第42話 挟まれて寝れるか! シズ視点
夜、結局体のサイズ的にアオイとヒビキさんがベッドで寝ることになった。
布団からベッドを見上げると、ヒビキさんの長い髪がチラッと見えた。
明日ディーテさん帰って来るんだよな? ずっとヒビキさんと一緒っていうのも中々キツイぞ。
夕方、ヒビキさんに頼まれて保湿クリームを塗った時のことを思い出す。
……う〜ん。アオイには悪いことしたな。すっごく怒ってたし。
目を閉じて考えを巡らせていると、布団の中にモゾモゾと動いてる感覚があった。
「シズぅ……」
目を開けると、アオイが布団に潜り込んでいた。
「どうしたの?」
「さっきはごめんね」
「ごめんって……どう考えても悪いのは僕だと思うけど?」
「う〜! オレがもっと彼女の余裕を見せれば良かったの! ヒビキさんがシズのことなんとも思ってないことは分かりきってるのに……」
目をウルウルさせて僕を見上げるアオイ。そんな顔を見ていたらすごく申し訳ない気がした。
「僕が好きなのはアオイだけだよ」
「……うん。だからギュッてして?」
両手を伸ばして来るアオイ。自分の顔が一気に熱くなるのが分かる。
「えっと、ヒビキさんもう寝てる?」
「シズの布団入る前に見たよ。寝てたから大丈夫」
アオイが小声で耳打ちして来る。
「じゃ、じゃあ」
アオイを抱きしめる。すると、シャンプーの香りがふわりと香った。
「あ〜シズにこうされると生き返るぅ〜」
「喜びすぎだろ……」
「シズだってこうしたかったんじゃないのぉ?」
「ひ、否定はしないかな」
……アオイを抱きしめると、柔らかいしいい匂いがするし頭がクラクラするんだよなぁ。なんだか衝動に駆られそうで怖い時もあるけど。
「ふふっ。うれし〜♡」
よ、喜んでくれて良かったかな。これで機嫌を直してくれるといいんだけど……。
「おぉ! 中々に熱い2人じゃの〜」
「こ、この声……」
「ヒビキさん? 寝てたんじゃないの?」
「なんか目が覚めちゃっての……」
ヒビキさんがモゾモゾと布団に入って来る。
「寒いしぃ〜儂もシズシズに抱き付きたいのじゃ♡」
急にヒビキさんが背中に抱き付いて来た。背中になんか柔らかい感触が伝わる。
「ちょっ!? ヒビキさん!?」
「どう儂の方がアオイよりおっ……」
「ヒビキさん!シズのこと誘惑しないで!」
「なんでじゃぁ? ちょっとからかっただけじゃろ?」
「シズはオレの彼氏なの! 勝手にセクハラしないでよね!」
「セクハラぁ? いたいけな少女の前でイチャイチャするアオイとシズはセクハラじゃないのかの?」
「そ、それは……」
いたいけな少女なのか? いや、でも見た目はそうだし……でも……いや、心も女の子になったってアオイが
言ってたし……。
「じゃから一緒に寝るのじゃ〜♡」
「ダメダメダメ![
「えぇ〜? えいっ♡」
「シズ!? 反応しちゃダメだからね!」
「シズシズも触ってみたくないかの? アオイより大きいおっ」
「シズのこと誘惑しないでって言ったじゃん!」
「だってぇ……2人ばっかりイチャイチャして寂しかったんじゃもん。ね? だからシズシズも儂のことギュッてしていいのじゃ♡」
「可愛い声で言うなぁ! シズ!? 触りたかったらオレの触っていいからね?」
「ジェラシーじゃなぁ〜」
「誰のせいだよ!」
その日、ぼくは2人が寝るまで寝られなかった。
というか寝れるか! こんな状態で!!
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