1月3日 7時8分
「朝だ、支配人」
「んー」
あっきーに起こされ、身体を起こす。
「私……支配人だっけ……」
「支配人だからこき使われたんだろうが」
「それ支配人じゃなくて進行役……」
眠たい目をこすりながら朝食を取り、身支度を整える。
今日が、神様運動会の本番だ。
動画をスマホで撮るため、三脚とモバイルバッテリーも忘れないようにする。
「ねえ、会場まで移動する鏡はないの?」
「ありますよ!」
スマホに話しかけると、元気な推し似の声が返ってきた。
どこからか見慣れた鏡が現れ、宙に浮いていた。
前と同じように、玄関で靴を履き、鏡を掴む。
「何してる」
鏡に触れる前に、奥からあっきーが現れた。
多分、自分の部屋から出てきたんだろう。
珍しく、作業着にエプロン姿ではなく、普段着を着ている。
「運動会の会場に行こうと思って」
「そんな鏡持ってか」
「これでワープできるんだよ!」
「お前は鏡でワープできる、おとぎ話の住人か」
あっきーは呆れ返っている。けれど、それ以外に説明しようがない。
「場所、離れてるのか」
「えっと……いや、悠久に行く前に通る道の近くにある神社。少しだけ離れてる」
私はスマホを取り出し、あっきーに見せた。
「ああ、ここか。あまり人が来ない場所だな」
「今度ドライブデートで行こうよ。あっきーのために助手席空けてるから」
「助手席に人形乗せてる奴が何を言う」
顔色変えずにそう言うと、あっきーは奥へ戻っていった。
来ないのも、あっきーらしいな。
私は鏡に触れ、会場へとワープした。
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