第59話 あ!? シズ視点
「……ん?」
寝てたら何かにユサユサ揺らされてる感じがした。
「シズぅ〜」
「うわっ!?」
目の前に号泣したアオイが座っていた。
「ど、どうしたんだよ……?」
「暗くて゛トイレ行けない゛〜」
「トイレ行けないってそんなに怖い?」
「仕方ないじゃんかぁ……だってだってこの体に引っ張られてるんだもん!」
フルフル震えるアオイ。なんだかその姿だけ見てると年相応の女の子に見えてしまう。
「さっきお風呂入ってた時はあんなに……いや、ごめん」
「それとごれどは違うのぉ……つい"て来てぇ……」
アオイにグイグイ引っ張られて襖を開ける。廊下に出ると確かに真っ暗な和風建築はなんとも言えない不気味さがあった。
「も、もれそうなのぉ……」
「わ、分かったよ」
アオイの手を引いて廊下を進む。
こっちだったよな?
突き当たりを右に曲がって庭を見ながら居間を目指す。
「居間の所にトイレあったから……あ、あれだ。
「う〜早くぅ〜」
モジモジするアオイを連れてトイレへ急ぐ。
もうすこし,
あと少し……。
居間の前を通った瞬間。
襖が開いて急に人影が出て来た。
「うわぁ!?」
「あっ!?」
「あらあら? どうしたの2人とも?」
「ディーテさんですか……驚かせないで下さいよ」
「ごめんねぇ。トイレに行こうと思ってぇ」
ディーテさん……女神もトイレ行くんだ……。
「……」
ん?
横が妙に静かな気がする……。
「う〜……」
「あらあらまぁまぁ〜」
涙目になるアオイ。その足元には水溜りが出来ていた……。
◇◇◇
「はい♪ のじゃロリちゃんの着替え♪」
「……ありがとう」
元気の無いアオイ。結局、粗相をしてしまったアオイはもう一度お風呂に入ることになった。元々着ていたパジャマはディーテさんが洗濯してくれることに。着替えはヒビキさんのを借りた。
「乾燥機かけておいたわ。明日には乾いてると思うから」
「色々ありがとうございましたディーテさん」
「いいのよ♪ 困った時はお互い様だから。じゃ、私は寝るわね〜!」
そう言うとディーテさんは寝室へと入って行った。
「う〜……」
「そんな気にしないでよ。仕方ないじゃん」
「でもでもカッコ悪いし……お風呂場でシズにお姉さんぶったのに」
「う、それは関係無いだろ」
それを持ち出されると僕の方が恥ずかしいんだけど……。
「ほら、もう寝よう?」
アオイの手を取る。
「ねぇ……オレ、立ち直れないよ。抱っこしてよ」
「えぇ!?」
「お願いぃ〜」
目をウルウルさせて見上げて来るアオイ。そんな顔したら断れない。結局、アオイを抱っこして部屋に戻る。
「ふふっ♪ ありがと〜」
アオイはもう機嫌が治っていた。
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