記憶に残る味。
料理の記憶とは違う、漠然とした美味しさの記憶ってありますよね。
果たしてその記憶が明確に当時の美味しさを再現しているかは分かりません。
記憶は思い出となり美化されるものですから、もう一度同じものを食べた時に同じ美味しさを味わえるかというと、そうではない場合が多いと思います。今、感動した味は一期一会の美味しさかもしれません。
誰と食べたか、どこで食べたか、どんな時に食べたか。
味に作用する限定的な要素は限りがないですから。
隣にいる彼女からおいしいラーメン屋についての話を聞くというシチュエーションを体験?できる。そんな作品です。
美味しさの記憶という。多くの人が持っているであろう普遍的なテーマと、口語文というキャラクター像がダイレクトに浮かびやすい形式がマッチしているようで不思議な没入感がありました。
なんだか、お腹が空いてしまいました。
素晴らしい作品をありがとうございました。