第61話 目も要らない、快楽

いつもの様に脳内で来夢と話している。


周りから見ると、すこし頭がおかしい人に見える可能性があるから三人が寝た後にした。


『目が見える様になるアイテム?』


『そう、そういうアイテムとか何処かで手に入ったりしない?』


『簡単じゃない』


流石にそう簡単にいく訳ないよな。


手足なら義手とかでどうにかなるかも知れないけど目だからな。


義眼はただ見栄えを良くするだけだから、実際に見える訳じゃないからな……うんうん!?


『いま、簡単とか言わなかったか?』


『言ったけど?』


此処は確かにファンタジーな世界。


そういう技術があってもおかしくない。


そうか……簡単に治せるのか。


これはある意味『良かった』とも言えるが『ショック』でもある。


『どうすれば良いのかな?』


『一番簡単なのは移植ね! 他の人間の目を移植して高価なポーションかハイヒールで……治せるわ! 尤も目を取り上げた人間はかなり深くまで抉り取らないといけないから確実に死ぬけど』


2人犠牲者を覚悟すれば治せるのか。


だったら……


『君は甘い! 大体適合する可能性は1パーセント位だから大体200人位の犠牲が必要ね』


『200人も殺さないといけないのか……』


『殺すのが嫌なら別の手もあるわ』


『どうするんだ?』


『戦争している地域で強そうな魔族の後をついて行けばよいのよ! すぐに100人位殺しちゃうから死体を首チョンパして首を持って帰れば良いと思うの』


200人の首チョンパ。


やるしか無いのかな?


『一応聞くけど他に方法は無いのかな?』


『あるわ、魔具師から『目が見える義眼』を購入するか。目や手足をくれる魔族から貰うか……その辺りかな! 尤も目が見える義眼は、恐らく魔族領でしか販売はされてなく高額だわ! 目をくれる魔族は『隷属』が条件だから嫌でしょう?』


『確かに……』


『だから治したいなら移植が一番かな? それはそうと貴方の理想は『まさかのこの私』だったのね』


僕の頭に浮かぶ来夢は赤いミニスカにピンクのトレーナーみたいな服を着て少女趣味のベッドで寝ころびながら足をばたつかせている。


確かに理想の女の子なのかも知れないけど……これは来夢が僕の理想の女の子の容姿になっているだけだよね。


『その姿は、僕の理想なんだよな?』


『姿はね! だけどこの子、悪夢の中に入り込んで、そこに巣を食う。悪魔と戦っているんでしょう? ほら能力も私にそっくり』


『あの……余り記憶を……』


『しかも、体は完全にロリなのに、本当は年齢不詳なんだ……しかもあっちの方も……』


『だからやめて』


『あららっ、貴方、この子の薄い本まで買って……うわぁ、こんな小さい子に上になってリードして……』


『頼むからやめて』


『あっ、この子以外にも……黒髪の女の子になって『お兄ちゃん』って呼んであげようか? シャワー浴びながら……』


『だからやめて』


『まぁ良いわ、今日はこれで勘弁してあげる……だけど、私には貴方しか話し相手が居ないんだから、もう少し頻繁に話して頂戴! さもないと……』


『さもないと?』


『街中で買い物中、裸になって『お兄ちゃん』って抱き着くわよ……まぁ頭の中だけど』


『解った、ちゃんと話し相手になるから、そう言うのはやめて』


『そう? 本当は嬉しいんでしょう?』


『いや……』


『まぁ良いや……先にいっておくけど彼女達は恐らく目を欲しがらないと思うわ』


そんな事ないだろう。


『何故?』


『そうね……貴方の好きなキャラクター風に言うなら『貴方は私の体の虜、もう他の男の体じゃ満足できない』そんな感じかな』


『意味が解らない』


『まぁ、話して見れば解るわ……それじゃ、私も寝るわね……お休み、お兄ちゃん』


『お休み』


目が見える様になりたくない……そんな事は無いよな。


◆◆◆


しかし、あらためて見ると凄い光景だな。


三人は生まれたままの状態で絡まる様に寝ている。


しかも、満足そうに顔を赤くしながら汗ハァハァと呼吸をしている。


殆ど一晩中していたからな。


良く見ると快感の余韻に浸っているのかモゾモゾと胸や股間に手を……


目が覚めるまで待つか。


待つ事1時間、ようやく三人が目を覚ました。


「ううん……聖夜!? 私また寝落ちしちゃったの?」


「ううん、聖夜くん……あはははっ私また寝ちゃったんだ! 嘘これ」


「聖夜様、そのまさか……」


「うん可愛い寝顔を見ていた!」


「聖夜、趣味悪いわよ」


「聖夜くん……いやだ私涎とか垂らしているじゃない」


「私、変じゃありませんでしたか」


「別に可笑しな事なんて無いよ! 全員可愛らしい寝顔だったよ」


「「「聖夜(くん)(様)」」」


これからが本題だ。


塔子と綾子に目を治して欲しいか聞いてみたんだけど……


「要らない」


「私も要らないかな」


「なんで……」


「聖夜、私の目が治ったら、別れる気なんでしょう?」


「聖夜くん、目が治ったら私を捨てるの……」


確かに治ったら『別れる』という選択肢もあるよね。


「それは、二人の自由にして良いよ……傍に居ても良いし、離れるのも自由だよ」


「だったら治さないで良いわ……目が治って『別れる』なんて話が出るならこのままで良いわ。ううん、目が治らなくて傍に聖夜がいてくれるなら目なんて要らない」


「私も同じかな? それにね不思議と目が見えない方が何故か本当の聖夜くんが見える気がするんだ……優しくてカッコ良くてね、そう王子様みたいで……しかも、そんな聖夜くんが、あんな恥ずかしい事までしてくれて、夢みたいなんだよ」


「私もそう……聖夜が凄くカッコ良いのよ……それが、あんな野獣みたいに激しいの反則よ、反則」


「私は目が見えますが、二人の言う事は解る気がします」


「あの……それじゃ」


「「目なんて要らない(わ)(よ)」」


「それ、本気で言っているの?」


『もう、無理ね! 彼女達は貴方の体の虜。心も体もう貴方の物、貴方が作る快楽の楽園の前には目どころか手足も要らないのかも知れないわ』


『……』


『貴方凄いわね……才能が凄くあるわ……うんうん凄い凄い』


来夢が頭の中に語り掛けてきた。


「解った、今みたいな生活を続ける事になるんだけど良いの?」


「「「最高じゃない」」」


本当にこれで良いのかな……まぁ今は考えても仕方ないかな。



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