第24話 地上へ

流石に、実力的に一番弱いと思われている僕がなかなか帰らなかったら不味い気がする。


そろそろ一回戻るか。


実習はまだ一日目、あと2日間ある。


一度戻って見るのも悪くないよね。


洞窟の中だから、時間の経過が解らないけど、一度僕は外に出る事にした。


◆◆◆


洞窟の外、騎士たちのいた場所に向かうとテントが張られていた。


これは一体どう言う事なんだろうか?


テントの方に耳を傾けると中からうめき声が聞こえてくる。


『助けてくれーーっ』


『痛い、痛いよ……誰か』


『私の腕、私の腕がぁぁぁぁーー』


どうやら、このテントには怪我人が収納されているようだ。


この洞窟での実習は、弱い魔物しかおらず、危ないのは僕だけの筈だったのに。


「なんだ、お前戻って来られたのか?」


「これは一体……」


「なんでも、この洞窟には居ない筈のハイオークが出たらしい」


「そうなんですか?」


「ああっ、どうやら命からがら此処まで逃げ出してきたが、結構な怪我をしている。どうした物か考え中なんだ」


本当は楽勝な筈の実習で僕たち異世界人に自信をつけさせ、経験を積ませる実習。


確かに怪我人がでたら不味いよな。


「もしかして中止とかですか?」


「いや、きっとこれは只のイレギュラーだ! そう何体もハイオークが居る筈はない! 今現在、騎士たちがハイオークを狩りにいっている。勿論、続行だ」


「そうですか……」


良かった。


こんな事で終わられたら困る。


だが、良い話を聞いた。


僕が遭遇した上位種はオーガ、ハイオークじゃない。


どうやら騎士たちはオーガの情報は掴んでいない。


もしかしたら、なにかのチャンスがあるかも知れない。


それはそうと……近くにテントがあり、そこに怪我人がいる。


『重症なら、死んでもおかしくないよな?』


「もう終わると思ったか? そう簡単に終わる訳無いだろうが! お前は兎も角、他の異世界人なら、本来はこんな洞窟は余裕なんだよ! まぁ、お前にはきついだろうな……ふっははは、怖ければ、残りの二日間は此処で震えていてもいいんだぜ!」


「それじゃ、あと二日参加しなくても問題は無いんですか?」


「まぁ、そこまでの強制は無いから良いんじゃないか? 実習に参加して一度は洞窟に潜った……最低限の義務は果たしているからな」


この騎士、もしかして優しいのか?


まぁ良い......そんな事は考えても意味がない





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