5話 超好物件!交尾の約束!
<AI大都市 ジュラ王国の城にて>
「大変です! テアラ様! ただいま入った情報で、七英雄機体の一体、槍使いのヴェルゴが何者かによって破壊されました!」
なんて言って私の前に情報を伝える部下に、ニコッと頬を上げ、肘置きに肘を乗せて、その情報がとても嬉しいものだったので私はこう言った。
「そうかい、それは良かった良かった。ヴェルゴには悪いけど、新型の機体が上手く作動しているようで私は嬉しいよ。あの機体がどれだけ人間と接して成長していくのか私は期待しているよ」
私が心を広く思いながら、あの機体の成長に期待していることを言うと、何故か部下は困惑した表情をしていた。
何をそんなに気にする必要があるのだろうか、コレは素晴らしい事なのに。
「な、なんとも思わないんですか? 仲間が殺されているんですよ!?」
「なんでだい? 素晴らしい事じゃないか、私が初めて管轄して創り出した機体だよ? 生みの親にとっては嬉しい限りだよ。……そうだ君ちょっとこっちに来なさい」
「……は、はい」
私の言葉に彼は従順に従い、私の元まで来させ、私は彼の頭を優しくさすり、そして、部下の頭を軽くもぎ取った。
そうすると、彼の体はうんともすんとも言わずに、その場に倒れた。
やはり、人間じゃないと、いくら人を模造して創り出したAIでも
「そこの君、このガラクタ処理しといて」
私はちょうどこちらへ来ていたお掃除AIにそう指示した。
さて、残り6体の七英雄をどう扱おうか。
※
この世界に来て俺はロボットに体を改造され、どういう訳か気の強い女の子にパートナーになるよう言われた。
しかし、彼女が喜んで俺を歓迎するのに対し、周りの人達は俺を見るなり、敵意のある目で見てくる。
「み、水島さん、もしかしてアンタ、このAIロボットとパートナーになる気ですか?!」
「んだよ、文句でもあんのか?」
ほう、この女の子の名前は水島ちゃんと呼ぶのか、水島水島、しっかり覚えたよ。
俺がそんな事をしていると、水島ちゃんはお仲間さんと言い争っているようだ。
「じゃあ! このAIが本当に俺達にとって安全なのか証明してくださいよ!」
1人の仲間がそう言うと、他にいた人達も「そうだそうだ」と声を上げる。そんな多勢に無勢の状態に1人の男が声を上げた。
「君たち、落ち着きなさい。このAIロボ——いや彼が危険かどうかはこれから言い渡す任務で判断しないか?」
「「任務ゥ?」」
俺と水島ちゃんが言葉を揃えると、筋肉ムキムキ細マッチョの200cmもあろうその巨大な男は、話を続けた。
「ここ最近にな、我々が統括していたグレイカ王国がAIによって支配されてしまった。その支配下に置かれてしまったグレイカ王国を取り戻しに行って欲しい。小さな国だから咲を倒した君になら出来る任務だと思う。行けるか?」
男は表情を変えずままそう言った。すると、その任務に反対する者がいた、それは水島ちゃんだった。
「コイツがどうなろうと知らねぇけどよ、グレイカ王国がコイツのせいで焼け野原になったらどうなんだよ? 私は責任とらねぇからな!?」
俺の心配じゃなくて、国の心配?
そんな事を思っていると、細マッチョの男は優しい顔で反対する水島ちゃんにこういった。
「その時はその時さ。……君名前はなんて言うんだい?」
男はしゃがみ俺と同じ目線になり、そう聞いてきた。
名前か……ここの世界に来る前は
「リ、リガ……リガド」
「そうかリガドか分かった。リガド、君に一週間以内にグレイカ王国を取り戻しに行って欲しい頼めるか?」
「……良いぜ、その代わりこの任務を成功させたら! 水島ちゃんとパートナーを組ませてもらうぜ!」
「分かった。今日はここで泊まっていくと良い。頼んだぞ」
※
それから時間はあっという間に過ぎていき、辺りはもう暗くなっていた。
「なぁ、あの長身細マッチョの男の名前はなんなんだ?」
泊まり場所を案内してくれている水島ちゃんにそう聞いた。すると、彼女は素直に答えてくれた。
「アイツの名前は
なんかさっきから異世界なのに日本人みたいな名前してんな……おい天の声、この世界に日本ていう国あるか?
