噓遊具

@3tamaria

第1話

 「金がない」と言いながら自動販売機に180円を入れて缶ジュースを買っている自分よりも年下のガキが羨ましかった。そう自動販売機で110円の缶コーヒーを買いながら瑛太は思った。そしてないとわかっていながらも釣り銭をあさった。釣り銭をあさるのは財布に100円が入っていたことがない幼少期からその日暮らしで生きている今でも治らないどうしようもない癖だった。



 瑛太は昔から自分は貧乏だと自覚しており、四ヶ月にいっぺんほどに貰える小遣いを貰ったとしても、母親の財布に戻すような子供だった。そのせいで友達と遊びに行く金もなく、必然的に友達もいなくなっていった。

 中学校は二年生二学期から不登校となり、不登校といっても母親には言わず一日中街をぶらぶら散歩したりしていたのだが。また歩くのも面倒な時は、近所の滑り台と鉄棒とベンチと呼ぶには小さ過ぎる椅子しかないような公園に居座って一日中ぼーっとしていた。瑛太はそこが好きだった。そこで何も考えずに居座っている時間だけは、母親も学校もいなくなった友達も思い出すことなく済んだ。そこには時折体操をしに来るじじばばやそこらに住んでいる子連れが来たが、瑛太はなんでもないように居座っていた。

 ある日、瑛太がいつものように公園に居座っていると、いかにも進学校にいそうな顔立ちと制服の青年がすらりとスマートな歩調で歩いてきた。そうしてその青年は瑛太に

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