第6話 レベル上げの前に蛇足
特に何かある訳でもなく普通に学校生活をこなし、週末になった。高校生になったばかりだけど、中学生の時より1日が早く感じる。何か用があるとその日に向かって倍速で進んでいく感じ。まぁ、という訳で横スラダンジョンよ…私は帰ってきた。
とはいえ横スラはほんとに初心者中の初心者が来るところでここでレベル上げをしてもたかが知れてる。まぁGランクダンジョンはここに限らずどこもそんなもんなそうだけど。それに探索者のランクと一個上のダンジョンまでは入ることが可能だ。ならなぜここに来たかと言うとやっぱり始めて挑戦ダンジョンだし験担ぎ的な感じで攻略しときたいと思ったからだ。まずここのダンジョンボスを討伐してからFランクダンジョンに挑戦したい。それにGランクダンジョンの攻略も全く意味が無いわけじゃない。探索者のランクはモンスターの魔石を協会に納品することで上がっていく。またランクの上昇はポイント制で強いモンスターの魔石ほどいい。さらにさらに、その中でもダンジョンの最下層のボスであるダンジョンボスの魔石には魔石自体の評価に加え、ダンジョン踏破の証明として評価される。だから探索者のランクを効率よく上げたいならいろいろなダンジョンを攻略し、踏破していくのがいい。
そういう訳もあってまず、ここを攻略してからレベル上げしようと考えたっちゅーわけ。
「っと、スライムだ。アブソリュートデス。
はぁ、やっぱり一生慣れないなこれ。まぁしょうがないよね。そのためのロール、そのためのレベル上げやけんね。」
今週は横スラ踏破、来週は高校上がって初の長期休みであるゴールデンウィークが控えてる。
毎年どっか旅行とか行ってるんだけど今年はお父さんの仕事がかなり忙しくて行けそうにないから暇だしそこで集中的にレベル上げをしようと考えてる。お父さんは自分に構わず2人でとか何とか言ってたけど働いてる人置いて旅行ってのもあんまりね。あ…スライム。
「アブソリュートデス。…あれ?エフェクトがでない? …あたっ!痛い…。アブソリュートデス!」
今度は発動した。そっか!運極大があっても確定じゃない。運を上げていけばもっと確率が上がるんだろうけど。やっぱりレベル上げは必要だね。スライムだからタックルされても軽い衝撃を受けるだけだけどこれがもっと強いモンスターなら命取りになるからね。
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その後もしばらく歩いていると大きな階段が見えてきた。入ってみると今までのスライムより若干…?大きめなスライムがいた。
ダンジョンには基本的に1階層毎に階層ボスが階段の前の大部屋に立ち塞がっており、その奥には上の階層に上がる階段がある。横スラの場合は全5階層なので5体ボスがいる。また最終階層のボスは階層ボスではなく、ダンジョンのラスボス的な立ち位置であるダンジョンボスになる。ただ例外も存在する。それが、いわゆる徘徊ボスやイレギュラーボスと言われるものだ。ダンジョンボスや階層ボスとは違い、名前の通り決まった場所に居ないのが特徴だ。常に徘徊し、いろいろなところで出現する。また基本的にはその階層のモンスターよりも強く場合によってはダンジョンボス以上の強さを持つこともあるため、かなり厄介者扱いされている。できることなら一生出会いたくないね。
2階層に上がってしばらくまた相も変わらず一本道を歩いていくとスライムを発見したので倒した。しかし即死魔法で倒すわけだから1階層と2階層でどう強くなったのか全然わかんなかった。
なので結局サクサク進んでいった。アブソリュートデスはMP消費が1しかないためMP切れは心配いらない。MPがなくなるとかなりの倦怠感が出るらしい。中には気絶する人なんかもなんて聞いたりする。ただMPは減ってくると目に見えて気が抜けてるように感じるのでそうなったら休憩を挟むとか気をつけていきたい。ランクが上がって稼ぐようになったらMPポーションなんか買うのもいいかも。今じゃ高くて手が出せないけど。
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あれから結構経ちました。
はい。 現在、5階層のボス部屋前です。
え?3階層と4階層と5階層の道中はどうしたって? なんも変化ないし、やってることも変わんないのでどっかやりました。階層ボスも通常エンカウントモンスターも同じことやんけ。
さてとうとうダンジョンボス戦か…。やっぱり緊張する。
ふぅーっと1回深呼吸をしてからボス部屋の大扉を開ける。
「ちょっと大きいスライム?」
明らかに今までのスライムより大きい。
ボスのスライムってことなんだろう。
「とりあえず、アブソリュートデス!」
ドクロのエフェクトがでて萎んだ。
…………あっけな。
まあそうだよね。ボスとかそうゆうの即死魔法には関係ないか。
おっやっぱりボスなだけあって他のスライムより魔石が大きい。それと…これは石?…でも魔石とはなんか違う?これってもしかしてスキルオーブってやつかも!ボスなんかから稀に出現するレアドロップ。名前の通り使用すると新しいスキルが発現するものらしい。かなりレアなので売ると相当な額になるみたいだけど…今後のこともあるし今回は使うことにしようかな?
