第45話 2人でゲームするだけの話 シズ視点

「あ〜。今日久々に体動かしたから疲れたぁ」


 お風呂に入って眠くなる。伸びをすると大きなあくびが出てしまう。


「でもまだ20時だよ? なんかしようよ」


「あ、じゃあさ、前見たRPG見せてよ。僕見てるからさ」


「そういやしばらくやってなかったな。いいよ〜!」


 アオイがイソイソとゲームを起動する。僕の隣にコントローラーを持って来てちょこんと座ると、寄りかかって来た。


「オレ重い?」


「重くないよ」


「ふふっ。じゃあこうしてよっと」


 画面が起動する。懐かしいロゴマークと共にOP映像が流れる。母親が小さな主人公を連れて夜道を走るムービー。何回も見た映像。それを飛ばして、アオイが「続きから」を選択する。


 セーブ1を選択すると、セーブポイントにいる主人公が現れた。


 「勇者ロナ」


 このゲーム「ロストクエスト」の主人公。女の子の勇者ってやっぱり珍しいよなぁ。


「あ、そうだ。ここから負けイベじゃん。すっかり忘れてた」


 アオイがロナを操作して屋敷の中を探索していく。序盤のボス「ジェラルド・マクシミリアン」の屋敷を。


 あくびをしながら見ていると、勇者ロナ一行がボスのジェラルドとの戦闘に入った。


「あ〜そうそう! このジェラルドって強そうな見た目なのに弱いよねぇ。懐かし〜!」


 アオイがパーティメンバーの「女魔導士エオル」を操作し、魔法を放つ。すると、コミカルな動きでジェラルドがのたうち回る。


「あ、土下座してる〜! このイベント懐かしいね!」


 ジェラルドがロナ達に土下座して逃して貰おうとする。


 その時……竜のような槍使いが現れた。


 あれ、コイツ名前なんだっけ?


「アオイ? この敵って名前なんだっけ?」


「魔王軍豪将のヴァルガンだよ。この後確定負けイベなんだよねぇ……」


 強制的に戦闘に入る。アオイが戦うが全く相手にならない。


「攻撃通らないな」


「うん……相手レベル50。こっちは20ちょいだからね」


 あっという間に負けてしまう勇者達。動けなくなった勇者達の目の前で、ジェラルドはヴァルガンにやられてしまった。


「ちょっとかわいそうだよね。このジェラルドってキャラ」


「まぁ……殺される為のキャラみたいなもんだしね」


 そこで画面が暗転し、勇者ロナ達は別の場所で目を覚ました。


「今日はここまでにしとこっかな」


「結構忘れてるなぁ……」


「シズもオレも子供の時だしね、プレイしたの」


 アオイが急に抱き付いて来る。


「え、何?」


「夕方のアレ……もう一回言って?」


「えっ!? もう一回!?」


「そ。お願〜い!」


 恥ずかしいけど、アオイのあの可愛い顔が見て見たい気もする。


「アオイ……す、好きだよ」


「よしよし〜♡ シズ君は良い子ですね〜♡」


「なんだよそれ……」


 僕は、本日2度目の恥ずかしい想いをした。



─────────

あとがき


本作では珍しくあとがきです。

今回の話で出て来たRPGについてはこちらの作品とリンクしております。よろしければお越し下さい。


https://kakuyomu.jp/works/16817330664280809351

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