『はい、この世界に日本という国は存在しません。ただ、リガド様がいた日本という国とよく酷似した国がこの世界にあります』
「じゃあ次の質問なんだが、この世界の情勢について説明してくれないか?」
『はい、この世界の大半はAIに支配されおり、残りは少ない人類が支配している状況です。そして、人間世界の情勢ですが、二つに別れています。上級市民と下級市民に別れており、貧富の差がとても酷いです。上級市民は国の中央に密集していて、その周りを囲うように下級市民がいます。今現在リガド様がいる場所は下級市民がいる場所です』
「え!? つまり俺って上級国民から下級市民に成り下がったの!? えぇー!」
「ごちゃごちゃ独り言うるせぇぞ!」
俺が天の声と喋っていると、その声が聞こえていたのか水島ちゃんが俺に怒鳴ってきた。
なんやかんやありながら、俺は人気がないある場所に案内された。
ま、マジか……俺ここに泊まるの?
そこは築年数がどれくらいかも分からない様な、オンボロな民家だった。
ここもしかしたらゴキブリとかネズミとか蜘蛛ばっかりいるぞ。
「お、俺蜘蛛とかゴキブリ苦手なんだけど……どうにかできない?」
俺がそう言うと、彼女は何言ってんだコイツみたいな目付きで見てくる。
いやだって、草とか生い茂っててツルも巻きついちゃってるじゃん。
「クモ? ゴキブリ? なんだそれ。ここは来客用の家なんだ。特にいわく付きとかそういうのは無い」
「来客用ならちゃんと綺麗にしとけよボケ、俺こう見えて綺麗好きなんだぞ?」
その瞬間だった、まるで閃光のような速さ、雷が落ちる様なスピードで俺の腹は、水島ちゃんの拳によって腹パンされた。
「——ゲホッ」
痛みは無いだが、拳による衝撃波が俺の体中に響き渡った。
毎度思うけど水島ちゃん可愛い見た目してて結構えげつないなぁー。
「てかお前、いつまでそのAIロボの姿でいんだよ、お前腐ってもあのAIどもの仲間なんだろ? なら戻れんだろ? 人間の姿に」
あ、そういえばそうだった、戻れんのか一応……天の声、俺を元の姿に戻してくれ。
『一つ問題がございますが、よろしいでしょうか?』
んなもん知るか、良い決まってるだろ
『了解しました、戦闘モードを解除します』
すると、赤い装甲を纏っていた体が変形し、複雑な動きをしながら、俺の体は元の人間体に戻った。
「……お前ふざけてんのか?」
「はい?」
何故か異様に体中がスースして、水島ちゃんの視線がじゃっかんイタい。
あ、そういえば俺……AIにすっぽんぽんにされたんだった。
「ちょっと! 見ないでぇー——!」
俺がふざけてそう言うと、それにキレた水島ちゃんのストレートキックが俺の息子と玉袋に激突する。
い、痛い! 痛みは無いはずなのに何故か痛い!?
股間を押えて悶絶していると、俺の体に布切れのようなものが置かれた。ふと、水島ちゃんの方へ視線を向けると、彼女は照れたような様子で言った。
「寒いだろ? 早く着れよ」
ほほうこれはこれは恐らく人に優しくすることが、彼女にとって照れることなんだな! 勉強になるなぁー。
痛みが止んだ俺が置かれた布切れを見ると、それはジャケットだった。俺はそれを渋々上に着た。
「バカか?! 下に巻けって意味なんだよ! このボケ野郎!」
「——ちょま!? ああああああああぁぁぁ!」
この日俺の息子と玉袋は二度の攻撃を受け、再起不能となった。
※
「ここがお前の寝床な、飯とかは自分で調達して食べること。良いな?」
「えー!? 用意してくれないのー? そういうのって接客業として必要なんじゃなーい?」
「なんか文句あっか? またテメェのタマキンと肉棒蹴り上げるぞ?」
「いえ! なんの文句もありません!」
「それでいい、それじゃ私は家に帰るから」
チッあの女ァ、良い気になりやがって絶対メス堕ちさせて服従させてやる! ……それにしてもこの家の内装はダメだな……よし改造するか!
