第50話 結城姉妹の姉から告白されたのに妹の方が好きって結人はラノベの主人公かよ

 翔の慰め会という名目で近くのカフェに入ってからあっという間に一時間が経過した。ちょっと前までは翔を慰めていたわけだが今は別の話題にシフトしている。

 ちなみに俺はただ共感していただけの健二や海斗とは違い一応慰めつつも割と容赦ない正論パンチを翔に浴びせた。

 彼女持ちという身分でナンパをした事はあまりにも不誠実だと思ったからだ。俺は例え友達が相手でも間違っていると思う事に対してはっきりと注意をする。

 そんな俺の言葉は翔にかなり響いたようですぐに彼女の家まで謝りに行った。許してもらえるかどうかは翔次第なので後は祈るしかないだろう。だから今この場には俺と健二、海斗の三人しかいない。


「それで結人はいつ結城先輩と付き合うんだよ?」


「それな、今日の感じ的に付き合ってない方がむしろ違和感あるんだけど」


「そ、そうかな?」


 健二と海斗は翔が居なくなった途端そんな事ばかり聞いてきている。以前と比べて俺と夏乃さんは明らかに距離が近くなっているためそう感じるのも無理ないだろう。


「結城先輩と絶対何かあっただろ」


「結人は親友の俺達に一体何を隠してるんだ?」


「何も無いって」


「その反応はちょっと怪しいな」


「早く白状して楽になっちまえよ」


 ひとまず誤魔化そうとする俺だったが二人からの追及は全く止みそうになかった。これ以上隠しきるのはもう限界に違いない。


「……実はちょっと前に夏乃さんから告白されてさ」


「えっ!?」


「マジかよ!?」


 俺が意を決して夏乃さんから告白された事を打ち明けると二人はかなり驚いたような顔になった。すぐさま海斗が興味津々な表情で身を乗り出してくる。


「今付き合ってないって事はまさか振ったのか?」


「いや、一応保留状態って感じにはなってる」


「流石にイケイケな結城先輩でも振られた相手と前みたいに仲良くは出来ないだろ」


 俺の言葉を聞いた健二はそう声をあげた。もし俺が夏乃さんや凉乃に告白をして振られた立場なら多分今まで通りに接する事は出来ない。凉乃と夏乃さんから振られる場面を想像しただけでめちゃくちゃ胸が痛かった。


「てか何で返事を保留なんかにしてるんだよ? はっきり言って迷う事なんて何もないと思うし、俺が結人ならその場で即答して付き合ってると思うけど」


「だよな、ひょっとして他に好きな相手でもいるとか?」


「そ、それは……」


 健二の言葉に俺は思わず言葉を詰まらせてしまう。すると健二と海斗は意外そうな表情になる。多分今の反応でバレてしまったに違いない。


「おい、好きな相手は一体どこの誰なんだ?」


「クラスの奴らには絶対言いふらしたりとかしないから教えろよ」


 健二と海斗は席を立ち上がって迫ってきた。小柄な海斗だけならまだしも、無駄にデカい健二から迫られたら威圧感が半端ない。


「わ、分かった。ちゃんと教えるからお前ら一旦落ち着けよ」


 俺は二人を必死に宥め何とか席まで戻らせる。それから俺はゆっくりと重い口を開く。


「……実は凉乃が気になってて」


「えっ、まさか凉乃って一組の結城さんの事か!?」


「いやいや、結城先輩の妹じゃん!?」


 二人は先程夏乃さんから告白された事を打ち明けた時以上に驚いていた。あまりにも健二と海斗の声が大き過ぎて隣の席にいたカップルから思いっきり睨まれてしまったほどだ。


「なるほど、結城先輩は結人の事が好きだけどそんな結人は結城さんが気になってる状況なんだな」


「いわゆる三角関係って奴か」


「まあ、大体そんな感じ」


 健二の言葉に対して俺はひとまずそう反応した。もっと正確に言えば兄貴も絡んでくるため四角関係なわけだが、それを言い出すと話がややこしい事になりそうなためそこは黙っておく。


「全然そんな素振りがなかったから気付かなかった」


「ああ、海斗より付き合いが長い俺でも全然知らなかったから驚きだわ」


「まあ、その辺の事は俺って基本話さないし」


 恋愛関係は恥ずかしいためほとんど話した事がない。今までそういう話題を振られてものらりくらりとかわしていた。そんな事を思っていると海斗が質問をしてくる。


「ちなみに結人は結城さんのどこが好きなんだ?」


「あっ、それは俺も気になる」


 二人は興味津々な表情を浮かべており逃げられそうにない。仕方なく俺は凉乃が何故好きなのかを二人に話し始めるわけだがだんだんと違和感を覚え始める。

 上手く言い表せないが俺が凉乃の事を好きな理由はどこか薄っぺらいような気がしたのだ。夏乃さんが俺に向けている感情とは何かが決定的に違う気がする。だが健二と海斗はそんな俺の様子には全く気付いた様子は無い。


「結城姉妹の姉から告白されたのに妹の方が好きって結人はラノベの主人公かよ」


「あーあ、俺も美人なお姉さんから告白されたりしないかな」


 健二と海斗からそんな感じの茶々を何度も入れられたが全く耳には入ってこない。その後もしばらく色々と話した気がするが、結局俺は違和感の事で頭がいっぱいになってしまい全く集中出来なかった。


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『何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった2人をガチ惚れさせてしまった件』

https://kakuyomu.jp/works/16817330655169485668


という作品を読んだ事がある方向けのお知らせになりますが、本作が完結した後にリメイクしようかなと考えています。


当初は普通に更新を再開しようと思っていましたが、久々に今読み返してみたら色々未熟な部分が多いと感じたためいっそのことリメイクしてパワーアップさせようかなという発想になりました。


主人公の涼也とヒロインの玲緒奈、里緒奈のキャラ設定は残しつつ物語全体を改変しようと思っています。


本作が20万字〜30万字くらいで完結予定のためまだ先の話しにはなりますが、もし良ければお願いします。

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