大好きな人の結婚
@naonao_7070
衝撃はある日突然に
大好きな人が結婚する。
しかもなんと、大好きな人と大好きな人が結婚する。
元バイト先でそれはそれはお世話になった先輩二人が、夫婦になる。
ヤバい。最高。嬉しすぎる。
新年早々こんなに嬉しくて幸せなことがあっていいのだろうか。
あまりにもビッグな喜びすぎて一人ではどうにも消化できない。
どうしよう。どうにかさせてくれ…!!
…このように感情が錯綜した結果
①デカい熊の人形に語りかける
②エッセイを書く
私の脳はこの二択を生成した。
そして後々虚しくならない方という理由で最終的にエッセイが選ばれた。
頭大丈夫か?
そう、ご覧の通り全く大丈夫ではない。
一旦簡単に今の私の状態を説明すると、感情のデカさに脳が追いつかずパッパラパーになってしまっている。「ヤバい」「最高」などでしか気持ちの言語化ができない。
著しい知能の低下。またそれに従う語彙力の喪失。
このままではマズい。非常にマズい。
なので、エッセイを書きながらとりあえず脳を正常化したい。
できれば、うまい事この気持ちを言語化したい。
というわけで書いていこうと思う。
ここで私がまず取り組むべきは、そう。
原因の究明である。
なぜここまでのバカデカ感情になっているのか。
単純に大好きな人たちの結婚だからというのは初めにあるとして、他にも理由があるのではないだろうか。
そこで脳をこねくり回してみた結果、以下二つの推察が挙げられた。
①よく知っている人同士の結婚が私史上初めて
②そもそも二人の交際を知らなかった
よし、①から見ていこう。
そうなのだ。友人の結婚は何度か経験しているが、新婦新郎ともに仲が良いという状況は初めてなのだ。つまり、シンプルに一度の報告で喜び二倍、いや二乗である。
そんな二乗になった喜びを生まれて初めて味わったら、そりゃあ、こうなりますわな。
うんうん。よし、分かってきたぞ。
次、②に行こう。
はいここでとんでもビックリ情報。
そう、交際しているということをそもそも知らなかったのである。
ゑーーーー!!!
沸き立つオーディエンス。宙を飛び交う「どういうこと!?」
なんと実は四年前から交際していたそうだ。
交際を公にしていなかった理由については、全てを聞いたわけではないし
ましてや私がペラペラ話すことではない。
まあ双方若手社員ということで各々察してくれや、である。
本題に戻ろう。
ということは、だ。
Yes!私は、結婚と交際を同時に知ったのである。
ワオまたしても二乗。
無論、この二乗も人生初である。
つまりだ、二乗×二乗で四乗
何が基準かは定かでないが、とにかく一気に四乗の喜びが私に降り注いだということだ。
私はド文系で数字に激弱なのだが、それでも分かる。
多 分 め っ ち ゃ す ご い ! ! !
…
あれ。おかしいな。
分析・考察を経て脳を正常化するはずが、余計パッパラパーになってはいないか。
しかもなんだ“四乗の喜び”って。全然わかんねぇ。びっくりするほど腑に落ちない。
uh. どうやら感情の数値化は私には合わなかったようだ。
だいたい何を数値化していたのか、できていたのかすらも怪し…
ピシャーーーーン!!!(突然爆音効果音)
と、ここで突如脳天にどでかい雷が走った。
青天の霹靂。その衝撃はさながらニュートンの林檎。
そう。私は気がついてしまった。
私が本当に望んでいたのは脳の正常化でも、気持ちをうまく言語化することでもない。ただただ私が大好きな二人の話を聞いてほしい。それだけであると。
シンプルイズザベストというかなんというか。うむ、人間である。
というわけで改めて。聞いて下さい。
【結婚するということを伝え聞きで知ってしまった私が
その夜、二人と電話をすることができた話】
そうなのだ。まさかまさかの伝え聞きで私は結婚を知ってしまったのである。
それで悩んだ末に、二人におめでとうございますLINEを送ったところ電話をくれたのだ。
先輩方の仕事のこと、私の新生活のこと。
いろんな話をした。
「ちゃんと言いたかったわ。ごめんなぁ」
その声が懐かしく、恋しくてたまらなかった。
私はこのバイト先を辞めてまだひと月も経っていないのだが、それまで六年半もの間先輩方と一緒に働いていたのだ。
そして今私は引っ越しをして、すぐには会いに行けないところに住んでいる。
けれど電話をしている間、初めて聞く家族の間合いで会話をする二人がすぐそこにいるようで私はベッドの上で一人、あたたかく愛おしい気持ちを抱きしめた。
本当にいっぱい、いっぱい話を聞いて、聞いてもらって。
結局気がついたら私たちは三時間も電話をしていた。
二人は次の日も朝から仕事だというのに時はもう深夜三時、慌てておやすみなさいと電話を切った。
その後すぐ眠りについた私は、二人の夢を見た。
それはまるで電話の続きのような幸せな夢で、一晩ずっと二人と一緒にいたような夢心地で翌朝目を覚ました。
でも勿論私は部屋に一人、走って二人に会いに行くこともできない。
その距離が切なかった。
だから必死に昨日の記憶を手繰り寄せ、想いを馳せた。
それで、仕事の話をしていた時に
「家族になったら、私たちもっと強くなっちゃう」
先輩がそんなことを言っていたと思い返した。
格好良いなぁ。ああそうだ。こんなところも大好きで、この人に着いていきたいと思って私は働いていたんだった。
そうやって二人の顔を浮かべ、胸を熱くしては
私はやっぱり「ヤバい」と「最高」を何度も何度も繰り返す。
仕事に熱心で、逞しいふたり。
かっこよくて、やさしいふたり。
笑顔がとってもかわいいふたり。
大好きで大好きで大好きなふたり!!!!
ふたりがずっとずっと健康で、幸せでいられますように。
どうか素敵な日々を過ごせますように。
早く直接おめでとうを言いたい。
その日を心待ちに日々進んでいこうと、私までなんだかとてもキラキラしている。
最後に、何度だって言います!二人のことが大大大好きです!!!
そして本当に本当におめでとうございます。
心からの祝福を、素敵なふたりへ。
大好きな人の結婚 @naonao_7070
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
須川庚の日記 その3/須川 庚
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 214話
不定期な雑記帳♪/麦柄けい
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 131話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます