第2話

 本宮君が帰った後,なにげなくTVの経済ニュースをみていたら国際石油価格取引のニュースをやっていた。何年かぶりの価格上昇ということで世界経済に大きなインパクトを与えるだろうと報じていた。僕はこれだなって本宮君の言葉を思い出した。

 翌日、本宮君は中年の証券マンの男とやってきた。2人でカウンター席に座わると、本宮君は座ると同時に信じられないような饒舌さで石油株の将来性について論じ出した。証券マンの男はたじたじとしながらもにんまりとしながら「もっと買い増ししましょうよ」と小太りの丸顔に目が笑わない笑顔を見せた。本宮君もすかさず「寄り付きで5000株入れておいて」と慣れた返事をした。証券マンは気をよくしたのか追加のコーヒーを注文した。すると本宮君が改めて証券マンを紹介した。彼は僕の目をキリ、っと見つめると隙のない会釈をした。僕は彼に一昔前の株屋の一面を見たような気がして少し違和感を覚えた。

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