第54話 女達の暴走


僕は決してロリじゃない。


脳内に来夢(らいむ)が住んでいる。


『飼う』という意味がいま解った気がする。


意識すれば、来夢を見る事が出来るが……僕が戦ったのは褐色の胸が大きな大人の美人だった筈なのに……


頭の中に棲みついた来夢は、黒緑色の髪を後ろで束ねていて白いシャツに赤いスカート。 白い肌の小学5~6年生位にしか見えない。


まるで1980年代のロリコン漫画やアニメのキャラクターに見える。


サキュバスなら本当の年齢はかなり高い筈よな。


俗に言うロリババアって奴かな。


まぁ、いいや。


今はそれより、馬車を追わないとな。


◆◆◆


街道を30分ほど走った先に馬車は止まっていた。


三人は僕を見かけると、馬車から話しかけてくる。


「聖夜様、先程はどうかされたのですか?」


「聖夜、一体なにがあったの?」


「聖夜くん、大丈夫?」


心配……してくれていたんだな……


それより、僕……


今、気がついた。


多分、僕は三人の事が好きになっていたのかも知れない。


魔族に遭遇した時、僕は最初にした事は『三人の安全の確保』だった。


自分の身の安全ではなく三人の安全。


ハァ~ 僕はきっと思った以上にチョロいのかも知れない。


これじゃまるで僕が三人の為に命を張った。


そういう事じゃないか?


「盗賊の気配がしたから、先に行って貰ったんだけど、どうやら小物だったらしく、ちょっと脅したら逃げちゃったよ……心配掛けてゴメン」


わざわざ、来夢の事を話す必要は無いな。


倒した話をするとスキルの話もしないといけないし……魔族を体に住ませているなんてバレたらなんだか不味い気がする。


「そうなんだ……」


「あははっ、私魔法は使えるけど目が見えないから……単体じゃ役に立たないもんね」


「盗賊ですか? 襲われないで良かったです……結構怖い相手もいるみたいですから……」


「まぁね! あれは小物だよ! うん良かった……」


どうにか誤魔化せたようだ。


「あの……聖夜、随分とカッコ良くなった気がするわ」


「うんうん、目には見えないけど……どうしてだろう? 聖夜くんが凄くカッコ良くなった気がする」


「聖夜様……その……凄くカッコ良くなった気がします……」


三人とも顏が真っ赤だ。


こんな目で見ていた存在を僕は知っている。


可愛らしい女の子を見る。厭らしい親父の目に似ている。


愛情よりも……性的な感じの全身を舐めまわすような目だ。


まぁ、大丈夫だよな。


◆◆◆


その日の夜、宿屋にて……


「え~と、こう言う行為はもっと仲良くなってからで……」


「どうして逃げるのですか? 前の世界からからの付き合いじゃない? ハァハァ」


「うんうん、私は心も体もOKだよ! この際だから筆おろしして、あ.げ.る!」


「聖夜様にとって私は綺麗なのですよね? 私もお慕いしておりますわ……だったら、障害は何もない筈ですわ」


気のせいか目がハートマークになって周りがピンクになった様な気がする。


三人とも下着一つつけないで迫ってくるし……目のやり場に困る。


リリアは兎も角、なんで塔子も綾子も僕の位置が解るんだ?


「え~と、嬉しいけど……そういう行為はちゃんと愛した人……」


「愛してます」


「愛しているから問題無いよね?」


「ちゃんとお慕い申してますわ」


「いや……それは違うから……」


『違わないわ』


頭の中に来夢の声が聞こえてきた。


『これは……魅了とかのせいだろう?』


それしか考えられない。


『ちがうわよ……確かにそう言った能力を身に着けたけど、使ってない状態だわ。精々が少し魅力的になった位ね』


『それじゃ……』


『元から愛していたそういう状態だと思うわ! サキュバスの私が言うんだから間違いないわ』


「酷い……私、前から好きだって言っていますわ」


「私だって言っているよ!」


「この気持ちに嘘はありませんわ」


『まぁ、諦めた方が良いわね……でも彼女達に嘘は無い。それだけは本当よ! 尤も、火がついちゃったのは、ほんの少し私が原因かもしれないけど』


「え~と……うん!?うぐっ……」


一番近くにいた塔子に押し倒されキスされた。


「ハァハァ~これでも信じてくれませんか?」


「塔子ちゃんズルい! 私だって……うぐっうんうんハァハァ」


「ちょっと、待って……ハァハァ」


「聖夜様……私だって、私だってキスしたいですわ! うん!? はぁはぁ」


三人に完全に抱き着かれ押し倒された。


『いっておくけど! 私が棲みついた貴方の体はインキュバス並みになっているからね! 一度でも貴方を味わったら、もう、普通の女は貴方の体の虜になって、忘れられなくなるから……まぁ頑張ってね』


『助けてくれたり……』


『無理……それに、貴方の脳内に寄生している私には快楽こそが食なの……だから出来ても助けないからね』


『そんな……』


「聖夜……気持ち良くしてあげるから」


「うんうん、私に任せて」


「聖夜様……凄く元気になっていますわ」


これじゃ、もう止まらない……来夢の影響か僕の体も物凄く熱くほてりだした。





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