第21話 頭の中がぐちゃぐちゃ


『やってしまった』


今、僕の目の前には無残な姿になった祐一と典子の死体がある。


散々ゴブリンに蹂躙され食われているから、僕が殺したとは誰もこの死体を見て思わないだろう。


だけど……


此処までして良かったのだろうか?


ここに来る時の態度を見て、騎士たちの話を聞き『昔のイジメの記憶が蘇った』


そして、今もまた僕がイジメや蔑みの対象で、今回僕が死ぬかも知れない。


それが解かっていながら僕をソロ状態にした。


だから、やった……


だが、本当にこれで良かったのか?


ゴブリンに食われて祐一はお腹周りの肉が無い。


典子は乳房を食われ、上半身が顔の肉も含みない。


ゴブリンはお腹が一杯になり満足したのか此処から居なくなった。


野生動物はお腹がすいていなければ人を襲わない。


そして女でもない俺は苗床にもできないから、襲わないで去っていったのかも知れない。


だが、あの不気味な笑顔。


まさかと思うが僕が味方とでも思ったのかも知れない。


だが、恨めしそうに俺を見ている二人の顔を見て……


『やりすぎ』


そう頭に浮かんだ。


◆◆◆


確かに祐一も典子も僕のイジメに加わっていた。


『大河に頼まれたんだけど今からロマルドに行ってバーガーセット買って来い! 俺の分もな』


『これから授業はじまるし……休み時間も校外に出るのは禁止され……』


『ハァ~お前殺すぞ! おらっ』


『ひぃ……』


祐一はいつも手を振り上げた。


良く考えたら、此奴は1人では殴る仕草をするだけで殴ってこない。


『ただ手を振り上げただけじゃん! ダサッ殺さないでやるから直ぐ買って来い!』



『あのさぁ、典子がスマホ代金が払えないんだって1万くれないかなぁ』


『そんなお金僕は持ってないよ』


『はぁ!? 持ってないんじゃねーんだよ! 無ければ強盗してでも持ってくるんだよ! この馬鹿がぁ~』


ボコッ


『あ~あダサッ! 素直にお金を出せば殴られるずに済んだのに馬鹿みたい』


『ほらほら、今日は1万円出せば虐めないでやるから、さっさと持って来いよ』


二人にされた一番酷い事はこれだ。


結局放課後まで待ってもらってATMでお金をおろしてきて払ったんだよな。


もし、前の世界の法律で考えたら……悪人は僕だ。


暴行と恐喝。


それしかしてない相手を殺したんだからな……


だが、これはどうでも良い事だ。


僕はあの日、屋上から飛び降り死んだ。


一人一人は大した事じゃ無いが『同級生全員が僕を殺した』


だったら……


幾ら考えても答えは解らない。


なんだか、頭の中がグチャグチャしてきた。


僕は何をしたかったのだろう?


自分が死ぬ事で『僕が何をされていたか知って貰い、償いをして貰いたかった』


だが、異世界に来た事でそれは叶わない。


しかも、未だに、僕を蔑むし『死ぬような事を容認』したなら。


殺されても仕方が無い……よな。







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