【始まりの御噺】
文屋治
始まりの御噺
一
私が初めて小説を執筆したのは、齢十七の時頃でありました。将来に就いて考え始めた時期でありました。余り、良くできた人間ではなかった私は自分にできることは何なのかを必死になって考え、無我夢中になって模索し、其の最中で文を書く面白さに就いて知り、今の目標である作家と云う職へと辿り着きました。
私の現在通っているR高専では難儀な実験レポートと云う課題が毎週出されるのでありますが、寝る時間を削り、何とか時間を作って私はパソコンを用いて小説を書いてみました。まぁ、最初は酷いものでありました。同じような言葉や文章の連続、積みに積み重ねた複雑な設定の長編物語、プロットを上手く書くことが出来ない私にとって此れは最悪のスタート(若しくは、出だし)でありました。
一時期、小説に寄せられた酷評に心を折られ、書くことを辞めたことがありました。
全く、人生と云うのは読めないものです。
二
文学フリマは東京で開催されました。朝に弱い私は
出店者の入場が開始された後、私は自身の出店スペースへと足を運びました。其処には長机の半分、其れと一脚の椅子が用意されておりました。机の下には印刷所から届けられたダンボールが置いてあり、開いて見ると中には私の筆名が書かれた、始まりの小説が入っておりました。此の際の私は天にも登るような心地を覚えておりました。
予定よりも多くのイベントの来訪者により、イベントは定刻よりも少し早くにスタート致しました。多く来訪者が行き交う中、幾人かの来訪者様が私の本を手に取って下さり、其の内の十人ほどが、私の本を購入して下さりました。其の購入して下さった方の中には「君には才能があるから、諦めずに頑張ってね!」と云って下さった方もいました。此の言葉ほど嬉しく、心の底から感動したことは今迄にありませんでした。そして、現在、私は数々の公募に向けて幾つもの小説や詩、随筆等を書いております。
私の最初の創作は最悪のスタートではありましたが、今では其れも良き思い出です。
【始まりの御噺】 文屋治 @258654
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます