第4話 リタイアするってマジですか?
久しぶりにキャサリンがオフィスに顔を出した日、私は思いきってこの『チームキャサリン』のメンバーについてたずねてみた。
「キャサリンさんってやっぱりすごいですね。櫻子さんとかに、どうやってお仕事をさせてるのか…正直不思議です」
「みんなそう言うんだけどね、かかわり合わないことが大事なの。放っておけば、ある程度やってくれるわ。これが成功の秘訣よ」
キャサリンは自分のSNSをみながら、さも当然でしょ? という感じに話す。
「実は私も正直困ってたの。でも華ちゃんがいてくれるから安心! 彼女には、彼女がやりやすいようにやらせてあげることが、一番よ。誰も被害に会わずストレスもかからない唯一の選択なの。私はこの究極な安全策を発見したわ」
「でも…」
「そのうちあなたにもわかる時が来るわ」
キャサリンはそう言うと私の手をとり真剣な眼差しでこう告げた。
「私ね、この会社辞めるから。『チームキャサリン』のこと、あとはよろしくね。ボスには、あなたを新しいリーダーにするよう推薦しておいたから」
「えっ?」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ? 何を言ってるの? 辞めるって何? この状態をほっぽって抜けるってこと?
「本当に華ちゃんが来てくれてよかった。頑張ってね」
えっ?
私にはもはや何が起きたのかわからなくなっていた。
扱いづらい意地悪魔女、本当は歴代の勇者に剣を届けただけの馬鹿鍛冶屋、自分大好きで夢を語るだけのナルシスト、コミュ障の草食男子…。
このチームで何を目指せと言うのだ!
ピンチこそ、成長の最大のチャンスである。と誰かが言っていたけど、この状態は乗り越えられるレベルなのだろうか?
やっぱり私、勇者を志した方がよかったのかも…。そう思わずにはいられなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます