1月2日 20時18分

 目が覚めた。

 また、悠久の布団に入っていた。


 あの後、鏡を使って、神様の居場所から居場所へとワープを繰り返した。


 姿形様々な神様に会った。

 想像通りの姿もいれば、やけに人間っぽい神様もいた。

 考えも様々で、なぜか料理を極めてる神様もいれば、虎の姿をした神様もいた。


 バズる為にインターネットを勉強しようと、人間の振りをしてネカフェに行き、料金が払えなくて困っている神様もいた。


 1番大変だったのは6人目の神様だ。

 何故か山道を走り回ることになって……。

「ん……?」

 何故そんな目に合ったか思い出せない。


 ぼーっとする頭をフル回転させて思い出す。

 そうだ、進行役にふさわしい体力があるか見定めるとかで、山登りの競走をさせられたんだ。

 登山家みたいに体格の良い、山の神相手に。


 もちろん負けたけど、その心意気が気に入ったとかで認めてもらった。


「あ……」

 私の服は、間違いなく汚れてたはずだ。着替えた覚えがない。

 あっきーに怒られる。


「起きなくていい」

 身体を起こそうとすると、あっきーの声が聞こえた。

「今回は多めにみてやる」

 大きくてガサガサの、あっきーの手が私に伸びる。

 仕事をしている人の手。私が好きな手だ。

 あっきーが頭を撫でてくれる。少し乱暴だけど、安心できる。


「3日の朝に起こす。ゆっくり休め」

「うん」

 自分のものとは思えないくらい、ヘロヘロな声が出たことで疲れを認識した。


 寝る前に、唇に何か触れた。

 なんだろう。


 あっきー、何かした?


 声に出して訊ねる前に、意識が途切れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る