第4回 ニホンゴスコシワカリマス
「日本語って分かりますか?」
屈辱的な言葉である。
海外旅行した事もなければ外人の友達もいない生粋のナショナル人間である俺なのだが物を書いていると酷い文章になる事がある。日本語が上手く使えないのだ。過去作を読み返していると前後の文脈を考えても全く意味の分からない言葉が突然現れてパニックに陥る時がままある。何を考えていたんだ当時の俺は。何も考えていなかったのかと羞恥混乱。速攻で書き直し、最新更新履歴の日付を=today()にする事しばしば。その際に、冒頭の言葉が頭の中に響き渡り苦しめる。
投稿前に読み返しているはずなのにどうして変な文章が出てくるのか。本当に俺が書いているのか。多重人格、ドッペルゲンガー、クラッキング、他責ではないかと考察。可能性は極めて0に近い。俺がやらかしていると考えるのが妥当である。それなりに漫画や小説を読んでいて、言葉の使い方や組み立て方は分かっているつもりなのに、どうしてか変な文章を生成してしまう。脳に何かしらのバグが発生しているのかもしれない。重大な欠陥だ。
要因としては癖のある表現をしがちだからのように思う。かっこつけ。特異性の誇示。凡人の抗いだ。目も当てられない。カス。でも思いついたものは書きたい。それで「スゲー」って言われたい。人に評価されたい、認められたい。だから小説なんてかいているんだ。俺は空っぽの人間だから、誰かに認められたいんだ。なにもできないから唯一使える日本語でやっていくしかないんだ! 畜生! ギターが弾けたら、イラストが描けたら、漫画が作れたら、動画編集ができたら……
尽きる事のないたられば。表現の手段が限られ、できるできないの問題で葛藤。今から練習すればいいじゃん。そう思っても。腰が重い。今更なにができるんだ。なにかをはじめたってものにならない。それに、絶対に長続きしないじゃないか。もう一人の俺が冷徹にそう言う。正しい。俺は結局、なにもできず、何物にもなれないのだ。
それでも、諦めきれず小説を書く。
不毛だ。死んだ方が遙かにましだ。どうして俺は生きているんだ。俺自身も分からないし、誰かが教えてくれるわけでもない。
あぁ、時が過ぎていく。今日も、何も学ばないままに夜になる。俺の、誤った日本語は変わらぬままだ。破綻した文章が目に付いて仕方がない。誰か助けてくれ……
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