第7話 漫才という麻薬
(下手くそな韓風漫才師による)「程度の低い笑い」がなければ生きられない現代人。
子供の頃、祖父に連れられて行った浅草の寄席では、下手な漫才や落語だと畳に寝転んでいびきをかいている人がいたくらい、芸人は真剣にやらざるを得なかったし、観客も自然体で楽しんでいました。
今のように、国立劇場でお行儀良く「落語を聞かせて戴く」とか、下手な漫才でもマスコミの力で面白いように見せかける、なんている不自然な形態ではなかった。
「笑い」は人間関係を暖かくし、社会の潤滑油となる、といわれますが、ここまで下手くそな漫才を無理やり聞かされ、ラジオからは、下品な「作り物の芸人」による下手くそなおしゃべりが流れてくると、潤滑油どころか錆によって、かえって私たちの人間性が堕落させられる毒のように思えてならない。
食品業界では、3000種類のアミノ酸を使えば世界中のどんな食べ物の味でも作り出せるのだそうです)。そんな食品の世界では、毎日、さまざまな人工味覚による食品が何十、何百と作り出されている。
そして、「情報化社会」という観点に立てば、「精神をおかしくするアミノ酸入りのカップ麺」よろしく、マスコミという麻薬の売人によって次々に生み出されてくる、中毒性のある麻薬的ニュースや演芸によって、それがないと生きられないようになってきつつある。
それが現在の日本人なのではないでしょうか。
続く
2024年1月9日
V.1.1
平栗雅人
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