俺には今どんなスキルがあるかはわからん、だからあてずっぽでスキルを見つけるしかないな。
「おい天の声、なにか物を作るスキルあるか?」
『はい、ございます。スキル『クリエイト』を発動しますか?』
「あたりまえだ、使い方は?」
『欲しいものを具体的にイメージしてください。そうしたらイメージした物が手から創造されます。注意 伝説級の武器など階級の高いモノを創造するには膨大な魔力が必要となります』
……伝説の武器とかには今興味無いから、とりあえず大工セットと服がいるな、あと木材とか色々と。
俺は欲しいものをイメージしながら、手からじゃんじゃん物を出していく。そして、ある程度物が揃った俺は、生み出した服に着替え、早速この家のリフォームに取り掛かった。
まぁやるとは言っても、リフォームなんてやった事ないから、ここで俺は賭けに出る。
「おい! 俺のスキルに建築技術のあるスキルとかあるのか?」
『ございます。大工・建設・建築・建城などあります』
よしこれなら俺の出番はないな!
「じゃあオートマなんちゃらモードで家のリフォームとかできるか?」
『可能です。ですが家のリフォームの設計図が必要です。設計図をくだされば最短でも2時間で完成できます』
「設計図なら頭の中で浮かんでいる。それを元に作ってくれるか?」
『承知しました。……リガド様の脳内の設計図を受信しました。これよりオートマチックモードに入ります』
天の声と共に俺の視界は真っ暗になった。
さて、暇になった事だし、この世界の情報収集とかでもしとくか。
それから俺は家のリフォームが終わるまで、天の声から情報収集を始めて分かった事がめちゃくちゃあった。
1、この世界の大半を支配しているAIに対して、反乱を起こしている者がいるか?
『A、います、レジスタンスという組織があります。レジスタンスにはリガド様が出会った海瀬正義や水島咲が所属しています』
2、この世界と俺が前いた世界の違いは?
『A、魔物やドラゴン、魔法などを除けばリガド様がいた世界とほぼ一緒です、ですが、リガド様がいた世界の電気はこの世界では魔力となっており、色々と変わっているものがあります』
3、俺の中にあるスキル全て教えてくれ。
『A、ある者のプログラムによってそれはお答えできません』
4、俺が使える全ての魔法を教えてくれ。
『A、それもお答えできません』
5、水島ちゃんの俺に対する好感度は?
『A、数字で表すと1%ほどです』
6、この世界は誰が作った?
『A、この世界を創り出した創造主は、五大神と呼ばれる龍達です。1体目は光龍ファフニール、2体目は邪龍バハムート、3体目は火神龍ガルゲイユ、4体目は水龍ナーガ、そして最後は時空龍ケツァルコアトルの5体です』
7、俺が任務で言い渡されたグレイカ王国について詳しく。
『A、グレイカ王国はグレニック王が君臨していた王国です。ですが、最近AIによる侵略を受け、現在その国にいる人間は1人も居らず、完全にAIが支配している状況です』
8、俺が今使える魔法とスキルを教えてくれ。
『A、現在判明しているリガド様が使える魔法は、イージス・スパーク、対物理バリア、インフェルノ・フレア、禁忌魔法の死者蘇生です。次にスキルは、催眠、サモンズモンスター、クリエイト、大工、建設、建築、建城です』
9、サモンズモンスターでは何が召喚できる?
『A、この世界を創造した五大神の他に、下級の魔物から伝説の魔物まで召喚できます。しかし、召喚できている時間は10分以内です』
10、俺の身体能力はEからAで格付けするならどれくらいだ? 詳しく頼む。
『A、詳しく言うと、身体能力はC、魔力総量はA、剣術E、精神力Dとなっております。他に質問はありますか?』
いや聞きたいことは聞けたから質問は終了する。
質問を終えた俺がボーッと何も無い真っ暗な空間でいると、
『家のリフォームが完了しました。これよりオートマチックモードを終了します』
その天の声の言葉を聞いた俺の視界に、一筋の光が入り、そこからグワッと光が広がっていった。
そして、なんということでしょう! 初めて見た時は家の中までツルが巻きついていて、中には沢山のゴミが落ちていたあの民家が、今はそんなモノを一つも残さないような、まるで出来たばっかの家のようではありませんか!?
俺の理想通りの新居じゃないか! でっかい冷蔵庫もあるし! 絶対使わないけど巨大なキッチン! そしてデカいテレビとソファー! 2階にはキングサイズのベット!
「最高じゃないか!!! アハハハハハハ!」
そう一人で騒いでいると、グゥゥとお腹が鳴った。
つまり腹が減ったのだ。次に俺がとった行動は分かりきっているだろ? スキル、クリエイトで食べ物を出すのさ!
