第28話 【悲報】幼女オレ、幼女友達を困惑させてしまう。 アオイ視点

「あー早くシズ来ないかなぁ〜。バイト終わるまであとちょっと〜!」


 土曜日の昼下がり。


 気分転換に近くの公園に言ったオレは、公園のブランコに乗ってユラユラ揺られていた。


 家で大人しくしていても良かったんだけど、どうしても落ち着かない。ソワソワしてしまう。


 今日は……。


 今日はシズのバイトが終わったら遊びに行く日。で、デート……かな。


 ヤバッ! 想像したら顔熱くなって来た!


 あのロボアニメの新作映画観て〜ゲーセン行って〜。あ、映画観たらプラモも欲しくなっちゃうかも! シズもプラモ好きだし家で作るのもありかなぁ〜!


 も、もちろん……キス、もしたいし……どこかで……あ、でも街中ではマズイよな、シズに迷惑かけちゃうから……やっぱり家、かな……う〜! 恥ずかしくなって来たっ!!



 ふ、ふふっ……首コショコショもして貰って……。



「アオイちゃん!」


 急に高い声で名前を呼ばれた。ビックリして振り返ると、メガネを書けた女の子が立ってた。


 ん? この子……知ってるぞ?


 そうだ。この前ここで話した子だ。


「あ、優奈ゆうなじゃん。久しぶり〜」


「久しぶり〜じゃないよ! アレ以降公園に来ないし、心配してたんだから!」


「え? メッセージ送ってくれたら良かったのに」


「いや、はは、その……ちょっと送ったら迷惑かなって思って……」


 モジモジする優奈。そんな気にしなくてもいいのに。でもこのくらいの時って人付き合い分からないか。今のオレが偉そうに言えたことじゃないけど。


「ところでさ、何を笑ってたの?」


「え? オレ笑ってた?」


「うん。ずっとブランコに乗りながらニヤニヤしてたり脚バタバタしてたよ?」


 う……見られてたのか……。


 そう言われると急に恥ずかしくなる。


「あ! アオイちゃん顔真っ赤だよ〜! 気になるなぁ……」


 顔を覗き込んで来る優奈を見ていたら、なんだか話してもいいような気持ちになって来る。


 オレのこととか、伏せてればちょっとだけ話してもいいよね?


「じ、実は、さ……この後で、デートなんだ……その、彼氏と……」


「デート!?」


 優奈の目……メガネの奥の瞳が一気にキラキラと輝き出す。


「そうなんだ! アオイちゃん大人っぽいって思ってたけど彼氏いるんだ〜!」


 お、大人っぽい? そうかな……?


 今日のコーデを見てみる。シズと一緒にと思ったから、コートとか……部長に貰った中で1番大人っぽいの選んだかも。


「いいな〜すごいなぁ〜!」


 興味津々といった感じの優奈。なんだかそうやって見られると余計に恥ずかしくなってきちゃうなぁ〜。


 ちょっとだけ気分が良くなって来る。思えば恋バナとかしたことなかったから嬉しいかも!


「どんな感じの人なの?」


「えっと〜優しくて〜いっつもオレのこと優先してくれて〜」


 話しながら顔がニヤけて来てしまう。やっぱりシズっていいよなぁ……しゅきぃ♡


「オレのことすっごく真剣に考えてくれてぇ……でもちょっと他の女の子が怖い。みたいな?」


 ヤババッ! 話したらシズのことでドンドン頭いっぱいになってく〜♡


 あ〜また思考がドンドン幼くなってく〜! でもなんか気持ちいい〜シズぅ〜あぁ好きぃ〜♡


「すご! 彼氏も大人っぽいんだ〜! いいなぁ〜クラスにそんな男子いないよぉ〜みーんな子供っぽいし女子にイジワルばっかりしてくるし」


 そうなんだ!? やっぱりシズってレアなのかも〜はぁ〜早く会いたいなぁ〜。早くバイト終わってくれないかな〜!


「えへへ〜そうかなぁ〜オレにとっては可愛いけどなぁ。シズも大人っぽいのかぁ〜」


「何年生の人?」


1年・・だよ!」



「え"っ」



 優奈がビシッと固まる。なんだか混乱したように頭まで押さえてどうしたんだろ?



 なんかオレ変なこと言ったかな。



 え、だってシズって大学1年……。



「は、はは……1年生ってそんなに大人っぽいの……? え? この前まで幼稚園……?」



 ん? 何言って……あ!!



 今小学生と話してるんだった!?



 鏡でいつも自分見てるからなんか混乱してた!?



「違う違う1年って言っても違うよ! だ」



「だ?」


 大学……ってマズイ!? 大学1年なんて言ったらシズに迷惑かけちゃう!? オレ今幼女だぞ!? シズがぁ〜!?



 え? え? じゃなあ何の1年生ならセーフ?



 焦って上手く頭が回らない〜! どうしよう〜!?



「ち、中学生だだだよよ?」



「中学生!? アオイちゃん中学生と付き合ってるの!?」



 優奈がビックリしたようにこっちを見て来る。もうこのまま押し切るしかないよね!?


「う、うん……幼馴染、だから……」



「幼馴染……!?」



 優奈がプルプルと震える。メガネもちょっとズレてだ、大丈夫かな……?



「なに〜! その漫画みたいな2人! きゃ〜♡」



 頬を両手で押さえながら優奈がピョンピョン飛び跳ねる。


「すごい! やっぱりアオイちゃんはすごいや!」


「え?」


 両手を掴まれてブンブン上下に振られる。


「あ〜! そんな彼氏とのデート邪魔しちゃいけないよね!? 私帰るね!」


「え、あ、うん……」


「バイバーイ! また教えてねー!」


 両手を振りながら優奈は走っていった。


「う、うん。また……」



 なんとかなった……のかな?

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