第7章 小王国ウェスタの首都タバール攻略戦

 第五軍はロザリア平原で1か月の期間再訓練した。基本的に頑丈にこもっている相手の占領するには相手の3倍の戦力を要する。しかし、進化した攻城兵器を利用すれば犠牲は少なくて済む。また、大きなカタパルト投石器も十台そろえた。カタパルト投石器を作る技術はウェスタにはないだろう。ロアール川に頑丈な橋も架けた。今回の戦闘準備では軽装歩兵を含めた工兵がすごく活躍した。彼らの多くは農民である。そして戦闘が冬のうちに終わることを望んでいるのは彼らなのである。


 一か月間の訓練の後、ゲンブルグはウェスタの首都タバールに侵攻した。侵攻の前にゲンブルグはタバールにいるスパイに敵が備蓄している兵糧を焼かせた。こうして首都内の兵1万5千が長期戦に持ち込むのを避けた。

 まずゲンブルグはカタパルト投石器でタバールの都市壁を狙った。都市壁はそれほど丈夫ではなく油を塗った石に魔法兵が火をつけて飛ばすと。都市壁は崩れ始めた。それを見計らって櫓型攻城兵器4台を都市壁に近づけた。櫓型攻城兵器は巨大なものであり、前面に氷が張ってあり火の魔法対策が施されていた。櫓型攻城兵器上には魔法兵と軽装歩兵が乗っており、都市壁上の敵兵を攻撃していく。カタパルト投石器の攻撃も続いており、都市壁上は、混乱していた。そして。櫓型攻城兵器は都市壁に接続した。

 ゲンブルグは「投石器打ち方やめ」と指令を出した。そして、都市壁に登場したのは、櫓型攻城兵器の階段を登ってきた重装歩兵である。狭い空間ほど重装歩兵は活躍できる。背後や横を突かれない限りは。また南の都市門も今度は違う形の攻城兵器、破城槌で破られた。門からは敵歩兵と敵騎兵が飛び出してきたが、こちらの重装弓騎兵と軽装弓騎兵に圧倒された。騎兵はそのまま都市に入り、都市の北側にある城門手前まで攻めた。しかしそれ以上は攻めなかった。いや攻めないように命令されていた。

 これはヒルマン王を味方にするための計略だった。都市内で降伏した兵もみな城内に贈られ、籠城戦となった。ゲンブルグは貴族の家を没収し、そこを仮の司令部とした。敵兵糧は焼いた。敵兵は1万強。はたしてどう出る。

 城を包囲して十五日がたったころ、ヒルマン王から降伏の使節がやってきた。使節と話を取り決め、ウェスタ兵の5分の4を奴隷とすること、貴族の家はそにままゲンブルグが使うこと、首都タバールは第五師団が接収すること。税の8割を第五師団のものとすること、ヒルマン王はそのまま王でいること、ウェスハリア帝国とウェスタ王国の貿易の促進、その他こまかいことはヲォーデンにまかせて、話は決まった。

  

 それから、ゲンブルグはすべての兵を集め、「タバールは落ちた。ここに今年の戦争の終結を宣言する。そして農民は今から帰り支度をせよ。」と演説した。すると、「将軍万歳、将軍万歳。」とコールが帰って来た。どうやら兵たちの心をつかんだようである。

 ウェスタの北には12部族が暮らし、西にはロアール川を渡って3小王国がある。東は森で5部族の連合国家である。この東の連合国家が一番強い。なぜなら武器が違うからだ。ヲォーデンによれば砂鉄から作る武器を使うらしい。ゲンブルグもそんな武器のことは聞いたことがない。商人を向かわせその武器をできるだけ買うことにした。その武器は剣をたたき折るらしい。こうして、ウェスタの東側の武器にスポットライトがあたった。

 (現代人の我々なら知っている、それが玉鋼から作られる日本刀であることを。)

 ゲンブルグは彼らがファランクス重装歩兵を使ったら、手ごわい力をつける、そのまえに潰すことが必要だと考えた。「なんとか平原まで引きずり出さなければ。」ゲンブルグは商人にロザリア東部の詳しい地図、特に平原の詳しいデータの乗っているものを作るよう頼んだ。



 

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