えっと…確かスキルオーブは手に持って『使用する』って感じに念じればいいんだったはず。
使用する…っと、わっ光出した。
「眩しっ!…………あれ?無くなっちゃった。」
眩い光が収まると手に持っていたスキルオーブが消えていた。
これってスキルをゲットしたってことなのかな?ステータスを確認してみようかな?
よいしょっと。
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御剣瑠奈 性別 女 ()内は上昇したステータス量
Lv,5
HP:90(40) MP:160(60)
STR:9(3)
VIT:9(4)
INT:16(6)
RES:11(4)
AGI:14(6)
LUK:170(50)
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スキル
ユニーク
【即死魔法】 Lv.1
アブソリュートデス
【運極大】 Lv.1
コモンスキル
new!〔鑑定〕Lv.1
発動対象を鑑定する。鑑定できる内容はスキルレベルに準じる。
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称号
始まりの探索者
new! スライムキラー
スライムに対し、与えるダメージが上昇する。
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おお!鑑定スキルだ!テンプレ中のテンプレ。やっぱりこれがあると始まったって感じがする。…しかしまさかボスモンスターでスキルオーブ一発ツモとは運極大おそるべしやな。
あとはスライムキラーが新しい称号かぁ。
スライムに対してダメージ上昇って言ったって即死魔法には関係ないからなぁ。普通に戦う人には有用なんだろうけど私には宝の持ち腐れだね。
さて帰るか。…あ!あれが帰還魔法陣かな?
階層ボスやダンジョンボスを倒すと入口前まで転移する魔法陣が出現するらしい。初めて見るけど明らかに魔法陣って感じだから多分これだろう。
意を決して乗ってみる。わっ!視界がぐにゃぐにゃする。
「ん?ここって入口のところかな?」
ゲートあった。つまりちゃんと戻ってこれたんだろう。
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協会に戻ってきた。
今日はまだ早いからかな?前より人は少ない。
スムーズに浪川さんのところに向かう。
「こんにちは!浪川さん。換金よろしくお願いします。」
ドロップアイテムを置く。
「瑠奈さんこんにちは。はい、お預かりします。
相変わらずのスライムジェルですね。あら?これビッグスライムの魔石じゃないですか!?もうスライムダンジョンを踏破したんですか?」
「まぁ、はい。」
「Gランクダンジョンとはいえ瑠奈さんは将来有望ですね。はいどうぞ、見積もり書です。今回はビッグスライムの魔石もありますのでお高くなってますよ。」
「将来有望って…そんな感じじゃないですよ!
あっ!ほんとだ。5500円。ちょっと高い。」
「ビッグスライムの魔石が1200円ですからね。」
やっぱりダンジョンボスなだけあって高く売れるみたい。と言ってもスライムだからたかが知れてるけどね。
「そうだ。私次からはFランクダンジョンに挑戦してみようと思っているんです。おすすめな所はありますか?」
「お早いですね。Gランクダンジョンを踏破されてますから大丈夫だと思いますけどくれぐれもご用心してくださいね。…しかしおすすめですか?横浜のFダンジョンはFにしては道が入り組んだりしていて大変なことで有名ですからね。川崎の川崎平原ダンジョンなんかいいと思いますよ。平原型なので潜りやすくて人気です。」
「川崎ですか?近場ですし、浪川さんが言うならそこにしてみます。じゃあ、今日はこれで」
「私が言うならって、嬉しいこと言ってくれますね。ほんとに気をつけてくださいね。Gランクダンジョンを踏破して調子に乗って痛い目になんてよくある話ですから。」
「あはは…分かってますよ。」
心配性だね、浪川さんも。あのお姉さんって感じに世話焼きじゃあ探索者の間でもかなり人気ありそう。なんて考えながら帰路に着いた。
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よく良く考えれば階層ボス言ってるのに5階層毎っておかしいのでやっぱり1階層毎に修正したよ。
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