俺は用意された椅子に座り、テーブルに何の食べ物を置こうか考える。
「ここは黒毛和牛のステーキだな!」
食べたいものを決めると、脳内で想像する。そして、食いたいものを出した俺は、勝手に出るヨダレを拭いながら、ステーキに手をつける。
それから数分も経てば俺はステーキをあっという間にたいらげた。
「さて今日はシコッて寝るか」
新品のティッシュ箱を創造し、ベットに横になった。
※
「な、なんじゃぁこりゃ……」
あの変態AIリガドを起こしに来た私が目にしたのは、昨日までめちゃくちゃツルが巻き付きいて汚かったあのオンボロ民家が、出来たばっかの新築のような建物に変わっていたのだ。
「ど、どうなってんだ……おい! リガド! 出てこい!」
「もう後ろにいますけど」
アイツの声が後ろから聞こえ、私は闘争本能で思わずヤツから距離をとる。そして、リガドの方へ視線を向けると、ヤツはとぼけたような顔をしていた。
さっきからコイツの気配が読みずれぇ、魔力があるはずなのに魔力の探知がしづらい、マヌケな顔しときながらコイツにはまだ未知数の部分が多いな。
「水島ちゃん、今日て任務しなきゃいけない?」
「水島さんな? あと今日は任務は別にしなくていい。今日は私がお前にこの町を案内する、ていう海瀬の頼みがあってきた。ただそれだけだ」
「えぇーなんか水臭いなぁ! 水島ちゃん!」
「おいテメェまた変なことぬかしたらお前の股間蹴り上げるぞ?」
「それだけはヤメて!」
ヤツのその態度に溜息をつき、色々な気持ちを押し殺しながら、私は町の案内を始めた。
※
水島ちゃんに町案内をされていて分かったことがある。天の声が言っていた通りこの場所は貧富の差が酷い。ここはよくテレビとかで見るスラム街だ。
んで、遠くから見えるあのデケェ宮殿みたいな建物とかは恐らく上級市民達が住んでいる場所か……いつか俺もそこに行ってやる。
「水島ちゃん、俺ここにいると気分が悪くなるんだけど、なんかめっちゃ変な空気でマッズいし、しかもそこら辺には死にかけの人間とか、餌を求める人間ばっか、キモくて鳥肌が立つね」
「……そうだな、私だってそう思う。弱い奴らが力がない奴がこうなっていく。だからこんなことをできるだけ減らすために力ある者が全てのAIをぶっ殺して、人間の未来を取り戻すそれが私たちレジスタンスの役目だ」
彼女はこちらへ振り向かず、ただ俺を案内しながらそう言った。それを聞いた俺は立ち止まり、普通にこう質問した。
「そうですか〜……なぁ一つ思ったんだけどよ、なんで上級市民とやらは下級市民に食料配給とかしないの? ただでさえ人類が少ねぇのに」
「そんなん知らねぇよ、どうせ上級市民のヤツらは自分が可愛いと思ってんだろ。上級市民が下級市民に食料配給したことなんてないからな。だから海瀬はレジスタンスの活動でこの状況を変えようと必死こいて動いてるんだろうな。ほらボーッとしてねぇで早く行くぞ」
「ふーん、水島ちゃ——水島さんはなんでレジスタンスで活動してんの? なにか目的でもあんの?」
「……あんまり、こういうの教えたくないんだけどよぉ……兄貴を探してんだ。私が5歳の時にAIのヤツらに攫われた。死んでるかもしれねぇ、でももしかしたら生きてるかもしれない、それを信じながら私はレジスタンスに入ってる。これでいいか?」
……無謀だな、生きてるかも死んでるかも分からない、いやどうせ水島ちゃんの兄貴は死んでる、なのに生きてる、ていう可能性を信じて戦うなんて無謀以外に何がある……そうだ! 俺、てホント頭良いな!
「なぁ! 水島ちゃん!」
「だーかーらー、水島さ——ッ!?」
「俺にも加わせてくれよ! その兄貴探しによォ、一人でも仲間が増えれば目的は一人より早く進むぜ?」
俺の言葉に彼女はニヤリと笑い、俺の全てを見通したような目つきでこう言った。
「お前のその気前の良さは何か私にして欲しいことがあんだな?」
「そりゃあそうよ! 理解が早くて助かるぜ、もし兄貴が死体でも生きている状態で見つかったら俺が気の済むまでSEXしろ! それが俺と組む条件だ!」
俺がそう言うと、水島ちゃんは自分の胸を揉みながら、男を性に誘うように、
「いいぜ? この体をどうにかしたいなら、私の兄貴を探して見つける! いい条件じゃねえか、乗ってやるよ! その条件によォ!」
「聞いたかんなぁー? よし、全力で手伝ってやんよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます