第46話 帰って来るまで起きてたい アオイ→シズ
「それじゃあ行って来ます」
「うん♡ 行ってらっしゃいシズ」
バタリと扉が閉まる。今日はシズがバイトの日。廊下を歩いて行く音が消えると、急に部屋の中がシンと静まり返る。
「はぁ……なんだか久しぶりだな。1人になるの」
昨日は公園に行ってゲームして……いっぱいシズと遊んだのにな。
今は17時30分。シズが帰ってくるのは日付が変わる頃。起きてたいな……。
この体になってから夜がやたら眠い。相当気合い入れないと起きてられないぞ……。
──18時。
「シズが作ってくれたご飯♡ 今日は〜? あ! 生姜焼き! 嬉し〜」
まだほんのり温かい夕飯を食べる。すごい。安い豚こま肉だけどシズが作ったのだと全然違う。美味しい。
……。
ちょっと早めの夕飯にすれば一緒に食べられたな。もっと上手くやれたらよかったのに……。今度はそうしよう。
──19時。
「洗い物もおわったし……シャワー浴びてお風呂掃除もしておこっかな」
あ。シズにお風呂掃除しなくていいってメッセージ送っとこ。帰ってきたらシズ疲れてるだろうし……。
──20時。
「ふ〜やっと終わったぁ。シズのタオルも脱衣所においとこ」
クローゼットのバスタオル入れからタオルを出して脱衣所の洗濯機の上に置く。
メッセージさっき送っちゃったしなぁ……また送るのも悪いし。もしオレが寝ちゃったら申し訳ないし……メモ残して置こっかな。寝ないけどね。あくまで保険で……。
A4の紙にメモを書いて机の上に置いておく。うん。中々目立つかも。これなら帰ってきた時分かるかな。
──21時。
……マズイ。眠くなってきちゃった。寝ちゃダメだ。昨日のゲームの続きして起きてようかな……。
目を擦りながらゲームを起動する。
「……」
──22時。
「……はっ!? 寝てた! 起きてないと……シズが頑張ってるんだから……」
でも思ってるのに体が言うことを聞かない。ウトウトして来るのを必死に堪ええてゲームの続きをプレイした。
──23時。
「シズぅ〜むにゃ……」
◇◇◇
「ふ〜今日結構ハードだったなぁ。アオイ……メッセージだと起きてるって言ってたけど大丈夫かな?」
ガチャ。
ゆっくり扉を開ける。
「電気は……付いてるな」
部屋に入ると、パジャマ姿のアオイがテーブルの上に突っ伏していた。
「アオイ?」
「……むにゃ」
「寝ちゃってるか」
アオイを抱き上げ、ベットに寝かせる。可愛らしい寝顔のアオイが丸まる。風邪を引かないように布団をかけた。
「シズぅ……」
「可愛いな。寝顔……」
ふとテーブルに目をやるとメモ書きが置いてあった。
「ええと……お風呂掃除はやらなくていい。バスタオルは……」
もう一度アオイに目を向ける。スヤスヤと眠る女の子に。
多分起きてようとしてくれたんだろうな……。
そうしようと思ってくれただけで嬉しい気持ちになった。
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