第8話 優しいと思っていた人が豹変する可能性に注意
『推し活』において、推す人も推される人も「この人はいい人だから大丈夫だろう」という思い込みは危険である。
出会った頃はだいたいみんないい人なのである。
しかも、現実で言ったら、出会ってまだ一学期のような、かつ、近所でもなく、年齢も性別もどこに住んでるかも、ネット上だと本当のところは何も知らないのに、いい人だと思い込む。
その上、自分を褒めてくれたり、自分に優しかったりすると、いい人だと感じてしまう。
『推しに対する残酷な幻想』で推しに対する幻想を書いたが、逆に推される側も「自分を推してくれる人はいい人」という幻想を抱く可能性がある。
しかし、いい人に見えても、その人が豹変する可能性もあるのだ。
強い感情なら強い感情な分、どう変わるかわからない。
前にある事例を聞いたことがあるので紹介しよう。
配信者兼リスナーの女の子がいた。
その女の子のところに推しはリスナーとしても来てくれる。
「私のことも可愛いって言ってくれる」
女の子は有頂天だったが、他のリスナー仲間のところに行ったら、推しはその子をもっと褒めちぎっていた。
「ひどい、他の子のことは褒めちぎって! 私のところに来るのは単に営業だったのね、ユルセナイ……!」
それまでトップリスナーだった子が態度が変わり、他のリスナーにも、さらには推しにもキツくなった。
これがメンヘラ化して、行動の監視であったり、攻撃であったりに変わっていく。
この豹変前に、この配信者兼リスナーの女の子と、リアルで連絡を取っていたりしたら、リアルでの監視・攻撃になりかねない。
別にこれは女の子に限ったことではない。
男性でも女性でもあるし、他の子を褒めてるからでなくても起きる。
「こんなにギフト贈ってやったのに、他の人と仲がいいなんてどういうことだよ」
推し活をする中には、そういうタイプは男女共にいる。
これは推し側にしか影響がないと思われるかもしれないが、他のファンに影響が及ぶ可能性がある。
それまで推しにも他のリスナーたちにも優しかったのは「自分がリスナーの中でトップ!」という自負があったからで、それが変わると、態度が豹変することもあるのだ。
そもそも、現実世界で同じ学校に行っていたり、同じ職場だったりで、毎日会っていたって性格がわからない人だっている。
なんなら深く知り合って結婚したって、相手が豹変することも、この世にはありふれた話だ。
『推し活』で名前も年齢も性別もわからない人を信用して、自分のリアルを晒したり、個別で連絡を取るのは危険な行為である。
今はネットで知り合った人と会うのは多くなっており、やるなとは言わないが、危険だということは頭の隅に入れておいて欲しい。
好きなら好きなほど、熱意があればあるほど、それは裏返ったとき、恐ろしいことになる可能性があるのだ。
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