第2話
「大変ですね。どうか体調だけは崩さないように、、!」
とスマートフォンの画面に表示された。瑛太はそれだけで心がほっと落ち着くような浮つくような感覚に陥った。
青い鳥をかたどった形をしているそのアプリは、その日暮らしをしている瑛太にとって唯一と言って良いほどの娯楽だった。瑛太はそこで日々の鬱憤や日雇いの仕事の上司のパワハラへのヘイトを吐き出していた。
瑛太は三畳一間のオンボロアパートの一室を借りてそこに居座る形で住んでいた。一日一日を生きている瑛太には当然家賃など払えるわけもなく、大家のババアも最初のうちは催促をしにきたが、なんせ年がいってるもんで諦めがいいのか忘れたのか、ある月からぷつんと催促も来なくなり電気とガスを止められた。水道だけはなぜか止められずにすみ、実質タダで瑛太はそこに住んでいるのであった。
瑛太は三、四日に一度行く日雇いの仕事で、食費や酒代、タバコ代、エロ雑誌代、そしてスマホ料金をまかなっていた。スマホ料金は、どれよりも優先して取っておく事項であった。逆にそれさえあれば良かった。そこが瑛太の心安らぐ居場所だった。そこで日々の憂さを晴らすことだけが喜びとなっていた。瑛太のアカウントにはフォロワーが1人しか居なかった。だがそれで良かった。それが良かった。そのフォロワーはいつも瑛太のつぶやきにグッドボタンを押し、労いの言葉を言ってくれた。
ある日、いつものように三畳一間の畳の上でスマホをいじっていると、ピロリンと場に似合わぬ軽快な音が鳴った。どうやらそのアプリにメッセージが来たようだ。そこには
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