第55話 流されて......和解!?


「ハァハァハァ……やってしまった……」


近くのシーツには赤い血が二つ……そして男なら嗅いだ事がある栗の花の匂いが部屋に充満している。


シーツは汗と体液でぐちゃぐちゃ状態。


三人は疲れはてたように毛布に包り寝息を立てて眠っている。


「う~ん聖夜、もっと、もっと頂戴……」


「聖夜くん、激しすぎ綾子……壊れちゃう」


「聖夜さまぁ~素敵です……」


良く見るとまだ快感が走っているみたいで、股間を押さえながら小刻みに体が震えている。


『堪能、堪能……貴方、凄いわね。もう中層インキュバス並みの能力があるわね』


『こんなの聞いてない……』


『話して無いわ! だけど、これが男のロマンじゃないのかな? 今の貴方なら、どんな女でも抱いてしまえば貴方の物。貴方の体が麻薬みたいなものだよ! 貴方に抱かれた女は貴方無しじゃ、もう生きられないわ』


『それって……』


『サキュバスやインキュバスとのSEXは凄いわよ! どんなに愛し合った恋人でも、夫婦でも……貴方が殺せって言えば、その体欲しさに殺してしまう。最強の恋愛マスター状態……これでこの世の全ての女は全部、貴方の物ね……嬉しいでしょう?』


『それって愛なのかな……』


『それは知らないわ。だけど、私が狙った男で落ちなかった男なんていなかったから……これが愛でないならこの世に愛なんて無いわよ』


『……』


『あっ、信じてないんだ? 昔、誰もが心底愛し合っている。そう言われていた、仲睦まじい恋人同士が居たのよ? 面白半分でその片割れ男の方を私が抱いたんだけど! どうなったと思う?』


『解らない』


『うっふふふ、私が命令したらね……元恋人を簡単に殺しちゃたわよ。その女の目が気にくわなかったから、熱した鉄棒を刺して両目を焼いてから殺して……そう頼んだら、その通りにね』


『そんな』


『どんなに愛し合った仲でも簡単に伴侶を奪う事が出来るのが私達なの……だから、私や貴方の行為が愛じゃないなら、どんな愛も偽物って事になるんじゃないかな?』


本当に、その話が本当なら……『愛』が存在しないか、サキュバスやインキュバスにも愛がある。


そういう事になる。


『うふふっ、どっちにしろ、貴方は『やってしまった』もうそこの三人は、貴方の体を忘れられない。もうどんな男に抱かれても感じることは無いわよ……身も心も全部貴方の物ね』


『それは……』


『貴方がそこの二人の視力を奪った事を気にしているのかな? そんな物、気になんてする必要は無いわよ? 元から愛されているから、多分こうなる前でも、普通に話しても許して貰えたわよ。 今なら、まぁ笑い話みたいに終るわ』


一生目が見えない……そんな状況にした人間を許してくれるわけない。


『そんなわけ無いだろう』


『いや彼女達は、元から……まぁいいや直接聞いた方が早いわ』


『解った、そうする』


わだかまりを無くすには告白するしかないな。


◆◆◆


三人が目を覚ますのを待ってから、リリアには食材の買い物を頼んだ。


塔子と綾子には、スキルの事は内緒にして自分が視力を奪った事を告白した。


「聖夜やるじゃない」


塔子は笑顔でそんな事を言い出した。


「塔子……!?」


「あのね、この際だから言っておくけど? 私は南条の娘なのよ。謀略なんて子供の時から教わっているわ!敵には容赦しないのが南条! 敵には何をしても良い、そう言う世界で生きてきたのよ。実際に私には優秀な姉が昔いたのよ……だけど、凄く目障りだから死んで貰ったわよ」


「死んで貰った?」


「そうよ、私より優秀な姉が居たら邪魔じゃない? 生かしておく意味がないわ。 だから、子供の時にね……将来のポストを約束して、姉の側近に持ち掛けて殺して貰ったのよ! 系列会社の社長の地位をエサに……どう驚いた?」


「確かに驚きもするけど、それじゃ弱みを握られる事にならないか?」


「馬鹿ね……そうなる前に他の人間を使って始末するのよ! 尤もこっちが反故にしても、自分が殺人者になるから訴えらえないし、南条だから幾らでも処分方法はあるわ」


財閥にも裏があるんだな。


「すごいな……」


「そうね……私は貴方に負けて貴方の物になった。それだけよ! 目の事は凄いわね……毒でも盛ったのかしら、まぁ今更よ……好きって気持ちに変わりはないわ!」


「そう……」


これは僕の能力なのか……それとも本心なのか解らないな。


「ハァ~目が見えなくされたのは正直腹が少したったけど!? 良く考えたら、やってきたことがやって来た事だから、仕返しされても仕方ないよ。 うん……今現在、こうして生活出来るのは聖夜くんのおかげだから、お相子で良いかな….それより、SEXしようよ! 聖夜くんとのセックス、凄く気持ち良かった……これが本物のセックスだと言うのなら、今迄のは違ってたって事だと思う」


「あの……そんなに違うの?」


「塔子ちゃん、全然違うよ! こんな気持ちが良いなんて絶対に他の人には出来ないよ! 大河の数百倍は気持ち良かったもん」


「そうなんだ、やっぱりあれって凄かったのね……聖夜にあれされていると頭がぼうっとして、他の事なんてどうでも良くなったのよ。お金も権力も要らない……ただ聖夜だけいれば良いってね。やっぱり全然違うのね。それじゃ、わだかまり無くなったって事で……」


「そうだね、塔子ちゃん!」


まさか……


「え~と…なにその目、凄く怖いんだけど」


「「続きをしようか!」」


二人にまた押し倒され、暫くしたらリリアが帰って来て加わり。


気がつくと、夜になっていた。





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