第60話 やる事がそれしかない


ハァ~ やはり僕はロリコンだったのか……


言われてみれば、あの来夢の姿は僕の理想その物なのかも知れない。


確かに、好きだったわ……あのアニメのキャラ。


確かに虐めにあった僕は女性に絶望して……あそこで『好きな女の子』の理想が止まったのかも知れない。


だけど……今は時間が動き始めた気がする。


『私の名前は来夢! シティに乗って夢と冒険の旅にいきませんか?』


『やめようか……』


『あはははっ、まぁ体が無いから無理だけどね』


あれから来夢は僕の事をからかってくる。


脳内に棲みつくって事はこう言う事か……


まぁ今は無視しておこう。


『無視……酷いよ!シクシク』


うん、相手していたらきりがない。


◆◆◆


そんでもって僕たちは村の大通りを歩いている。


「なかなか良い景色だね……あっ」


「見えないわ」


「見えませんね」


「確かにそうですが、この辺りは何処に行っても同じですわ」


ハァ~しくじった。


デートするなら街についてからにすれば……いや、それでも無理かも知れない。


この世界はまるで中世の様な世界。


しかも、ここは村。


うん、全く無い。


なんにもない。


食堂兼酒場が1軒あったが、そこで食事は食べた。


他には……前の世界のコンビニの半分位の雑貨屋にお店が数件。


ものの10分で周り終わる。


そうなれば、あとは散歩する位しかない。


僕からしたら自然が多く、まるでリゾートみたいな物だけど……


塔子と綾子は目が見えないからこの楽しさは半減する。


リリアはこの世界生まれだから見飽きている。


うん、もう既にやる事が無い。


どうすれば良いんだろうか……


「皆、なにかやりたい事はある?」


「そうですね……聞いた感じでは特にやりたいことは無いわね」


「私も~村じゃなにもなさそうだもん」


「私は聖夜様が傍にいてくれるだけで充分です]


「あっリリア、ズルいわ。そんな事言うなら私だって聖夜の傍に居られれば充分よ」


「私も……」


「村じゃデートも楽しめないね……個別のデートは次の街についてからにしようか?」


「そうね……もうやる事もないしね」


「村ってこんな感じなんだね」


「確かにそうですわ」


そう言えば、前の世界でも田舎の親戚の家に遊びに行ったとき、何も無かった気がする。


虫取り、魚とり……子供野時はそれなりに遊べたけど、うんうんその後は何もやる事が無かったな。


そういえば、おじさんが『此処は田舎だから、ホテルとカラオケとパチンコしか娯楽は無い』とか言っていた気がする。


「あの……聖夜、やる事無いし宿屋に戻らない? そのね……」


「うんうん、やる事も特に無いし、宿屋でエッチしよう? ねっねっ」


「聖夜様……」


思い出した。


あの時おじさんは子供の僕相手に『娯楽が少ないから、ホテルに簡単に誘う事が出来るんだよな』と言っておばさんに怒られていたっけ。


「そうだね……宿屋に戻ろうか」


また、今日も怠惰な一日が始まるのか……な。

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