご最もだが、ここまで来たら止められない。
徹底的に調べてやる。
(ちょっと狭いよ。竜、もうちょっと向こうに行ってよ)
(ここが限界なんだよ。てか1番場所をとってる星華に言えよ)
(無茶言うなこれで限界なんだ)
俺達は今どこにいるかと言うと食堂のキッチンにある掃除用具箱だ。
食堂のおばちゃんが何処かに行った隙に入った。
(なんでお前達まで来たんだよ?)
(そんなの気になるからに決まってるだろ?)
てか、3人も入る掃除用具箱ってどんだけ大きいんだよ。
(とりあえず静かにしてよ。バレたら絶対怒られるだけじゃすまないよ)
確かに。そう思ったのか星華も静かになる。
そしてしばらくすると、食材を持ってきた人が来たが。
(あれじゃ何の肉が分からんな)
もう切られている状態で持ってこられた。
(はぁ、せっかくここまで来たのに)
雫がため息をつく。
(というか、ここからどうやって出るんだ?)
(…確かに。そこら辺を全く考えてなかった)
やばいどうしよう心臓のおとがバクバクする。
凄くいけないことをしている感が湧いてきた。
まぁ実際やってるんだけどね。
(そういえばおばちゃんが言ってたじゃん。分からないって)
(……あっ!)
すっかり忘れていた。
(おい!どうするんだ?多分だがもうすぐで食堂が閉まる時間帯だから掃除し始めるかもしれないんだぞ?)
もうそんな時間になっていたのかよ。
食堂にいるおばちゃんは多分明日の下ごしらえをするだろうから、まだ時間はあると思うが。
「やばいわ、またトイレに行きたくなってしまったねぇ。この歳になるとすぐトイレに行きたくなってしまって不憫なものだねぇ」
と言っておばちゃんがトイレに向かった。
多分俺達が掃除用具箱に入って行こうといた時もトイレに行っていたのだろう。
この隙を見て俺達は掃除用具箱から出る。
「やっとでれた。早くここから出るぞ」
「ちょっと…まってぇ」
俺達はササッと食堂を後にする。
「はぁー、これじゃさっぱり分からんな。ここまで来たら物凄く気になるんだが」
「流石にお手上げだね」
「それじゃ私は家に帰るよ」
と言い星華は家に帰り今日もギルドの宿に泊まることに。
相変わらずここは最悪だな。
全くギルドの肉って一体なんなんだろう。
そう考えているとまた朝を迎えていた。
「「眠い」」
俺と雫がハモる。
多分だが雫も何の肉なんのか気になりすぎて眠れなかったのだろう。
「はぁ一体なんなんだろうね、これ?」
雫がフォークに突き刺した肉を見ながらみってくる。
「はぁ、ギルドが出してる肉って一体なんなんだ?」
俺達はいつも通り星華がやって来て、朝食を済ませゾンビを狩りしに行こうと準備を…
「あっ!」
ギルドが出してる肉ってもしかしたら…
「なんだ?何か分かったのか?」
星華の目の下にもクマができている。
多分星華も気になってしまったのだろう。
「なになに教えてよ」
多分ゾンビ肉ですね。
だってギルドの換金所で動物を換金してる奴見たことないし、ギルドはゾンビ殲滅するための組織だし、日本にあった牧場から動物達が逃げたとも考えられないし。
「知らない方が幸せな事ってあると思うんだ」
「どんな肉を使ってるんだ?」
「ねぇねぇ、教えてよ」
俺はもう悟りを開いた様な顔をしていた。
そしてしばらく肉を食べられなくなり見ているだけで吐き気がして来た。
「おい竜!そろそろ肉を食え!最近のお前の顔全然元気がないぞ!」
「嫌だ!食べたくない。それを俺に向けるな!」
「星華、早く竜を抑えて」
それを聞いた星華が俺を抑えてきた。
嫌だもうそれだけは食べたくない。
「早く口を開けてよ!もし開けなかったら、爪を1枚ずつ剥ぐよ?」
雫の目がガチだ。超怖い。
でも俺は口を閉じた。
俺は鋼の精神を持っているのだ。
俺は決して悪には屈しない!
「しょうがない、爪を1枚ずつ剥ぐしか…」
俺は一瞬で口を開けた。
ゾンビ肉を食べることは人肉を食べるようなもんだか爪を剥がれる方が絶対辛い。
「…美味い」
久しぶりに食べた肉はもうとてつもなく美味く、一瞬、気絶しかけた。
それと同時に俺は人間として大事な何かを失った気がする。
星華と雫が勝ち誇った顔をしている。
知らないっていいよね、俺みたいにならなくて済むもん。
もしこのゾンビの世界が終わったのなら、日々の生活を感謝しながら過ごそう。
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